カタリストの部屋T
「ペルソナ2罪 現代神話の目指す先」
ペルソナ2 罪
制作:アトラス
価格:6,800円
ジャンル:RPG
竜牙兵:さて、皆さんこんにちは。ゲームカタリストの竜牙兵です。
みねこ:はじめまして、こんにちは。アシスタントを務めさせていただく
ことになった「みねこ」です。皆さんよろしくお願いします。
竜牙兵:今回から始まりました、「カタリストの部屋」では不肖竜牙兵が
クリアーしたゲームについて本人がいちいち解釈を加えていくという非常に
自己中心的な企画です。
みねこ:今からびくついててどうするんですか(笑)
竜牙兵:第一回目の犠牲者は私が後輩から無理やり借りてきたアトラスの
新作、「ペルソナ2罪」です。それでは、始めましょう!
みねこ:ちょぉぉぉっと待ったぁ!その前に、
>>>CAUTION!!<<<
この文章はネタバレ文です。出来ればゲームをやった人、クリアーした人、
やる気の無い人、別にネタバレでもいいやっ!て言う人以外には勧められま
せん。気をつけてくださいね?
>Chapter 1 「論旨・ペルソナ2の印象って?」
みねこ:それで先生、結論として「ペルソナ2」はどんなゲームなんですか?
竜牙兵:一言で言うと、「普通のRPG」だね。
みねこ:と言いますと?
竜牙兵:可も無く不可も無くと言った評価が出来ると思う。いや、標準以上の
作品ではあると思うが、RPGの体系(コード)の中で何かをした、という
作品ではない。FF7後の典型的なRPGであると言えるだろう。
みねこ:出だしから厳しいですねぇ。
竜牙兵:そうかい?でもこれはアトラスが持っている最大のレーベルである
「真女神転生」から「ペルソナ」シリーズをはがした最大の理由が、新規
ユーザーとホワイトユーザーを獲得するためだと言われているからね。
大概において、画期的なものというのはマニア向けであるわけだし、コン
シューマーRPGの中で最大のカルトと呼ばれる「真女神転生」から独立
したのも、今や国民機と呼ばれるPSで出す新作である以上、仕方が無い
事なんじゃないかなぁ。実際、システムや難易度が昔のユーザーからすれ
ば信じられないほど簡単になっているわけだし(注1)
みねこ:その割には設定やネタがずいぶんマニアックですが…。
竜牙兵:そこはそれ、そうで無かったらアトラスで出すRPGの意味が
無いわけだから(笑)。正直なところ、システムがこんなに軽くなった
割にテーマが重くて感心したよ。(注2)
みねこ:テーマといえば、姉妹編である「デビルサマナー」シリーズとは
ずいぶん差別化が計られているようですが?
竜牙兵:それはそうだろうね。「真女神転生」が大きな「神と悪魔」の
戦いを描いた神話であったのに対し、「デビルサマナー」では身近な悪魔、
精霊や妖怪にテーマを持つ。これに対し「ペルソナ」では悪魔を象徴的な
扱い(ペルソナカード)として扱い、出来る限り現代的なテーマに焦点を
当てようとしている。「ペルソナ2」ではその考えかたがより具体的に出て
きた格好ではないだろうか。
みねこ:「現代的なテーマ」と言いますと?
竜牙兵:心理学やメディアにトンデモ本、そして何より「ペルソナ2」の
シナリオの骨格である「噂」といった、いわば「現代の神話」と呼べる
ものに焦点を当てた、という事だね。
みねこ:「現代の神話」…ですか?
竜牙兵:そう。神話というのは「人間心理の雛型」であって、心理学と
言うのは神話の現代的解剖である…という言葉がある(注3)。人の
心理と流通する物語(情報)が神話であるならば、噂や心理学はまさに
「現代の神話」と呼ぶにふさわしいね。
みねこ:「現代の神話」と銘打つなら、クトゥルフ神話体系も出てき
ましたね。
竜牙兵:メインの敵キャラクター(ニャルラトホテップの事)として
出てきたのは今回が始めてかな?これも面白い試みだね。(注4)
みねこ:それではそろそろ個別に見ていきましょうか?
>Chapter 2 「システムについて吼える男」
竜牙兵:こんなシステム、メガテンぢゃ無い。以上!
みねこ:ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜。それじゃあわざわざ
章立てにする必要無いじゃないですか〜。
竜牙兵:私は事実を述べただけだよ。合体システムを使ってないメガ
テンなんて、そんなのメガテンぢゃねぇ。
みねこ:で、でもさっき「真女神転生からペルソナシリーズをはがした」
って…。
竜牙兵:だからと言って、あんな単調なシステムにして良いっていう免罪
符になるか? だいたい合体システムの良さって言うのはなぁ・・…。
(十五分経過)
みねこ:マニアの意見はもういいですぅ〜(泣)
>Chapter 3 「テーマの変遷、テーマの骨格」
みねこ:あ〜う〜、ひどい目にあった。
竜牙兵:い〜や、まだ言い足りないぞ。だいたい「合体」というのはその
インモラルな…。
みねこ:あうっ!つ、次ぎいきましょ、次(汗)。こんどはテーマについて
見ていこうと思うんですけどっ!
竜牙兵:ん、そうだね、そろそろ行こうか。
みねこ:(ほっ)
竜牙兵:この物語の大テーマは「父性」だろうね。全てのPCが自分の
父親に対してコンプレックスを持っているし、最後の敵がズバリ「グレート
ファーザー」だったりするし。
みねこ:まぁ、そうでしょうね。
竜牙兵:ボスであるニャラルトホテップがユングの言う「父性」、夢の
悪夢に出てくる屹立した男根の役回りで出てくるのも興味深いね。人の
意識が誕生するところ、つまり無意識界の主としてニャルラトホテップと
フィレモンが存在するんだけど、ユングはその「無意識」を「漠とした闇」と
表現しているんだ。ニャルラトホテップが「這いよる混沌」そして「闇」の
名を持つ事から、これと重ねているんだろうね。ただ、ねぇ…。
みねこ:どうかしたんですか?
竜牙兵:テーマの描き方が後退しているように見えるんだよ。夢に誘う
「蝶」と悪夢の「男根」というフロイトの夢判断を使うのは良いんだけ
れど、感情をそのベクトルの違いで「良い」「悪い」と分けるのはどうも…。
みねこ:良い感情、悪い感情というのはありますよ?
竜牙兵:それはそうなんだけど、そんなにスパッと切れるものではない
だろう? 第一、マイナスベクトルの感情がプラスを導く事は多いしその
逆だってある。事実、PC達はそのシナリオの中で自分の「影」を倒す事
により自分のマイナス面を克服、同化している。それなのに、克服すべき
「父性」のマイナス要素のみにダブらせるのはどうかと…。
みねこ:ううん、そうかなぁ。
竜牙兵:まぁ、マイナス要素といった「分かりやすい構図」にした方が
シナリオが理解しやすいのは事実だけどね。「初心者向け」のペルソナ
としては正解かもしれない。かつて「属性」を使い正義も悪も無い世界を
描き出した真女神転生の末裔としては残念だけど。
みねこ:では第二にシステムの骨格でもある「噂」についてですが…。
竜牙兵:これは見事なシナリオ構成だね。最古のメディアである
「噂・風聞」の恐ろしさを存分に見せてくれるつくりだ。その噂に
よって現れる敵が、やはりメディアを利用する事によって成り上がっ
たナチスと言うのはちょっと洒落が効き過ぎだね(笑)
みねこ:なるほど。
竜牙兵:あえて言うなら、もっと「噂」によって劇的にシナリオが
変わっても良かったかもしれない。「噂をまく」事に対する必要性が
少し薄かったから。それにしてもヒトラーとはなぁ。まるで「神々の
指紋」かと思ったよ。あれもトンデモ本だし。
みねこ:トンデモ本も小道具の一つでしたね。
竜牙兵:「トンデモ本」もすっかり市民権を得た言葉になったね。
山本さんはいつになったらSFを書くのかねぇ(笑)。(注5)
みねこ:それにしてもヒトラーとは…。制作は大丈夫だったんで
しょうか?
竜牙兵:昔から開発前に鬼子母神に行く人達だからねぇ(笑)。
でもタブーをタブー視しない姿勢はすごい事だよ。作中でイゴ
ールが「英雄とは人の心に雛型を創る人物」と語ったけどヒトラー
はまさにそれに値する人物だからね。ゲームというメディアで
ヒトラーをこういう風に扱えると言うのは大きな発見だね。
(注6) (注7)
>Chapter 4 「そろそろ結論にいこうか?」
みねこ:では、そろそろ結論に行きましょうか?
竜牙兵:と言っても最初に言っちゃってるんだけどね(笑)
みねこ:そう言えばそうですね(笑)
竜牙兵:最後に一つ。「自分のマイナス面を否定しない」事がこの作品の最大
ポイントかもしれない。何より自分のペルソナ(多面性)を重要視しているん
だよね。これは重要だと言えよう。
みねこ:それでは皆さん、そろそろお時間となりましたので失礼します。
アドバイザーは私、みねこと、
竜牙兵:解説は竜牙兵でした。それでは失礼します。
注1:前作であるペルソナ1には副題として「女神異聞禄」と銘打たれていた。
今回はそれが無い事に対する文章。女神転生シリーズの難易度については近くの
メガテニストに聞く事をお勧めする。
注2:「サウザンドアームズ」は無かった、と言う事で(笑)
注3:ごめんなさい、出典忘れました(謝)
注4:私の解釈で「現代の神話」と呼ぶのに真にふさわしいものは三つ、
「クトゥルフ神話体系」「スターウォーズ」「欧州系の心理学派」である。
注5:山本弘氏の事。グループSNE所属のSF・ファンタジー作家で「と学会」の
会長でもある京都人。本職はSF作家で私が初めて呼んだSF小説の著者でもある。
余談だが彼がシステム構築の責任者であった角川スニーカー文庫の小説シリーズ
「妖魔夜行」もまた「噂」に着いて示唆に富んだ内容の作品である。
注6:ヒトラーをオカルティストとして扱ったエンターテイメントとしては皆川
亮二著の「スプリガン」が有名。これもお勧めのマンガの一つ。
注7:古い話だが、かつてアップル社のCMで「世界を変えていくのは、クレイ
ジーだと言われた人達だ」というコピーが出たとき、「何でアドルフが入ってない
んだよ」と思ったのは私だけではないはずだ(笑)