第1話 A(アンコ)の咆吼



ブォォォォォォ・・・・・・
山道を一台のバイクが走っている。 乗っている青年の名は「安郷 猛」。城南大学の生徒である。
彼は今、バイト先のパン屋に向かってバイクを走らせている。

「やれやれ・・・時間には間に合いそうにないな。またおやっさんに怒鳴られるのか。」

大学での研究が長引いてしまい、勤務開始時間に間に合いそうもないのだ。

「仕方ない。ここには警察もいないだろうし、もう少し飛ばすか」

そういってアクセルを踏み込むと突然   ビュッ   投網が安郷目掛けて飛んでくる。

「うおっ・・!!」

何とか回避したものの、バランスを崩して転倒してしまう。

「クッ・・・誰だ!こんな事するヤツは!!」

何とか立ち上がると目の前に一人の男がいた
安郷がその男に掴みかかろうとすると
シューーーッ・・・
「う・・・催眠・・ガスか・・・」

安郷の意識は遠のいていった








「う・・・ここ・・は?」

安郷は、手術台の様なモノに鎖で繋がれていた

「くそっ!一体これは・・・」

「目覚めたかね?安郷君」

電気が灯り、手術台の周りに白衣を着た男が5人ほど近寄ってきた
しかし、声はこの男達ではなく後ろの壁のスピーカーから聞こえてきていた。

「貴様らは・・・一体何なんだ!!」

「我々は、秘密結社バイキロン。そして・・・私がバイキロン首領だ。」

「バイキロンだと?」

「そうだ。我々は表向きは単なるパンの商人にすぎないが、我々の真の目的は今野放しになっている人類全てを効率的に管理し、支配すること。」

「な・・・」

「既にあらゆる国の政府の上層部に我々の改造人間を送りこんである。
そして政府に送り込んだ改造人間が世界を動かし、その改造人間を支配するのが私だ。
世界は・・・私の意のままとなる。」

「それと俺と・・・一体何の関係がある!!」

「我々が求めていたのは、知能指数600,スポーツ万能、そしてパン屋で働いている男。
君は我々の仲間になるべく選ばれた、栄光の人間だ。」

「馬鹿な・・・俺は貴様らの仲間になどなった覚えはない!!」

フハハハハハハハハハ・・・・
遅いのだ安郷。君が我々に捕らえられてから既に一週間・・・
その間に我々の誇る化学者達が君に改造手術を施した。
あとは脳改造を行えば、君は私の忠実な僕となるのだ。」

「な・・・く、くそっ」

安郷は身を捩るが、鎖に繋がれていて身動きがとれない。

「さて・・・最期に我々が君に施した手術について説明してあげよう・・」

すると、横にいた白衣の男がアンパンを取り出し、安郷に食べさせた

「ぐっ・・・何を・・?」

「今、君に井村屋のおいしいアンパンを食べさせた。
これで、君の体にはアソパソエネルギーが蓄積された。
次に、この青酸カリ入りアンパンを食べてもらう。」

「な・・・そんなものを食べたら・・・グっモグモグ・・・」

「普通の人間なら即死するだろう。だが、我々によって機械アンパンの細胞を埋め込まれ、改造人間となった君は、
常人の数百倍の身体能力を持つと共に、その青酸カリ入りアンパンをおいしく食べることが出来る。
さぁ、説明は終わりだ。今から君に脳改造をほどこ・・・」

ドガーン

ビーッビーッビーッビーッ

突然の爆発音と共に、警報が鳴り響く

「な・・・一体何事だ!!」

下級の戦闘員と思われる男が飛び込んできて報告する。

「し・・・侵入者です!!日本刀を持った男駆け抜けてきます!

「おのれ!その男を抹殺するのだ!お前達も行・・・ガガガガガ!」

白衣の科学者達も戦闘員について部屋を出ていき、どうやらスピーカーも先ほどの爆発で壊れたようだ。
部屋には安郷一人が取り残される。

「クソッ・・・」

安郷はムダだとわかっていたが、力任せに鎖を引きちぎろうとしてみる。すると

ブチッ

さっきまでびくともしなかった鎖が簡単に引きちぎれた。

「な・・・」

安郷はもう片方の手と両足の鎖も引っ張ってみた。

ブチッブチッ

「こ・・これは・・・鉄の鎖がこうも簡単にちぎれるとは・・・
一体・・・俺の体はどうなってしまったんだ?」

「ヤツラが君に施した改造手術のせいだ。」

さっき科学者達が出ていったドアから一人の男の声がした。

「改造手術・・・・」

安郷はさっき首領が言った言葉を思い出した。

『我々によって機械とアンパンの細胞を埋め込まれ、
常人の数百倍の身体能力を持つとともに青酸カリ入りアンパンをおいしく食べることが出来る』・・・と

「しかし・・・さっきは身を捩ってもビクともしなかったのに今は何故・・・」

「それは先程、バイキロン首領が君にアンパンを食べさせた。
それにより、君の体にアソパソエネルギーが蓄積され、常人の数百倍の力を発揮する事ができるようになったのだ・・・・ムッ

「ここに居たぞ!殺せ!!」

戦闘員達がこの部屋に集まってきた。

「イカンな・・・。安郷君、君は逃げろ。」

「しかし・・・あなたはどうするんですか?」

「ワシはここで戦闘員達を食い止める。
なに、数が多いだけで大した戦闘能力もないヤツラだ。問題はない。
さぁ、早く行け。まだしばらくアソパソエネルギーが残っているハズだから、壁は簡単に破れるはずだ。」

「すいません・・・あの、あなたの名前は?」

「ワシの名は邪夢。またいつか会うこともあろう・・・。」

そういうと邪夢は腰につけた刀を引き抜いた。

「さぁ・・・ワシの『無命』の錆になりたいものはかかってくるがいい・・」

「クッ全員でかかれ!この男を殺すんだ!」 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

後ろで闘いが始まっているのを感じながら、安郷がひたすら逃げた。
壁を突き破り、アジトと思われる場所の外に逃げ、安郷は何とかバイト先のパン屋に逃げることが出来た。

「コラァ!安郷!お前、一週間もさぼってどこいってやがった!?」
「おやっさん・・・これには訳が・・・!?」

ドガーン

店にロケットランチャーが撃ち込まれる。
安郷は危機一髪でその弾をかわした。
しかし店は火の海になる・・・
「もうヤツラの追っ手が・・・くそっ!!」

 「う・・・安・・郷・・」

 「ハッ!おやっさん・・・おやっさん!!!」

 「ば・・・馬鹿野郎・・・人の心配する前に・・・早く逃げろ・・・」

 「おやっさんを見捨てて行けるわけが・・・それにこれはオレのせいだ!!」

 「いいから・・・早く逃げ・・・」

  ドガーンドガーンドガーン

更に砲撃が続けられた。

ドガーン!

「しまった!!ぐおーっ・・・」

安郷は砲撃をマトモに喰らってしまった。
砲撃が止み、辺りに煙が漂う・・・

「クックックックッ・・・ウチの組織の最高傑作と聞いていたからどれほどのモノかと思ったが・・・
流石に直撃を受けては生きていられまい。クハハハハハハ・・・」

辺りの煙がはれていく・・・
するとその中から、黒い人影が姿を現した・・・人を一人抱えている

「おやっさんが・・・死んだ・・・・オレの・・・せいで・・・」

「な・・・馬鹿な!ロケットランチャーの直撃に耐えうるボディだと!!
貴様は・・・一体!?」

「オレの名は安・・・・・イヤ、仮面の戦士・・・仮面ライダー・・・仮面ライダーA(アンコ)だ!!

「仮面ライダーA(アンコ)だと・・!?」



「そう・・・オレは改造された悲しみを背負う・・・パン屋よりの使者!!
貴様にも聞かせてやる・・・悲しみの、A(アンコ)の咆吼を!!!



   第1話A(アンコ)の咆吼・完



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