403 名前:歩美1/2 ◆/Juice3Jac [sage] 投稿日:04/03/14 23:42 ID:Ui5UQIeg
「寝ちゃだめ、おにぃちゃん」

 聞きなれた甘ったるい声が、ソファーで深い眠りに落ちようとするのを邪魔する。
「おにぃちゃん、……寝ないでってば」
 ソファーの背もたれに載せた頭を、ぐらぐらと揺らされる。
「ん……起きてるよ……」
 顔が上を向いているため、蛍光灯を遮ろうと瞼を閉じたまま、空返事でごまかそうとする
俺。仄かに明るいのはわかるが、強烈な眠気はその程度では引き下がらない。仄かに明
るいのはわかるが、強烈な眠気はその程度では引き下がらない。
 少しの時間――寝ぼけたままの脳が、妹があきらめただろうと根拠の無い判断を下した
時間――が過ぎた頃、

 不意に真っ暗になり――口唇に柔らかい感触が押し付けられた。

 ほんの少し驚いたが、それでもこの一ヶ月の間に、何度もされたことだけに、突然のキス
にたいする余裕は出来ていた。けれど少しとはいえ眠気が減ってしまったので、その悔しさ
を感触を味わうことで補うことにした。
 妹の口唇は、相変わらずちょっと甘ったるい。右腕に精一杯の力を込め、ゆるゆると妹
の背中に回す。口唇がすこし強く押しかぶさった。なので今度は力を抜いて、舌に力を入
れてみた。
「んっ、んうっ」
 妹が顔を持ち上げようとしたので、右肩に力を入れ、腕に重さを加えて、離さない。
――妹とのキスは、何度しても気持ちいい――妹の唇は俺の舌を受け入れ、俺のした
い放題な動きに合わせて、びくっと収縮を繰り返す。
「はぁっ、おにぃ……ちゃん……はぅっ」
「歩美……」
 妹の吐息につられ、名前を呼ぶ……
 ――!
 突如、物凄い勢いで、妹が起き上がったため、何事かと目を開いた。
 眩しい。その眩しさの中で、逆光の妹の表情は勝ち誇っていた。
「ほーら、起きた♪」

404 名前:歩美2/2 ◆/Juice3Jac [sage] 投稿日:04/03/14 23:44 ID:Ui5UQIeg
「……ん、まさかそのために?」
 言われてみれば、妹とのキスに次第に夢中になり、眠気も遠ざかっていた。
「うん。だっておにぃちゃんたら、ちっとも起きてくれないもん」
「……」
 無邪気に笑う妹の笑顔に毒気を抜かれて反論する気もなくなった。だが、起きたのはい
いが、違うところのほうがもっと起きてしまったぞ、妹よ。
「で、俺を起こして、どうする? 続きは?」
「続き……かぁ。おにぃちゃん、続き……したいの?」
 顔を近寄せながら上目遣いに問い掛ける妹の表情に、おもわず喉が鳴る。
 俺は、どきどきしながらコクリと頷いた。
「えへへー、でも今はだーめっ♪」
 ちょっとむかつく。下半身の勢いに乗じて押し倒してやろうかとも思うが、
「へへへ、それよりもおにぃちゃん、今日が何の日かわかってるの?」
 質問された為、勢いがそがれる。
「その顔は、ぜんぜんわかってないでしょ、今日はホワイトデーだったんだよ」
 忘れてたことを正直にいえないかわりに、眠ってごまかそうと試みる。
「おにぃちゃん、忘れてたんでしょー。今年は、今年こそは忘れずになんかくれると思っ
て、ずっと言い出さないで待ってたのに……」
 なんか泣きそうな歩美の顔が可哀想。どうしよう。
「しかも、もう眠ろうとしてるし……今寝ちゃったら、もう起きないじゃん。日付変わっ
ちゃうじゃん。今日貰えないじゃん。そんなの駄目よ。駄目ったら駄目! 
――頂戴、頂戴、頂戴! 絶対に頂戴! 貰うまでは寝かさないからねっ!」
 全然泣きそうじゃねーじゃん。それどころか手をクロスさせて舌出してるし――またな
んかのアニメの影響受けてるよ……
 それでも、ふざけてるとはいえ、あまりにも真剣な目で訴えかけてくるので、っていう
か、確かに今年はなにか返さないと悪いよな。こいつとこんな関係になったきっかけだし
な。しかし、さてどうしたものか。
「あー、そうだ、ちょっとまってろ。今持って来るからさ」

 さて、何をあげてごまかすか……

(もう二つほどで終わるけど今日中に間に合いそうもないので取り急ぎ)