「ムラタク!こんな日に何しに来たのかにょ?」
「これは、でじこ君ご挨拶だねぇ・・・」
返事をしつつ、こんがり焼けた顔とパーマのかかった髪を直す。さすがにでじこへの対応は余裕である。
「僕はぷちこちゃんに会いに来たんだ。君なんかに用は無い。」
ハン!といった様子ででじこに指をつきつけるムラタク。
「五歳児アーンド萌えグッズ・・・この条件にあらずんば女にあらず!!」
「・・・ロ○コン野郎・・・」
ボソッとつぶやいたうさだの声にムラタクが素早い反応を見せる。いや、店長さんもちょっと反応したような気がした。(笑)
「ふっ・・・十四歳なんか、アウト・オブ・眼中!!」
おおっ!なんかムラタクが漢(おとこ)っぽいぞ!今の君なら赤いシビックが超似合うはずだ。(あれ?エボ使いだっけ?)
しかし、そんなムラタクの漢っぷりは でじこ と うさだ には伝わらなかったようだ。
「むっか〜!このでじこ様に対して、なんていう事言うにょ!」
「そうよ!でじこはともかく、この私は立派な女の子ですっ!」
「・・・それでだね、ぷちこちゃん・・・」
まるで聞いちゃいないよ・・・この男。
「今日はぷちこちゃんのために、素敵なプレゼントを用意したんだ。」
「ちょっと、ムラタクさん!?」
「ムラタク!シカトするんじゃないにょ!でじこ、プリプリにょ!」
あくまで無視し続けるムラタクに、でじこのムカツキ指数がMAXになった。
「ゲマ!・・・ヤっておしまい!」
「まかせるゲマ!」
ゲマがどこからか取り出した吹き矢をムラタクに構える。矢の先にはニコチンを蒸留した液体が塗ってある。完全に殺る気だ。
しかし、ムラタクの次の一言がでじこの心を変えた。
「ぷちこちゃん、今度の休みに一緒に海外旅行に行こう!・・・二人っきりで!」
「行かんにゅ」
「海外旅行!?」(でじこ&うさだ)
今まさに吹き矢を打とうとしていたゲマをダブル・パンチで吹っ飛ばしながら、二人の声がハモった。
どうやらムラタクの最後の言葉は彼女達には聞こえなかったらしい。
「ひ・・・非道いゲマ〜・・・げっ!?げ〜っゲマぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
見事に壁へめりこんだゲマが非難の声をあげる。あ、さっきの衝撃で吹き矢が自分の体(?)に刺さってる。こりゃ死んだか?
「死んじゃうゲマ!死んじゃうゲマ!でじこ、助けてゲマ〜!・・・ゲッ!?」
白目をむいて倒れたゲマには目もくれず、でじこ、うさだの両名は自分の世界にトリップしていた。
(青い空、澄み切った海・・・そして、どこまでも続く白い砂浜・・・最高にょ!)
でじこは、数年前家族でアナローグ星に旅行に行った時の事を思い出していた。
(あの時、地元の愚民共を集めてやった乱交パーティー・・・楽しかったにょ〜)
一方うさだは、家族と一度だけ行った海外旅行の思い出を回想していた。
(そびえるお城・・・立ち並ぶ風車・・・巨大な王蟲・・・そして腐海の森)
うさだ!君達、どこまで行ったんだ!?
(あの時初めて銃を撃ったけど・・・あの感触忘れられないわ・・・)
うさだの顔が恍惚の表情になる。何を撃ったかは、あえて聞かない方が良さそうだ。
そんな二人に気付かず、ムラタクはぷちこの説得を必死でしていた。
「ぷちこちゃん、君のために納豆柄の飛行機も用意したんだよ!」
さすがムラタク。前回の経験をちゃんと活かしている。納豆柄の飛行機と聞いて、ぷちこも少し迷っているようだ。
よっしゃ、もう一押し!そう確信したムラタクが、最後の追いこみをしようとしたその時・・・。
「ちょっと待つにょ!」
「ムラタクさん!その話私達も乗ります!」
突然、二人の声がムラタクの会話に割って入った。
「え?」
「だから、このでじこ様も一緒に行ってやるにょ!」
「はぁ?」
「やっぱり旅行は大勢で行った方が楽しいと思うしネ☆」
「ほぇ!?」
ようやく二人の意図を理解したムラタクが驚きの声をあげる。
「ちょ、ちょっと待った!だれも君達まで誘ってなんかいないぞ!僕はぷちこちゃんと・・・」
「そうですねぇ。こう暑くてはお客さんも来てくれませんし、みんなで夏休みというのもいいですね。」
店長さんのその言葉に、二人の顔がパッと明るくなる。
「さすが、店長さん!話がわかるにょ!」
「そ、そんな・・・店長さんまで・・・」
「ねっ、ムラタクさん。いいでしょ?」
「し、しかし・・・」
ムラタクの顔が一気に苦渋の表情になった。
「これでは、ぷちこちゃんと南の島でラブラブ計画・・・コード名「オペレーション・PUCHIKO」がっ!・・・」
どんな計画なんだ、そりゃ?
「ムラタク・・・お前、ぷちこに何するつもりだったのかにょ?」
「えっ?それは・・・ぷちこちゃんと二人で海へ行って、ぷちこちゃんの水着姿を見て・・・その後は・・・(妄想中)・・・
ああっ!お素敵過ぎますわっ、ぷちこちゃん!!」
「・・・いっぺん死ねにゅ。」
半眼でぷちこがボソッとつぶやく。ま、その気持ち判らんでもない。
「ぷちこちゃん・・・僕は今回の旅行に全てをかけてるんだよ。判って欲しい。」
「地獄に落ちるがいいにゅ。」
首に持ってった親指を、横にスッと引く動作が妙に可愛らしい。
「しかし、ぷちこちゃん一人だけというのも不公平だと思いますし・・・やはりみんなで行く方がいいんじゃないでしょうか。」
「そうだにょ!店長さんもああ言ってるんだし、でじこも連れて行くにょ!」
「絶対、ムラタクさんの邪魔はしませんから!」
「うーん・・・」
悩みに悩みぬいたムラタクが出した結論とは!?
「やっぱ、ダメ!(キッパリ)」
「え〜っ!そんなぁ・・・」
でじことうさだが落胆の色を見せながら、ガックリとうなだれた。
「ムラタクさん、どうしてもダメですか?」
「すみません・・・いくら店長さんの頼みでも、今回だけは・・・」
「そうですか・・・ムラタクさん、ちょっと奥で話があるので来て頂けますか。」
そう言って、ムラタクを奥の部屋へズルズルと引きずっていく。
店長さんのメガネの奥のつぶらな瞳が、いつもと違ってランランと輝いている事にムラタクは気付かなかった。
「て、店長さん?僕をどこへ連れてくんですか!?」
「ちょっと奥までですよ・・・すぐに終わります・・・ふふふ」
「す、すぐ終わるって・・・何をするんだーーーーー!!」
店長さんに引きずられていくムラタクを見つめる でじことうさだが同情を込めてつぶやく。
「素直にO.Kと言えば助かったのに・・・」
「ご愁傷さまにょ・・・」
「いぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
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