プロローグ
極めて近く――
限りなく遠い世界へ――
戦いはまだ、終わらない――
ソウルゲインの刃が、ツヴァイザーゲインを捉える。命中箇所は動力部のすぐ脇だ。人間なら間違いなく即死するであろう場所である。
「ぬお、このツヴァイザーゲインが……! かくなる上は……次元転移で……」
「それを待っていたぞっ! ヴィンデルッ! ……今だ!」
次元転移装置を起動し、平行次元に逃げようとしたツヴァイザーゲインの機体をソウルゲインが押さえつける。
「アクセル! 何を……! ぬううっ!」
「もう自爆装置はなくなったが……お前の機体をその代わりにさせてもらう!」
「アクセル! お前は……!」
「ツヴァイは、そのものが次元転移弾のようなものだ。その威力ならば……! みんな! 10秒以内に離脱しろっ! 阻止限界点付近まで下がれぇっ!」
「やめろ、アクセル……!」
ソウルゲインは必死にもがくツヴァイザーゲインを引きずるようにして地球へと墜ちようとしているアクシズへと一気に移動する。
「約束通り、あの機体を墜としたが……!?」
「ヤツは何をするつもりだ?」
ラー・カイラムにいる二人、ブライト=ノア大佐とサウス=バニング大尉が困惑している。
「これは……まさかとは思いますが……」
「敵大型メカ、エネルギー増大」
「……考えたくないけど……これは恐らく……」
ネルガル重工所属の万能型機動戦艦ナデシコのクルー達が嫌な想像を口にする。オペレーターのホシノルリはいつもの無表情な声音だったが。と、その時百式のクワトロ=バジーナ大尉も同じ結論に思い至ったらしい。
「自爆か!?」
それで、その宙域にいる人間全てが状況を把握した。
「そうか……! ジャブローに仕掛けられた爆弾は確か……!」
「次元転移弾……!」
ダイターン3の破嵐万丈、νガンダムのアムロ=レイ大尉が。次元転移弾はただ一つで、連邦軍の本部であるジャブローを消し飛ばしたほどの威力がある。次元転移装置を自爆させれば、あるいはそれと同等か、それ以上の破壊力を生むだろう。
「まさか、その衝撃でアクシズを!?」
「冗談だろ!」
ダイモスの竜崎一矢、コンバトラーVの葵豹馬が。
「死ぬつもりなのか!? 戻れ、アクセル君! 戻るんだ!」
「なんでだよ! 何で一言も言わずに……!」
「かっこつけてるんじゃねぇっ!」
「そうだよ!」
グレンダイザーのデューク=フリード、エステバリスのテンカワアキト、スバルリョーコ、アマノヒカルがそれを思いとどまらせようと叫びを上げる。だが。同じエステバリスのパイロット、マキイズミは冷静に――冷酷に言った。
「他に……方法がある?」
「む……」
「う……た、確かに、ここまで来たら……」
マジンガーZの兜甲児、グレートマジンガー搭乗の剣鉄也は、思わず納得した。アクシズを地球に墜とすワケにはいかないのだ。そして、そのために選べる手段は既に――
「……そういうことだ。下がってくれ。もう……みんなの仕事は終わった」
ツヴァイザーゲインは今すぐ爆発してもおかしくないというのに、アクセル=アルマーはいっそ優しいとさえ言える口調で、納得できない仲間達を窘める。
「……後は……俺が落とし前を付ける」
そう。元凶の一人である自分が。
「一斉攻撃でアクシズを破壊出来ないのか!?」
真・ゲッター1に乗る流竜馬は、今にもその超出力を解き放たんばかりに、アクセルを踏み込んでいる。確かに、真・ゲッターの出力は、いっそ異常だ。とはいえ。
「ここにいる全ロボットが真・ゲッター並のパワーがあるなら別だけどさ!」
「そうもいかねぇ……!」
ザンボット3の神勝平、ドラグナー1のケーン=ワカバが絶望的に叫んだ。
そう。それだけの出力を持つ機体は数少ない。人型機動兵器ならともかく、巨大なアクシズを破壊するには力不足だ。ただでさえシャドウミラーとの最終決戦直後である。例え真・ゲッターと言えど――いや、一度に使うエネルギーの多い真・ゲッターの方が、むしろ残エネルギー量は心許ないだろう。更に、ウィングガンダムゼロのヒイロ=ユイは淡々と追い打ちを掛けた。
「それに時間もあるまい」
よしんばアクシズを破壊できるとしても、それが遅かったら意味はない。いや、むしろ岩塊がばらばらに地表に降下するだけ、地上に与えるダメージが大きくなる可能性さえ、ある。かと言ってそのまま落下させてしまえば、舞い上がる粉塵によって陽光は遮られ、地球は核の冬による死の星に成り果てる。
「そうか、一瞬でパワーを出し切れるとしたら……」
「次元転移弾の威力を使うしかないというのか!」
ゴッドガンダムのドモン=カッシュ、ガンダムEZ−8のシロー=アマダが、それを悟る。
「アクセルさんよ、そりゃねぇよ!」
「じゃあ……始めから……」
「始めから……そのつもりで!?」
「アクセルさんっ! ダメぇっ!」
ZZガンダムのジュドー=アーシタ、Zガンダムのカミーユ=ビダン、ガンダム試作3号機デンドロビウムのコウ=ウラキ、ナデシコの艦長ミスマルユリカと、若い人間はそれでも、アクセルを思いとどまらせようと。だが、既に、遅い。
「この世界に……俺の居場所はない……じゃあな」
その言葉を最後に――アクシズを、爆発した次元転移装置の光が覆う。
ソウルゲインのアクセル=アルマーも、同時に意識を失った。
プロローグ・END