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- 死界 chapter 1 -
さて、今の冥界軍。

少なからずそれは俺にも異変をもたらしていた。

まず、殺意。

他愛のないことにさえ、殺意を持つほどに憎悪してしまう。

「・・・・なぜ・・・など問う時間も無駄か。」

ふと、勤務に行く直前に襲ってきた相手を思い出す。

間違いなくアンデッドで、冥界の者であった。

数も今回は尋常の数ではなく、インフェルノが穿ちぬいた数、総勢75体もの冥界人を

相手にしてきた。

実際、無傷であるはずもなく、傷に触れようとするリュセラにさえ、不機嫌な顔をしてしまったのだが。



「いい加減、ケリもつけないと・・・な。」

家の外、庭に置いてあるチェアーに腰掛けながら呟く。

「想?どうしたのです・・・か?」

洗濯を済ませたのだろうか。リュセラが俺の姿を確認して、コチラに来た。

それでさえ、殺意が出そうになる。

「・・・ここまで、だったのか。」

俺はリュセラの姿を振り払うように、ただ立ち上がり冥界の軍に向かおうとした。

―――が、

後ろからの、ただ慈愛と、願いだけの柔らかな感触が俺を包み込んだ。

「・・・・私には・・・。」

その唇から、出る声は酷く弱い。

「想しか・・・いないのですから。」

けれど、意志はこの上なく、篭っていた

「だから、帰ってきてください。」

「あぁ。解った。約束だ。」

振り返ってリュセラを抱き締める。

その胸には約束をしたペンダント。

互いの心の底まで、うち開けよう、という約束だけのペンダント。

そこはかすかに湿っていた。






「さて、もう覚悟も出来た。後は、お前たち次第だ。」

家を離れて早々、冥界人に襲撃された。

「退け。さもなくば・・・。消す。」

一気にインフェルノの状態にまで魔力を叩き込み、ただ、死神が鎌をもたげるように、大きく振りかぶる。

そんな言葉、ただの偽善でしかない。

目的もなくただ言葉も理解するでもなく襲い掛かる亡者達。

「慰みにもならんだろうが、せめて、跡形もなく消え去れることを感謝しろ。」

無慈悲に俺はインフェルノを撃ち出す。

威力の増したインフェルノは亡者を飲み込み塵としていく。

淡々とその繰り返し。



幾度刃を放ち


幾度刃を受け


幾度目の刃を放ったか、途方もない回数を数えるわけでもなく


俺は冥界の城の前に立った。




「さぁ、ここから、だ。」

事実、ここに入れば俺は飲み込まれるのかもしれない。

けれど、入らないと終わりはない。

重い音と同時に誘い込むように開く砦の門。

「往くぞ?」

身を低くしなやかな獣のように真っ赤な影が進む。

目の前には昔見た者たちの姿もあった。

そのまま廊下を突き進む。

目の前の冥界の者の攻撃を弾き、自分の進む道だけを確保しながら、武器を繰り出す。

幾度の剣戟を越えた後、ひたすらに広い部屋に出た。






「・・・ここは・・・・。ま、ありきたりな場所・・・か!」

その言葉の終わりの瞬間、鎖が俺の体めがけて襲い掛かってきた。

「チィ!」

バックステップを踏めるだけのスペースもない。

一瞬で意識を切り替え、背後から武器を召還し、それをぶつける。

ただの行為に映るが、魔力を大量に積んだそれは鎖を弾き飛ばすには十分だった。

「へぇ・・・。避けられるんだ?」

見れば少女の姿。けれど、見据えた眼光は鋭い。

「ふん。甘く見るのもいい加減にしろ。でないと・・・」

少女のわき腹の部分から一気に血が噴出す。

「死ぬぞ?」

俺が不敵な笑みを浮かべれば、わき腹全体が抉られた少女の体は、脆く崩れ去った。

そう、鎖を弾いた俺の武器、形状は煉獄と同じランスタイプ。

それは鎖を弾いたあと、軌道を変えて少女の体を穿ちぬいていた。

しかも、視認出来る疾さを越えて。











「ガキまで殺させるんじゃねぇよ。ったく。」

その奥にある扉を開け放った。













〜chapter 1st end〜
  a to ga ki
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