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- 或る休日 -
  目覚めるといつものような朝だった。

 ふと、ベッドの隣を見れば、愛しい恋人が眠っている。

 「・・・そうだな。まだ起きるのも勿体無い。」

 俺はそうひとりごちると、恋人の髪を撫でる。

 気づかずに眠るリュセラ。

 


   ―――あぁ、俺はこの人を守るためだけに戻ったのか。



 
  潜り抜けてきた冥界の扉を思い出す。

 最も、俺の場合は昔の魔力・・・もとい、あの猫の化けていたモノのお陰で

 コチラに戻れたようなモノだ。

 最近は、と言えば国の転戦に付き合って最前線で闘っていた。

 心配をかけていない筈もなく、いつも帰れば心配した顔をするリュセラに、少しだけの

 罪悪感を感じながら。

 「ふむ・・・。にしても今日は眩しいな。」

 ベッドにもたれながら外を見る。

 目をこらせば、コチラに誰か、向かってきている。

 「ったく、折角の休みだってのに・・・・。」

 俺は文句を言いながら、着替え、そしてブーツを紐を締め上げる。

 勿論リュセラはまだ眠ったままで、俺はそれを確認してから、客を迎えた。

 





 「さて、用件はなんだ?」

 俺は横柄な態度で相手に投げやりに言う。

 一瞬で、相手の姿が掻き消える。

 ―――オ マ エ ノ イ ノ チ 

 爬虫類のような冷たく巻きつくようなその相手は俺の背後に回り、鎖鎌で襲いかかる。

 まずは、斬りつけてくる鎌を手甲でかわし、煉獄を左手に出す。

 そのまま爬虫類の胴に向かって突き刺すが、それはかわされた。

 「で?オマエも冥界の奴か?」

 ぎぎぎ。と異音を立てて笑う爬虫類。

 「ソンナモノ、カンケイナイ。オレ、オマエ、コロス。ソノクビ、サシダス。オレ蘇ル。」

 ―――理解した。

 ただ、蘇りたいだけがために、こう成り下がった男。

 「そうか。お前も俺と同じような存在か。」

 煉獄に魔力を叩き込み、一気にインフェルノに切り替える。

 「オマエ、コロス。」

 「いい加減、その言葉使いにも飽きた。・・・・いくぜ!インフェルノ!」

 一気に巻き上がる嵐と魔力の暴風。そして烈風を越える灼熱の風。

 「逝くぞ。」

 一気に相手に向かって突進する。そして俺はインフェルノを振りぬく。

 「オマエ・・・ナニモノ。」

 事は呆気なく、俺の魔力に怯えた爬虫類は成すすべなく胴に風穴を開けられている。

 最も、俺のインフェルノ自体が嵐の元。爬虫類は、呆気に取られた顔で俺を見た。

 「俺は俺だ。それ以外の何者でもない。お前よりも譲れないモノが多いだけだ。」

 そう告げると同時に、爬虫類は塵となって消える。

 「ふん。背負うのは己の分だけで十分だ。」

 俺はそう言うとインフェルノも消し、家に戻った。





  「・・・あれ?お帰りなさい。想。」

 今、目覚めたばかりだろうか?リュセラがベッドに腰掛けていた。

 「あぁ、タダイマ。」

 「どこかに行っていたの・・・ですか?」

 ふと、俺の格好を見て言う。

 「あ?あぁ、少し散歩にな。」

 「そう・・・。」

 少し儚げな表情で、それでも笑顔で答えるリュセラ。

 「眠い。もう少し寝てもいいか?今日は折角の休みなんだし。」

 俺はジャケットを脱ぎ捨てながら言う。

 「えぇ。では、私も一緒に。」

 



  「じゃ、おやすみ。」





  そう言って、二人でベッドに潜り込んだ。








    −終−
  a to ga ki
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