僕はオタクを思考する
今回のコミケはあまり話題もなく、特に注記する事がない、と言うのが実際の所である。その中でもあえて特に書くことがあるとすれば、私が毎回集めている「ヲタク考察」型の文章同人誌において多く参考図書として引用されていた本があった、と言う事である。
その本の名を、「動物化するポストモダン」という。
「動物化するポストモダン(講談社現代新書:2001)」は新進の現代思想家として、またオタク系文化の批評家として最近有名になってきた東浩紀が去年の終わりに上梓した本である。コミケの最中に本屋で見つけ帰省中に読み終えたのだが、私のようにオタク考察に非常な価値を置いている人間にとっては大いに興奮する内容であった。
この本ではオタクの消費活動を「大きな物語」によらない、データベース型の消費であると位置付け、それは優れてポストモダン的な行為であると批評する。それはモダンからポストモダンへと移行する中で、日本の思想の中枢であったスノビズム(形式的な否定主義)から純粋に快楽を需要供給関係へと落とし込むアメリカニズムへの傾倒―――「動物化」であると結論付ける。
「オタク系文化におけるアメリカの影響」「同人・二次創作とシミュラークル」「データベース消費と萌え要素」など、ポストモダンとオタク系文化の消費形態に対する関連したその構成と仕事は斎藤環の「戦闘美少女の精神分析」、大塚英志の「物語消費論」と並ぶオタク考察の基礎資料となるものと言えるだろう。
「動物化するポストモダン」は読み込んでいる最中に思わず自主的にレジュメを作ってしまうほどに、私に対し強烈な興奮を与えた。機会があれば、これについてもう少し深く論ずる予定。新書としては難解でやや専門用語が多く、オタクとしての基礎知識や近代以降の思想のある程度の流れと理解が必要となるものの、基本的にはこれ一冊で内容を把握できる程度の本である。まさにお勧めの一冊と言う事ができるだろう。
夏コミと同じく、今回買った同人誌を列記する。
また、リストだけでは何を購入し、どんなものなのかが分からないという指摘を受けたため、簡単な説明を下記する。
<ゲーム/コンシューマー・PC>
PRIMITIVE
FEI‐YENS(以上、バーチャロン/和幸新宿組)
睨月〜巻のニ〜(月姫/制服学部メイドさん学科出版局)
月姫辞典・最終版(月姫/自爆のたぬき株式会社)
志貴典序曲(月姫/MEGA‐MIX)
奇麗な月の磨き方(月姫/純巾堂)
ADSL
Wonderful Life
芝刈組SPECIAL BOX(月姫、こみパ、ギャルゲーよろず/芝刈組)
LUNA U
PATLEAF(月姫、Leaf/田舎工房)
THE SOUND OF THE LEAF(こみパ/FELNE MARKET)
時には少女マンガのように。
銀色の週末
幼年期の終わりに(こみパ/チキンなげっと)
White Memories(WA/りーふれっと)
いつもだったらもう少しコンシューマのRPGやSLGの同人誌が入っているものだが、SRW・サモナイともに気に入った同人誌が無く(SRWの方は一冊購入したが)、コンシューマーでは結局いつも買っている和幸新宿組のCGフォト集のみを購入した。そう言えば、SRWにサモナイって、両方ともバンプレストのゲームだなぁ……。
ギャルゲー関連では今年一番の注目作であった「月姫」本と、最近DC版を始めて熱がやや再燃している「こみパ」本を数点手に入れる。ただ、ほとんどのサークルが行きつけの……という言い方がややおこがましいなら、一度は買ったことがあるサークルと言うのはややマンネリ傾向か?
<創作>
LIVING on the EDGE(カレンダー/Obedient Servant)
Trick+Masters【ONE】
Trick+Masters【Three】(創作/重戦車工房)
神籬―ヒモロギ―
LACK(創作、イラストCD/VISUAL WORK STATION)
フデコ伝説W(カタログマンガ/Drモロー&スタジオ寿)
「Obedient Servant」が西配置だったため、新刊ゲットできず……(泣) こうなったら今年はレヴォにも参戦か? 他は新しく「VISUAL WORK STATION」と言うサークルのものを手に入れる。イラストレイタータイプの作家で構成されていて、なかなか良い。萌絵より、こっちのデザインの方が私の好み。
<資料・電源不要>
メカ生体ZOIDS大図鑑
新ゾイド大解析(1999〜2001)(ゾイド/CYBER―SOL CORPORATION)
ちゃっぴー用語の基礎知識2001‐冬
スーパーロボット大戦α用語の基礎知識(用語集/RPG正規軍)
バトルメックデータ集
リフト・オフ!(バトルメック・降魔兵団)
日本刀マニアック六(資料/大攻勢)
星辰霊符
セーマン・ドーマン
古代エジプトの神々
梵字
タロット&カバラ(資料/無極庵)
珈琲番付2001‐2002(飲料本/きりん本舗)
「萌え」の構造1
声優って何だ?(考察/MAD HOUSE)
ギャルゲーの本U(考察/ぱんどらボックス)
ONE卒業文書
萌えの時代(考察/豆満江開発機構)
SNOW FRAGMENTS(考察/2D協)
ギャルオロジィ第四号、第五号(考察/東京大学新月ギャルの会)
買いも買ったりテキスト物。わざわざ埋立地まで行って、18禁本も買わんと何をやっているのだか、この漢は(笑)
図鑑・辞典タイプのものは無視するとして、今年の目玉の一つは「無極庵」のオカルト資料を大量に買ったこと。気がついたらこのサークル、買って無いものが大量に出ていたという良くある話で……(笑) でも、買ったは良いけど、何に使うんだろう?(爆)
もう一つの目玉はコミケ60(01年夏)で見つけたテキスト系サークル「豆満江開発機構」の二冊。「萌えの時代」はテキスト序文にあった「動物化するポストモダン」を引用している同人誌。こちらはまだ未完部分が多く、夏コミ以降の完成のようだ。これはこれでなかなか興味深い。「ONE卒業文書」は私がAIRを論考するために踏み台のように扱ってしまったONEの論考・解説書。ONEの持つ「不条理」としてのファンタジーを明確に解説しており、目から鱗がボロボロ出ることに。評価に戸惑った作品を簡単に切り捨てるものではないと言う事を身をもって知る事となる。
また、コミケ初参加以来毎回買いつづけていた飲料同人サークル「きりん本舗」が活動を停止する事を知る。疎遠になるのではなく、「停止する」という事に、寂しさを覚えると共に、これまで本当に大量の缶コーヒーを飲んだであろうサークルメンバーへ拍手を送りたい。
|