穏やかな正午 風通しの良い 丘の上の小さな家で 読みかけの魔道書を膝の上に置いたまま ラジオをつけっぱなしにしたまま 栗色髪の若奥さんは ロッキングチェアに身を任せ お昼寝をしていた ♪♪ 過ぎ去った歳月や 二人が後に残してきた夢のことを振り返るとき きっと嬉しく思うはず この人生にあなたがいたなんて私は恵まれていた 今こうして振り返ってみると あなたの顔が見えるのよ あなたは私のためにすぐそこにいてくれた ♪♪ と、そこに 仕事を早く終えた金髪の夫がやってきた 彼は寒がりな妻が毛布も何もかけていないので すぐさま家の奥に行き 軽い毛布を彼女と・・・彼女のお腹にいる 彼の子供にかけてやった ♪♪ 夢の中でいつも空高く飛んでいくあなたが見える 私の心には死ぬまでずっとあなたのための場所がある あなたの一部はつねに私と一緒 私がどこにいてもあなたはそこにいてくれる 私がどこに行ってもあなたはついてきてくれるのよ ♪♪ つけっぱなしのラジオからは 恋の歌が流れている 彼はラジオを消そうとして、ふとその手を止める ・・・確かこの歌、リナの好きな曲だ お腹の子供に音楽を聞かせるのはいいことらしいし 母親が健やかな気持ちになれば、子供にもそれは伝わると 先日妻から聞かされていた彼は 空いている椅子を一つ 妻の隣にもってきて 彼女を起こさないよう注意しながら自分も椅子に腰掛けた ♪♪ そうよ あなたは空に手が届くって どんな気分か教えてくれた あなたが与えてくれた力をいつまでも忘れないわ その愛があったから最後までやり遂げられた みんなあなたのお陰よ あなたがそこにいてくれたからなの ♪♪ ・・・まるで 俺の気持ちを代弁してくれてるような歌だな。 この瞬間そう思っている人たちが何人いることか 彼は静かに苦笑した ♪♪ だって私はあなたの中に いつも光や力を見出してたから 今までのあらゆることに対してあなたに感謝したい あなたは私のためにそこにいてくれた いつも私のためにそこにいてくれた ♪♪ 最後のサビにかかるような形で DJが、この歌のリクエスト者の名を告げる 『この曲をリクエストしてくれたのは リナ=ガブリエフさんです〜 メッセージ読みますね』 思いもよらない名前に、彼は一瞬固まった 『あたしはこの曲が大好き まるで あたしの気持ちを代弁してくれるかのよう・・・って、 今ここでそう思ってる人が何人いるんだか・・・ まぁ、それはともかく 直接言うのは はづいから こーゆー手を使わせてもらったわ 今までいろいろあったよね、 いつも支えてくれて、ありがとう いつもそばにいてくれて、ありがとう 結婚しようと言ってくれて、ありがとう 嬉しかったよ・・・ガウリイ』 彼は妻の顔を覗き込む しかし彼女はちゃんと眠っている 彼は思わず笑み崩れ、彼女の額にキスをする 「感謝したいのは、俺も同じだぜ・・・リナ。」 その晩、寝ぼけ眼の妻の代わりに台所に立った彼は いつもに増して 幸せそうで 彼の言動から事情を察知した妻は いつもに増して 顔を赤くしたそうな・・・ 〜fin〜 |