憂鬱




なんだか理由もないのに憂鬱で、何にもやる気がおきないの。



ちゃらっらららーらららー……
携帯の着メロが聞こえる。 が、なんだか出る気にならず、あたしはそれをぼーっと眺めていた。
ちゃららーらーらららーらー…
…なかなか長い。 やがて留守電に切り替わり、ようやく音はやんだ。
しかし間をおかずに再びなりだしたそれに、ため息をつきながら手を伸ばす。
画面にはよく知った名前。
「……もしもし?」
『リナ? どうした? どっか具合悪いのか?』
「…なんでもないわよ…ていうかなんでいきなり電話なんかかけてくんの?」
『さっきアメリアから電話があってな。お前さん、ケーキバイキングの誘い蹴ったんだって?』
「……で?」
『「絶対変です!はっ、まさか病気にでもなったんでしょうか?!」ていうから』
アメリアめ……あたしがケーキ食べなかったら病気なんかいっ! 
ま、確かに自分でも変だとは思うけどさ。
でも、なんだか今日は人と会うのが億劫で仕方なくて。
そういうと、ガウリイが沈黙した。
少しして、気遣うような声が返ってくる。
『……じゃ、この電話もちょっと……迷惑、だったか?』
「ちょっと疲れた」
即座にそう答えると、電話の向こうに少し後悔するような気配。
そして、もう一度ガウリイが口を開く前に、あたしは言う。
「だから、ケーキ買ってきてね」
『……は?』
「疲れたときは甘いモノ。 常識でしょう? それにあたしは、人と会いたくないだけで
ケーキは食べたいの」
『……俺と会うのはいいの?』
からかうような声。 あたしはすました口調で答える。
「いいの。だってあんた人じゃないでしょ。クラゲ」
『ひでぇなぁ……』
苦笑している気配が伝わってくる。
『じゃ、今から持っていくから。なんもしないで寝てろよ?』
「うん。……早くきてね?」
『わかってるよ、お姫様』
通話を終えた携帯をそこらへんに放り出し、あたしは再び仰向けに寝転がる。
いつのまにか憂鬱は影を潜め、かわりにガウリイの暖かい気持ちがあたしを包んでいた。



たまにはこんな日も、悪くないかもしれない。



それから15分後、呼び鈴が来客を告げた。




現代版ガウリナ。 つっても現代ぽいのって携帯だけ
なんですけどね。




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