その頃ムラタク機内では・・・


「でじこ!十五列前方、左!狙われてるわよっ!(タタタタタ)」

「にょ〜!奴ら、結構やるにょ!(パンパンパン)」

「くっ!でじこ君達がこれほどやるとは・・・ちぃっ!(スパパパパパ)」

「ムラタク隊長!前線は敵の抵抗が思ったより激しく、これ以上の進行は無理です!」


・・・皆でサバゲーをしていた。ムラタクも機嫌を直したのか、皆と一緒にゲームに参加している。


「いつまでも過ぎた事をウジウジ言ってるのは大人気ないからね。」


さすがムラタク、大人である。


(それに奴らは隙を見て、この実弾入りのデザートイーグルで始末するまでだし・・・ふふふ・・・)


・・・前言撤回します。・・・あんた鬼や。


そんなムラタクの視界に一匹の獲物が写った。丸々と太った眼鏡を掛けた豚である。

今その豚は何も知らずに、ムラタクの眼前で前方のチームDEJIKOへの攻撃を続行している。

周囲の連中もゲームに熱中していて、こちらに気付く様子も無い。


(殺(ヤ)るなら今しかない・・・)


ムラタクの視線がハンターのそれになる。ゆっくりと懐から取り出したデザートイーグルを豚の後頭部へ向ける。


(悪く思わないでくれ武くん・・・目標をセンターに入れて・・・)


狙いが定まったデザートイーグルのトリガーをゆっくりと引き絞ってゆく。


(・・・スイッチ!)


ムラタクがまさに撃とうとした瞬間!


ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!


突如、轟音と共に機体が激しく揺さぶられる。

同時に機内の警報と赤色灯がけたたましい音をたてながら回転しだした。


「何だ!何が起こったんだ!?」

「これは一体何の騒ぎにょ!?」

「・・・お祭りにゅ」


いや、それは多分違うと思うよ・・・ぷちこちゃん


「いやゲマ〜、みんな死んじゃうゲマ〜!!」

「えぇ〜、どうしよう・・・あ、私はプロペラがあるから平気ネ☆」

「でじこちゃ〜ん!僕達どうなっちゃうのぉ〜(涙)」


今までゲームをしてた面々も突然の事態に驚きを隠せない。

このまま放っておけば全員がパニックになるのは明らかであろう。

しかもここは飛行機の中、それも飛行中である。

最悪の場合、このまま海へ墜落して乗員・乗客全員海に還るなんて事態も・・・


(そんな、サ○エさんの最終回みたいな終わり方は絶対に避けねば!!)

「とにかく、みんなは席に戻ってシートベルトをしっかり締めててくれたまえ!

僕はコックピットへ行って、何が起きたか確認してくる!いいね!?」


そう言い残すと、ムラタクは一人コックピットへと向かった。

揺れる機体に足元を取られながらも、なんとかコックピットへの扉に辿り着く。

しかし開けた扉の向こうには、更なる修羅場が待ち構えていた!

鳴り響く警告音、点滅を繰り返すモニター類・・・そして飛び交う乗務員の怒号


「機長!一体何があった!?まさかエンジントラブルか!?」


ムラタクのその問いかけに、機長(旧ソ連出身:52歳)が重い口調で答える。


「あぁ、たくろう坊っちゃま・・・今当機は・・・ガフッ!?」

「坊っちゃまと呼ぶんじゃない!!」


条件反射的に放ったムラタクの拳が機長(旧ソ連出身:52歳)のわき腹に決まっていた。


「・・・ふふ、良いパンチでしたぜ・・・たくろう様がここまで成長されておられたとは・・・」


そう言って口端から一筋の血を流しながら、機長(旧ソ連出身:52歳)の体がゆっくりと崩れ落ちる。


「これで先に逝かれた旦那様に良い土産話ができました・・・もはや思い残す事はありません・・・ゴフッ!」

「おい!登場していきなり逝くな!お前が死んだらこの機はどうなる!?頼むから戻ってきてくれっ!!」


だがそんなムラタクの言葉も、もはや機長(旧ソ連出身:52歳)には聞こえていないようだ。


「あぁ、旦那様・・・今そちらに・・・」


弱弱しく上へ上げられた機長(旧ソ連出身:52歳)の手をムラタクが握る。


「機長(旧ソ連出身:52歳)!!・・・・・・いいかげんにしないと減給だぞ・・・」

「ふむ、それはいささか困りますな・・・では、よっこらせっと」


そう言いながら機長は何事も無かったかのように立ち上がると、ムラタクの方に向き直った。

いつのまに拭いたのか、口元の血糊もきれいに消えている。


「まぁ、結論から申し上げれば、現在当機は何者かの攻撃を受けております。」

「何?攻撃だと・・・一体、どこの誰が・・・!!」


その時ムラタクの頭に一つの単語が浮かぶ。


「まさか、北○鮮かっ!?」

「いや、テポ○ンではこの機に命中させれる程の精度は無いでしょう・・・奴らは工作員を送ってくるのが関の山ですからな」

「ふむ、それもそうか・・・では一体どこから・・・」

「私が思うに、北朝○の他にこんな事をする国は一つしかありません。」

「?・・・どこだ?」


そう尋ねるムラタクに機長が吐き捨てるように答える。


「無論、米○です!」

「なに?○国だと!?」

「えぇ、問答無用で攻撃を加えてくるような下衆な奴らはヤ○キーぐらいなものです。奴らは正義の名のもとに何を行っても

許されると信じてるキ○○イの集まりです!多分、当機への攻撃も奴らの仕業でしょう。」

「うぅむ・・・確かに一理あるが、もし奴らだとしたら、こんなチマチマした攻撃はしてこないだろう。もし相手がヤン○ー

なら迷わず核を使ってくるはずだ。」

「成るほど・・・その方が確実ですし、向こうは核が有り余ってますからなぁ。・・・しかし、そうすると一体誰が?」


二人が再度思考モードに入ろうとしていたその時、副操縦士の声が二人を現実へと呼び戻した。


「機長!当機後方に高エネルギー反応を確認!」

「何っ!?」

「パターン解析中・・・パターン・ブラック!ブラック・ゲマゲマ団です!!」

「何で奴らがこんな所に!?」


うろたえるムラタクに、オペレーターの声が更に追い討ちをかける。


「敵艦より入電!こちらの回線を開くように言っています。・・・いかがなされますか?」

「くっ・・・映像をメイン・モニターへ繋いでくれたまえ。」

「了解!映像をメイン・モニターに映します。」


ヴンという低い音と共に、モニターいっぱいに見慣れたパンダ娘の顔が映し出された。

その後方にはリク・カイ・クウの三人の姿も見える。


『ぴょ〜、ぴよこぴょ!皆様お久しぶりぴょ!』

「ちっ、出たなこの馬鹿幼児め・・・」

『ん?・・・なんか言ったかぴょ?』

「いや、何でもない・・・それよりぴよこ君、これは一体何のまねだい?」


大体の予想はついていたが、あえて聞いてみる。


『決まってるぴょ!おとなしくお姉ちゃんをこちらに渡すぴょ』

「・・・やっぱり・・・」


やれやれといった風にムラタクが眉間を抑える。

しかし、そんなムラタクの態度を気にする事なくぴよこの言葉は続く。


『もしおとなしく渡さないと、じ、じつ・・・じつ・・・リク!これ、なんて読むぴょ?』

『・・・それは、じつりょくこうし・・・と読むんですよピョコラ様』

『わかったぴょ。えーっと、じつりょくこーしに出るぴょ!痛い目にあいたくなかったらさっさとデ・ジ・キャラット

をこちらに引き渡すぴょ!』


「猿でもできる脅迫マニュアル」と書かれた本を後ろに隠しながら、ぴよこが得意げな顔でこちらを指差す。

静まりかえる機内。誰もが言葉を失い、ただ時間だけが過ぎてゆく。

そんな中、一人の男の口から衝撃の一言が!?


「・・・いいだろう、持っていけ。」


さらっと言い放ったムラタクの言葉に、今度はぴよこ達があっけにとられる。


『ぴょ?・・・ほんとにいいのかぴょ?』

「・・・たくろう様、よろしいので?」


機長の問いかけに、ムラタクがニヤリと微笑む。


「かまわん。元より予定に入っていなかったファクターだ。それを取り除いてくれると言うならば邪魔立てするいわれなど無い。」

「成る程・・・一理ありますな。」


・・・が、それを聞いていたカイが慌ててモニターに割り込んでくる。


『し、しかし我々としてはもう少し抵抗してもらわないと・・・そうですよね、リク元帥!』

『うむ。ここまでの下準備を考えると、もう少しあがいてもらわねば困る!』

『ここ二ヶ月は、朝昼は食事抜き・・・晩飯も満足に食べれなかったからなぁ〜・・・』

『で、でもおねーちゃんをくれるって言ってるんだし、とりあえずもらっといたほうがいいぴょ!』


突然の事態に混乱しているのか、四人は部屋の片隅でしばらく話し合っていたが、やがてぴよこが一人モニターの前に歩いてきた。

笑顔という事は、どうやらでじこを引き取る事で話しはついたらしい。


『待たせたぴょ。それじゃさっそく・・・』

「ただし!」


そう言いかけたぴよこの言葉をムラタクの言葉が遮った。


『ぴょ?』

「ぷちこちゃんを除く全員を引き取ってもらう。でなければでじこ君は渡せないな。」


この際、邪魔者は徹底的に排除してしまおうというムラタクの本心が微妙に見え隠れ・・・いや、あからさまに表れている。

しかしそんなムラタクの目論見も、ぴよこの次の言葉で見事打ち砕かれるのであった。


『あ、それは無理ぴょ。』

「何故!?」

『この船は予算・・・じゃなくて、設計上あと一人しか乗せられないぴょ。だからおねーちゃんだけしかダメぴょ!』

「そ、そんな・・・」


ガックリと膝をつくムラタク。今全ての計画は水泡と化してしまった。

一気に邪魔者を消し去り、ぷちこちゃんと二人でLOVE×2計画がムラタクの頭の中で音を立てて崩れてゆく。

その時、ムラタクの中で何かが音をたてて切れるのを感じた。


「ふふ・・・ふふふふふふふ・・・」


低い笑い声を漏らしながら、ゆっくりとムラタクが立ち上がる。目がちょっと怖い・・・。

モニターの向こうにいるぴよこも本能的に何か危ないものを感じたのであろう、少しモニターから後ずさりしている。


『お・・・おにいちゃん、どうしたぴょ?』

「ふふふ・・・そうか・・・ならば仕方ない・・・」


突如ムラタクの目がカッと見開かれる。


「総員、第一種戦闘配置!!」


ムラタクのその言葉で一瞬にしてコックピット内に緊張がはしる。


「了解!当機はこれより第一種戦闘態勢に移行いたします!」


ここで少し説明しよう。当ムラタク機は木村財団の所有する専用機の一つであり、その設備は某国の大統領専用機

AIRFORCE ONEに匹敵すると言われている。よって衛星設備はもちろん、ミサイル自動回避システム・

放射能遮断設備、更には大気圏離脱用ロケットエンジンなども搭載されている最新鋭機なのである。

また財団独自のテクノロジーを融合させる事により、対魔攻撃・特殊攻撃・自爆・逃亡など優れた戦闘モードを備

えており、木村家の専用機として非常に役立っているとメカニックは話している・・・

更に木村財閥の跡取り(両親共に健在)である拓郎の専用機(機種名:MP−247)には


対人殲滅用プログラム(第三種戦闘モード)

対魔殲滅用プログラム(第二種戦闘モード)

無差別破壊プログラム(第一種戦闘モード)


という三つのプログラムが組み込まれており、その時々の戦闘状態に応じた攻撃プログラムが起動する仕組みとな

っている。特に第一種戦闘モードは全面核戦争を想定したプログラムになっており、いまだかつて起動する事は無

く今回が初の実践投入となる。







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