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「爆裂陣!!」 「のわああああっっ?!」 今日もまた、いつものように彼は飛んでいった。 ガウリイ・ガブリエフ。 彼の相棒が「脳ミジンコの剣術バカ」といい、誰もそれを否定できないほどの頭。 そして最近彼のバカはもう一つ増えていた。 宿の一室で、剣の手入れをしているガウリイに同室のゼルガディスが話し掛けた。 「しかし旦那……毎回毎回、ああも派手に吹き飛ばされて腹はたたないのか?」 「ええ?」 ガウリイはびっくりしたように振り返った。 「なんでだ?」 「なんでって……あのなぁ」 ゼルガディスはため息をつく。 「いくらお前さんでも、一応痛覚はあるんだろうが。 それとも……マゾか?」 「違うって。だってなぁ……」 と、ガウリイの顔がにへらっ、と緩んだ。 ――――危険信号であった。 だが、それに気づいて逃げる前にゼルガディスはガウリイに捕まっていた。 ものすごい早業である。 「離せっ!」 ゼルガディスの顔は早くも青ざめている。 これから起こる出来事は、彼には耐え難いものであった。 「こうなることわかってて聞いたんだろ」 対するガウリイは……不気味なほどのにこやかさ。 「だってなぁ……リナって、可愛いし(はぁと)」 ゼルガディスが自らの迂闊さを呪う間もなく、ガウリイは話し始めた。 そう、彼のもう一つのバカ――――それは、リナバカであった。 偶然から一緒に旅をすることになった少女を彼は非常に……ひっじょーに、愛していた。 何故か少女――リナ本人は気づいていないようであったが。 その少女の短気なとこも、すぐに手を出す乱暴なところも、金や食べ物にがめついところも、 全部彼には「照れ屋で、元気がいい。そこが可愛いんだ(はぁと)」の一言ですんでしまうのだ。 「ああやって吹っ飛ばした後とかさ、ちょっとでもオレが具合悪そうにしてると心配そーな顔してさ。 『大丈夫?』って素直に訊けないとこが可愛いだろ?」 「そーゆーことは本人に言え、本人に!」 「リナに言ったら……う〜ん……警戒させそうだしなぁ……オレはまだ保護者でいとくよ」 「ならのろけるな! 黙ってろ!」 「誰かにいいたくなるんだよ〜わかるだろ?」 「わかるかっ!」 「あーわかったわかった、アメリアの話きいてやるよ。ほら♪」 「なっ……」 アメリアの名前を出されて、ゼルガディスは不覚にも言葉につまってしまった。 みるみるうちに顔が紅潮してゆく。 「ほらほら、お前のスイートハートの話しろよ」 「だっ……誰がスイート……っ」 「アメリアだろ? 隠すなって。」 「ほっとけ!」 「折角話を聞こうとしてるのに……しょうがないな、じゃオレの話。 リナってさー、可愛いよなー…… 最初はただのガキだと思ったんだけど、もうすっかり大人っぽくなって……あ、リナには手をだすなよ?」 「出すわけないだろ。 ……お前さん、そのために四六時中リナに張り付いてんだな? 酒場でも周りの 男どもに睨み効かせて」 どうやらゼルガディスは諦めて話をあわせることにしたようである。ため息を一つついた。 「あいつ、全然警戒心がないからな。 もう少し気をつけてくれないと心配で……」 「旦那のせいもあるだろう。 いつも子ども扱いだ、って愚痴ってたぞ」 「……リナと、いつ、そんな話したんだ?」 「いつって……お、おい、いっとくがな、偶然だからな! この間、夜酒場であったんだ」 「酒場で?! 一人で行くなっていってるのに……」 「だから子供扱いだって思われるんだろ。一緒に連れて行けよ」 「一緒に飲みにいくとなぁ……酔っちまったらオレ、記憶なくなるし……」 「あんたの記憶がないのはいつものことだろ」 「じゃなくて。 勢いで手ぇ出したらまずいだろ?」 「……そりゃあな。ぶっ飛ばされるぐらいじゃすまないかもな」 「……いや、そうじゃなくてだな」 ガウリイは頭をぽりぽりと掻いた。 「……怖がらせたくないからな。 あいつ、こーゆーことには不慣れだろ」 「それはそうだろうが……それにしても」 ゼルガディスはガウリイを意外そうに見た。 「あんたがそんなことを気にしてるとはな。 もう少し上手くやるかと思ってたが」 「リナ相手だとどーもな……大切にしたいんだよ。」 「……そうか」 ほかにセリフが思い浮かばず、ゼルガディスは相槌をうった。 (そろそろ終わるか?)などと考えながら。 駄菓子菓子。 「でもさー、あいつが寝てるときとか妙に色っぽくてわれを忘れそうになるんだよなー♪ ……ああ、思い出したら……くくくっ」 危ない笑みをもらすガウリイに青ざめながら、ゼルガディスは脱出のタイミングをはかった。 第二ラウンドに入る前に、なんとしてもこの色ボケの前から逃げ出さなくては! じりじりと後退し部屋を出ようとしたゼルガディス。 だがガウリイのほうがわずかに早かった。 「寝てる時って無防備だろー? そんな状態に加えてたまにあいつ寝言でオレの名前いったりするから…… って、どこいくんだ? まだまだ話はこれからだぞ?」 この後、ゼルガディスはみっちり三時間ほどのろけに付き合わされることとなる。 「それでリナがさー……」 「いい加減にしろ!」 |
| あとがき: | なんだこれ(汗) 思いつくままかいてたらオチのないものに…… まあ、明るい話を書こう、っていう目的は 達成したからいいか。 感想など貰えると喜びます。 |