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- 死界 chapter 2 -
意外にその扉は重苦しかった。

真っ青な世界。

それは凍りついたかのような死人さえも動かない世界だった。

「寒ぃな。」

「そうか?」

不意を突いたように一閃と振り下ろされる剣戟。

「・・・・チィ・・・・・!」

刃武を出して、間一髪で防ぐ。

いや、煉獄だと持たなかっただろう。その一撃。

「お前・・・・。」

ふと前を見る。

「フン。貴様を殺せば、俺は前の地位に戻れるんだ。」

俺が冥界を抜けるときに、最後まで邪魔をしてきた男だった。




「貴様のせいで・・・!」

続けて繰り出される剣戟を防ぎつつ後退する。

けれど、刃武さえ、その剣戟のせいで凍り付いていた。

―――キィィン

一旦大きい音が木霊し、俺と相手の距離は広がる。

真っ青な騎士と対峙する真紅のジャケットの俺。

「フン。それでこんな最前線か?惨めだな。」

俺は嘲笑ったが、実際の余裕はいつもほどはなかった。

「やせ我慢など・・・くだらん。」

蒼い騎士は構える。

「・・・貴様を凍らせて、そのまま砕いて潰してやる。」

一気に間合いが詰まる。

俺は刃武を収め、インフェルノを繰り出した。

「は!そんな炎など!」

蒼い騎士の剣が俺の急所を狙う。

その一撃を紙一重で弾き、そのまま狙う・・・、けれど、隙がない。

「手が出ないか?!これが貴様と・・・俺の差だ!」

蒼の騎士は笑う。

「・・・・調子に乗るな?」

「な・・・に!」

一気に巻き上がる炎。





―――お前・・・・殺すぞ?





おぞましいまでの殺意と、明確な攻撃、そして異常な空間が広がった。

俺の髪は金色に変化し、その後ろには数多の剣が浮遊している。

刃はすべて、蒼い騎士に向けて。

「ほぉ・・・。貴様のようなカスでも、その様な芸当が出来るか。」

蒼い騎士の体が、一寸、低くなる。

俺はその瞬間に刃を10本、飛ばす。

「遅い!」

一瞬の踏み込みで、20mを跳躍してきた蒼の騎士の切っ先は俺の体をかすめた。

「捉える!」

「甘い!」

俺も煉獄を飛ばし、ガードする。

けれど、出してる数は限りがある。

防御に使う場合、それは無駄弾に近い。

いや、先ほどの少女の場合、ただの金属だから、防げた。

けれど、今の男であれば違う。

刃はことごとく氷に埋もれ、そのまま落ちる。

「逃げてばかりだぞ?」

蒼の騎士は笑う。

「うるせぇよ。」

俺は剣を飛ばし、自らも弾きながら後退する。

「ふん。逃げてるだけならば・・・。」

一旦引く蒼い騎士。

一際、魔力が上がって室温が下がったような殺意。

「は!知るか!」

俺も弓を射るように、左腕を引き込み、インフェルノを構える。






―――事は一瞬の出来事だっただろう。






「氷刃・・・!」

「穿つぞ・・・。インフェルノ!」

交錯する烈風と吹雪。

異様なぶつかり合いは部屋のもの全てを砕いていった。







「ふぅ・・・・。」

胸騒ぎがする。

いつも通りに、何事もなく帰ってくるとは言ったけれど、それでも胸がざわめく。

あの日から繋がっている感覚はまだ在るのだけれど、それでも、不安だった。

「想・・・・。」

ふと、絵を描く手を止めて呟いた。













「チッ!」

「くっ!」

ぶつかり合いは双方の力、共に互角。

ダメージは蒼い騎士のほうが少ないだろうか。

俺は、ぐっ、とダメージをかみ殺し、再度インフェルノを構える。

「ほぅ・・・。」

蒼の騎士は笑う。

「そこまでして、貴様は何を求める?強さなど、貴様のいる世界では十分だろう?」

愚問だ。

とんだ愚問。

「あぁ、オマエには理解出来ねぇよ・・・。俺がどう・・・思っているか、など!」

一気に部屋に灼熱の暴風が巻き上がる。

「そうか。所詮、貴様もその程度・・・か。」

氷の刃が構えられる。

ふと、呟く。

「オマエみたいなプライドのある奴なら、もっとマトモにやりあいたかったな。」

蒼の騎士も呟く。

「そうだ・・・な。貴様とは完全に平等に勝負したかったぞ。」

次の瞬間、

「いくぜ!インフェルノ!」

「魔氷刃!」

巻き上がるのは正反対な物をぶつけ合った結果だろうか。

竜巻が部屋の随所に発生する。




―――突進しあうは真紅と深蒼。




その次の瞬間は酷く呆気なかった。

俺が振りぬこうとした瞬間、蒼の騎士の身体から数多もの十字架の形をした剣が一斉に生えてきた。

「な・・・・・に?!」

一気に距離を置く。

「ぐっ・・・。謀られた・・・か。」

蒼の騎士は跪く。

「・・・どういうことだ?」

「簡単なこと・・・だ。俺の一族・・・はな。残り俺一人。実権・・・の、争い、ということだ。」

吐血しながら蒼い騎士は言う。

「しゃべるな・・・!オマエはここで・・・。」

「触るな!」

俺が壁に横たえるのを静止する蒼い騎士。





「―――頼む。俺を消し去れ。」





蒼い騎士のプライドが、俺にまっすぐにそう告げた。

「オマエ・・・。」

「あぁ、あんな奴に殺されたとあっては、我が家の恥。ならば、敵に消し去られるほうが・・・我が家の名誉を・・・。」

―――何も語らない。

コイツはただ、家の為のみにここまで仕えた。

ならば、敵として、応えてやるのがいいのだろう。

「そうか。それなら、往くぞ。」

静かにもたげる死の刃。

振りぬいた瞬間、誘うかのように、その部屋の奥の扉が開いた。









〜chapter2nd END〜
  a to ga ki
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