「兎のお祈り」



僕は天使じゃないから
虹に腰をかけることなんてできやしない
だから せめてと 丈夫そうな枝の木を探し
片足ひっかけ ぶらさがる
顔を真っ赤にしながら
ぶらーん ってね
こぼれるウジ虫みたいな涙が
蝿となって 虹に届くことを祈りながら

僕は天使じゃないから
100km離れた街角で雨宿りしながら
部屋の片隅で膝を抱えた君の
流す涙は拭えやしなくて
震える肩を
そっと抱き寄せてあげることもできやしない
だから 僕は片足ひっかけぶらさがり
ウジの涙を垂れ流す
君を想って
自分を想って 
虹に手の届かない全ての人々を想って
顔を真っ赤にしながら
ぶらーん ってね


一週間振りに会った君の顔はアザだらけ
そいつはまるでホラーショウ
転んで階段から落ちただって?
これまた随分 お約束なことを!
僕は天使じゃないけれど
なにがあったかぐらいの察しはつくさ
だから なにも言わなくていい
今はただ 君の側にいさせてくれれば

僕は今日も今日とて泣いているだけ
片足を枝にひっかけ ぶらさがりながら

もしも 僕が天使だったなら
イタメつけられ 泣き叫ぶ君の姿を
じっと見守っていてあげることができたのに





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