Thank you



 せっかくの土日の2連休だと言うのに外はあいにくの雨。
 6月も中旬を過ぎ、梅雨も終わりそうで終わらない時期となった。
 そして、梅雨のように続いていた俺と名雪の喧嘩も昨日、香里の仲介で終わったばかりだ。
 北川と女子の制服が半袖になることについて熱く語っていただけなのに……。
 ったく、なんでこうなるんだよ。
 制服の移行期間が始まると言うことは夏が近いと言うこと……。
 それは、つまりこれから俺たちの時代が始まると言うのに。
 特に梅雨が始まって、雨が続く日なんてもう!
 あいつらに男……いや、漢のロマンってものは分からないのさ……。
 まあ、んなこと言っていたから喧嘩になるんだろうけどな。
 いつもなら、お詫びと称して(強制的に)何か奢る(奢らされる)のだが。
 今回ばっかりはそうはいかない。
 今月は……マジで金欠だ……。
 香里にどうすればいいか聞いたら「自分で考えなさい」って言うし。
 一体どうしろって言うんだよ………。
『コンコン』
「祐一さん、入りますよ?」
 ドアがノックされ、ドアが開く。
「祐一さん、郵便が来てますよ」
「あ、すいません」
 秋子さんが何通かの手紙を持ってきてくれた。
「いえ、こう雨が降っていると休日は何もすることがありませんので」
「そうですね……」
 窓の外を眺めると、昨日からの雨はまだ降り続いていた。
「少ししたらお茶にでもしませんか?」
「あ、はい」
「では、30分もしたら降りてきてくださいね」
 そう言って秋子さんは部屋を出て、下に降りていった。
 俺は受け取った郵便物を眺める。
「これは親父達からで……あとは、予備校かなんかの案内か」
 親父達からの手紙を開け、目を通す。
 ………元気にやってるみたいだな。
 これはあとで秋子さんと名雪にも見せよう。
 あとの数枚の手紙はいつの間にかゴミ箱の中に瞬間移動していた。
「………そうか、手紙か」
 脳に電気が走ったように閃く。
 学校では滅多に使わないルーズリーフを取り出す。
 ……………。
 部屋内がシャーペンが走る音と、外の雨の音で響く。
 宛名を封筒に書き、手紙を中に入れ切手を貼る。
「さて……と、あとはこれを……」
「祐一、何してるの?」
「うわぁぁぁぁっ!」
「キャッ!」
 不意に後ろから声をかけられ、思わず悲鳴(?)をあげる。
 反射と言うべきなのだろうか?
 すさまじい早さで封筒を隠す。
「な、なんだ……。名雪か、脅かすなよ」
「祐一こそ脅かさないでよ……」
 名雪の顔がふくれる。
「悪かったよ、それよりなんだ?」
「お母さんがお茶の用意ができたって」
「あ、もうそんな時間か……」
「うん、そうだよ。いこっ?」
「あ〜。悪いけど、ちょっと手紙出してきてから行くよ」
「手紙? 祐一が?」
「なんだよ……?」
「ううん、なんでもない。ちょっと意外かな、って」
「俺に似合わないか?」
「そんなこと無いけど……。祐一、思ったことは口に出すんじゃない?」
「相手が近くにいない場合はどうするんだよ……」
「あ、そっか」
「じゃあ、俺ちょっと出てくる」
「うん、早く帰ってきてね」
「これを出すだけだしな」
「……ねえ、祐一?」
「ん、なんだ?」
「それって……ラブレター?」
 名雪の顔が険しくなる。
「違うって」
「本当?」
「本当だよ。あ、そうだ。これ、秋子さんと一緒に見ててくれ」
 そう言って、親父達からの手紙を渡す。
「あ、伯父さん達から?」
「ああ、元気でやってるらしいからな」
「そっか、その返事を書いていたんだね」
 名雪の顔がいつもの通りに戻る。
「……まあ、そんなところだ」
「うん、じゃあ行ってらっしゃい」
「おう」
 どうにか名雪の言及を免れ、俺は家を出た。


 昨日までの天気が嘘みたいに晴れた日曜日。
 でも、私が起きたのはいつも通りお昼過ぎだったけど……。
「名雪、おはよう」
「おはよう、お母さん」
 私が椅子に座ると目の前にコーヒーが出される。
「ん……ありがとう、お母さん」
「あ、そうそう。名雪に手紙が来てたわよ」
「手紙……?」
「ふふっ、はい」
 そう言って封筒を手渡される。
 あれ、この封筒って………。
 裏面を見てみると見慣れた名前が書いてあった。
『相沢祐一』
 私は封を切り、手紙を取り出す。
 ………………。
 私はその手紙を読み終る。
「お母さん、祐一は?」
「祐一さん? 祐一さんならテレビを見てるわよ」
 私は手紙を持って走り出す。
 私も祐一に伝えないと……。
 そう、祐一が言ってくれたのと同じ言葉を……。
 リビングのドアを開け、ソファに座ってテレビを見ている祐一の隣に座る。
「祐一っ、あのね……。私、祐一に言いたい言葉があるんだ」
「ん? なんだ?」
「あのね………」
 ………………。



いつも、他愛のないことで喧嘩をして、名雪を怒らせて悪い。
ちょっとした食い違いからいつも喧嘩になるけど……。
でも、決して名雪のことが嫌いな訳じゃないんだ。
逆に……大切にしたいと想ってる。
今まで散々迷惑をかけたり、怒らせたりしたよな……。
名雪……いつもごめん。
でも、お前が隣に居てくれて本当に嬉しい。
面と向かって、こんな事は恥ずかしいくて言えないから手紙に書くよ。
飾りも何もない、ありきたりでいつも言っている言葉だけど……。
それでも、俺はこの言葉以外、名雪に気持ちを伝える言葉を知らないから……。
だからこの言葉を……大切な名雪に。



『ありがとう』







   〜 あとがき 〜

   リハビリ用に『没』と書かれたネタ箱から持ってきました。(ぉ
   思いっきり怠けてましたからね、いやぁ、書けない書けない。(笑)
   やっぱり怠けるとダメだなぁ……と思いつつも懲りない自分。
   まあ、こんな性分ですし、今から言ってもしょうがないですね。
   さて、このタイトルの本当の意味、それは……。
   10000HIT・OVER&HP一周年ありがとう
   ってことでした。
   …………ごめんなさい。(泣)
   ちなみにSOPHIAの同名の曲を聴きながら書いてたのでこうなりました〜。
   

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