- 31 名前:1/3 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/14 22:35 ID:yTMOLZV2
俺の頭を強打した綾乃ちゃんは、俺の腕の中で恍惚に浸っている妹を奪い取る。
あ、別に俺は抵抗したわけじゃないぞ。こんな危険極まりない妹を持って言ってくれるんな
ら、俺はのしをつけて進呈しても良いくらいなんだけど、どーいうわけか綾乃ちゃんは強姦
魔の手からいたいけな少女を救うかのように、すごい気迫で妹の身体を引っ張ったわけで。
今も、俺から守ろうとするように、妹を背中にかばっている。
これって、すごく傷つきます。
だって、強姦魔ってんなら、それは妹でしょ?
うわ、思い出してしまったよ。俺はあの妹に後ろの処女を奪われたんだ。あはははは(涙)。
俺は童貞で非処女でつか? 笑えねーよ。俺は二度と、処女のまま後ろを開発されてしまう
女の子のエロ小説では抜かないと誓います。家に帰ったら、さっそく2冊処分する、絶対に。
たぶん……。
「この変態! 鬼畜! ろくでなし! 色魔! エロ河童!」
そんなことを考えている間も、マシンガンのような綾乃ちゃんの罵倒が、容赦なく突き刺さ
ります。
ちくしょぉ〜! その言葉すべて綾乃ちゃんの背中にいる妹に向けてくれよ。
今のはどう見ても、妹からキスしてきただろ? そりゃ、俺も気持ちよかったよ。ああ、気持
ち良かったさ! それのどこが悪い!? だって、この妹の奴、めちゃキスがうまいんだよ。
これで気持ちよくない奴がいたら、俺はそいつを不感症ってののしってやるね。
だから、とにかく俺は悪くない! わかってくれ、綾乃ちゃん!!
そんな俺の心の叫びも届かない綾乃ちゃんは、胸のポケットから生徒手帳を取り出す。
「校則第1条!『生徒は学業を本分とし、本校生徒として恥ずかしからぬ生活態度を心がけ
る』!」
うわ、さすが学級委員長兼風紀委員長。開いた生徒手帳をこっちに向けながら校則を暗
唱しているよ。
「とんで、校則第17条!『異性とみだりに接触し、猥褻な行為に及ぶことを固く禁じる』! 第
17条補則!」
- 32 名前:2/3 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/14 22:36 ID:yTMOLZV2
――! そ、その補則って、まさか!?
「『たとえ兄妹であっても、その例外ではない』!」
第17条補則は、俺を追って妹が入学してきて1ヶ月後の職員会議で急遽決められたもの。
その前日に、迫ってくる妹ともみ合っているところを教師に目撃され、とっさに俺が「これは兄
妹のスキンシップなんです!」と苦しい言い訳をしたのが、この補則が制定された原因であ
ることは馬鹿だってわかる。
だって、補則を制定することを言い出したのがその先生だって噂だもん(涙)。
しかも、補則を朝礼で発表し各自で生徒手帳に書き込むよう指導された全校生徒の過半
数が、ただ校長は「きょうだい」といっただけなのに、なぜか「兄弟」ではなく「兄妹」という字
を当てたというのどういうことなのでしょうか?
「ねえ、大丈夫? あのケダモノに変なことされなかった?」
妹を心配するのはいいけど、俺の方こそ心配してください、綾乃ちゃん。
「変なことだなんて、そんな……」
綾乃ちゃんの腕の中で恍惚と呟く妹に、俺の危険感知能力はレッドゾーン!
「とっても素敵なことでしたわ。うふ♥」
「……! 言いなさい! あいつに、何をされたの!?」
あ、綾乃ちゃん。その眉間に浮かぶ血管は怖いです。
「実は……」
「実はぁ!?」
「今朝……あっ。ごめんなさい。言えませんわ。お兄様に秘密にしろって言われてましたの」
「――!!」
い、妹よ。それではまるで、俺がおまえにいけないことをした上で口止めをしたような口ぶり
ではありませんか! いや、確かに口止めしましたよ。でも、それは俺の恥を隠すためのも
のであって、決して犯罪行為を隠すためのものでは――。
- 33 名前:3/3 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/14 22:37 ID:yTMOLZV2
「ちょっといいかしら?」
綾乃ちゃん、その笑顔はなんだかとっても怖いんですけど(汗)。
「綾乃ちゃん。落ち着いて。クールに、クールに話そうじゃないか!」
「クール? うふふ。あたしは冷静よ。たとえるならキラウエア火山のようにクールだわ」
そ、それ全然クールじゃない!
「そんなあたしから、質問。――今朝、ふたりに何があったの?」
こ、ここはとりあえず、当たり障りのない内容で綾乃ちゃんの怒りを回避するしか……。
「言っておきますけど、あたしはあなたが嘘をつくときの癖を知ってますから。嘘は通じない
と思ってください。――で、今朝何があったの?」
「う……。ひ、秘密です」
「妹さんに、そのことを口止めした?」
「は、はい」
な、なんだか、嘘をついていないのに、とっても状況が悪化しているように思えるのは気の
せいでしょうか? 正直に話しているだけなのに! 昔話じゃ、正直爺さんは必ず幸せになる
のに、どうして俺はこんなに不幸なんだ!?
「うふふふふ。ここまで腐っているなんて、思っても見なかったわ」
綾乃ちゃんは、カバンの取っ手を両手で固く握り締めた。
「こぉ〜んな外道が幼なじみだなんて、あたしは情けないわよ」
教科書を学校に置いたままにせず、毎日持ち帰る優等生の綾乃ちゃんのカバンの推定重
量は約5kg。それを高々と振り上げると、
「このド腐れ外道がぁ〜!!」
その予想以上の衝撃に俺は、そういえば今日の英語と古典の授業は辞書を持ってくるよ
うに言われていたことを思い出した。
- 130 名前:1/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:45 ID:AuONf5n2
「おは…って、今日もか?」
教室に入るなり顔を合わせた友人の田中の言葉に、ズーンと暗くなる俺。確かに「今日『も』」
だよ。ああ、毎朝のようにだよ。あははは。もう笑ってくれ。笑うしかないだろ。
左目のあたりに黒々とした痣をつくって登校するなんて、もう恒例行事みたいなもんです。
「んで、今朝はCIAの連中か? それともFBI?」
「超かわいい・妹のために・兄貴を殺す会」こと略してCIAと、「ファンタスティックでビューティ
フルな妹を守る会」こと略してFBIは、この学校で大きな勢力を誇る2大組織。
そして、彼らが崇拝する妹こそ、俺の妹であることは言うまでもない。
俺の妹を崇拝する彼らにとって、俺はまさに目の上のコブ。そりゃもう、毎日のように襲撃を
受けたり、嫌がらせされたりしています、はい。くそっ、何で俺が(涙)。
だいたい、おまえら冷静になって見ろよ! 俺が妹をだましているように見えるのか!? 妹
をたぶらかしているように見えるのか!? 見えたとしたら眼科行けよ、マジで。
おまいら、妹に付きまとわれて迷惑している俺を目の仇にすんじゃねーよ!!
そんな俺の魂の叫びが届くわけでもなく、あいつらは崇拝する天使(妹)をたぶらかす悪魔
(俺)を退治するべく、日夜校内を暗躍しているわけで……。
「はは〜ん。その浮かない顔は、さては――」
田中はなにやら意味ありげに笑うと声を潜め、
「委員長だな?」
「うっ……!」
鋭い奴だ。
いや、これが普通じゃないか? だって、俺はかなり露骨に綾乃ちゃんにアプローチかけて
いるんだぞ。いや、別に周囲の目を気にしてないってわけじゃありません。そうすることで俺は
妹のことなんか何とも思っていないとアピールするって理由もあるけど、それ以上に大きな理
由があるわけで。つまりは――。
- 131 名前:2/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:46 ID:AuONf5n2
綾乃ちゃんがニブすぎる!!
普通、ただの幼なじみに毎年欠かさずプレゼント贈りますか? 月に1回は映画とか遊園地
に誘ったりしますか? しません! 断固としてしません!
そりゃ、俺の口から、はっきり言ったことはないけど、普通だったら気づくでしょ?
それなのに。ハァ……。
「だけど、いつになっても信じられないよな。あの美人で優しい委員長が、暴力ふるうなんて」
「嘘じゃないって。あのカバンで一撃だよ」
「ふぅ〜ん。まあ、委員長に殴られるなんて、おまえぐらいのもんだけどな」
「ハァ……。やっぱり、めちゃ嫌われてんだよな」
田中の奴、どういうわけかびっくりした顔をする。
「? なんだよ?」
「まあ、その。似た者同士ってことか」
どういうこった?
昼休みを告げるチャイムが鳴ると同時に、俺は心底ぐったりとしていた。
なんというか、もう疲れました。肛門の痛みはずいぶんとおさまったけど、ちょっとした拍子に
今朝の出来事を思い出し、そのたびに欝になってしまう。そのせいで、授業には身が入らない
し、何度か先生に問題を出されたのを答えられず、大恥をかいたよ。
「ん? 教室にいなくていいのか?」
教室から出ようとしたところで、田中に声をかけられた。
「いい。今日は、ちょっとね」
田中が驚くのも無理はない。
- 132 名前:3/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:47 ID:AuONf5n2
だって、いつもなら愛妹弁当を持参する妹を待っていなくちゃいけないんだから。
別に俺は、妹の弁当を心待ちにしているわけじゃない。それどころか、正直やめて欲しいと
思っているくらい。
別に弁当だけならば、百万歩譲って良いとしてやろう。だけど、あのイカれた妹が、それだけ
ですませるはずないでしょ?
「あ〜ん♥」は基本ですが、あの妹は食べ物を自分で噛んで、俺に口移しで食べさせよう
とするんです! マジで、正気じゃありませんって。飲み物はもちろんのこと、それを自分に対
して俺に強要された日には……。
ああ、昼休みのたびにクラスメイトから投げかけられる白い目が痛い(涙)。
だけど、妹から逃げるという選択肢は論外です。
何度か昼休みに逃げ出したこともあったけど、そのとき妹は俺が戻ってくるまで教室で待ち
続けます。それも、声を殺して泣きながら!
兄のために作ったお弁当を抱きしめ、ひとり教室で泣き続ける美少女。
これが他人のことだったなら、俺もその兄に殺意を抱いたかもしれない。いや、そうなったろ
う。だけど、当事者になってみなよ。最悪です(血涙)。
昼休みが終わる直前に戻った俺に、『お兄様。うふ♥ ちょっとだけお待ちしてしまいました
わ』なんて、涙をこらえて言っている光景を思い浮かべてください。
ほら、もう極悪な兄と健気な妹の図式が成り立ちます。
結局、クラスメイトばかりか授業にやって来た教師の白眼視に耐えながら愛妹弁当を食べ
させられるよりかは、おとなしく妹を待っている方がダメージが少ないのです。
だけど、さすがに今日ばかりは別。
あの、その……今朝のキスで、少し俺の、なんというか、気まずいわけです。いや、別に興
奮しているってわけじゃなくて、ホントに気まずいってだけです。今日も口移しで食べさせられ
たら、そのまま妹にキスしたくなるなんて、これっぽっちも思っておりませんです。はい。
- 133 名前:4/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:50 ID:AuONf5n2
ぐきゅるるるるぅ〜!
うっ、腹減った(涙)。
そういえば今朝は何も食べてないや。
かといって、いまさら混んでいる学食に行くのも嫌だし、購買なんてコッペパンくらいしか残っ
てないだろうなぁ。どうしよ?
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、向こうからやってくるのは、綾乃ちゃん!?
俺の顔を見たとたん、そんなに目じりを吊り上げて、顔を真っ赤にしなくてもいいじゃないか
よ。かなり傷つきます。
「ちょっといい!?」
「え?」
いきなり綾乃ちゃんが俺の手を取って、引っ張る。
うわ、綾乃ちゃんって手がメチャ柔らかいんだ。プニプニというか、すっごくいい! やべ!
これはマジでしばらくは手を洗わないぞ。そうなると、トイレでナニを出すときは左手を使うし
かないな。それはそれで困ったな。で、でも、今夜の自家発電は絶対この手でやらねば!!
「そこ座って!」
え? し、しまったー! つい妄想しまくっているうちに、我を忘れてしまった。
って、ここは保健室ですか?
「早く座る!!」
「は、はい!」
俺が椅子に座ると、綾乃ちゃんは保健の先生がいないのに勝手に薬品棚をあさっている。
いいのかな? まあ、綾乃ちゃんだから先生も怒らないだろうけど。
「痛かったら言ってよね」
- 134 名前:5/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:50 ID:AuONf5n2
ハサミで半月形に切った湿布を持った綾乃ちゃんが、怒った顔で言う。
えーと、俺を治療してくれるの? それとも俺は怒られているんですか?
「まったく、馬鹿じゃない! こんなになっても放置しておくなんて!!」
どうやら、怒られているようです(涙)
テープで乱暴に湿布を目のふちに固定しながら、文句を言い続ける綾乃ちゃん。
「ちょっと殴っただけなのに、あたしがひどいことしたって思われるじゃない」
いえ。実際にひどく殴られたのですが。
「だいたい、あんな道路の真ん中で、き、き、キスなんかしてるのがいけないの!」
「あれは、妹が無理や……」
「妹に、あんなことするなんて変態! 変質者! 馬鹿!」
「……ごめんなさい」
うううぅ。そんなに怒らなくてもいいのに(涙)
俺が謝ると、ようやく溜飲が下がったのか、綾乃ちゃんの怒りに固まった顔がほころぶ。
「ま、反省しているならいいけどさ」
ああ、この笑顔が好きなんだよな。惚れた男の弱みというか、たった笑顔ひとつで何だか
幸せな気分になれる。俺って結構単純?
「もうあんな変なことはしないように。わかった?」
「いてっ!」
綾乃ちゃんが、目元の痣を指で弾く。痛かったけど、痛くなかったというか、なぜか心地よい
痛みだった。
「あの、綾乃ちゃん」
「ん?」
「……ありがとう」
- 135 名前:6/6 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/20 00:51 ID:AuONf5n2
俺がお礼を言うと、綾乃ちゃんはもう一度クスリッと笑う。
「いいよ。あたしのせいでもあるんだからさ」
そんな綾乃ちゃんと見詰め合う俺。
何だか空気が輝いて見えるよ。
こ、この雰囲気なら、言えるかも知れない。長い間、俺の心に秘めていた想いを綾乃ちゃん
に告げられるかもしれない。
そうだよ。今ならきっと……。
「あ、綾乃ちゃん」
「なに?」
落ち着け、俺! 落ち着いて言うんだ。言うぞ言うぞ言うぞ! 今こそ届け、俺の想い!!
「じ、じ、実は前から綾乃ちゃんの――」
『 お 兄 様 ぁ 〜 !! 』
うわっ! ど、どこにいる!? どこからきた!?
素早く周囲を見回すが妹の姿はない!
『お兄様。お兄様! わたくしの愛しいお兄様。どこにいらっしゃるのですか?』
って、この声はまさか……!
「な、なんで妹さんの声が、スピーカーから!?」
目を背けたかった現実を適確に指摘する綾乃ちゃん。
これは夢か幻ですか? 校内放送なんて嘘でしょ、綾乃ちゃん?
今朝のキス騒動で、気が高ぶっているのは俺だけじゃなかったんですね(血涙)
- 180 名前:1/4 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/25 01:08 ID:GUnMQbsc
走る走る走る!
『廊下を走るな』と書かれた張り紙を無視して廊下を駆け抜け、階段を2段飛ば
しで駆け上がる。
その間もスピーカーからは、暴走した妹の切々と訴える声が続く。
『ああ、お兄様。どこにいらしゃるんですか? わたくしの心は哀しみで破けてし
まいそうです』
や、やめてくれぇ! 頼むから、誰か妹を止めてくれぇ!
そこの女子二人組み、俺を指差してクスクス笑うのは勘弁してください。あそこ
でゲラゲラ笑っている男どもも、お願いだから。うわ、その汚物でも見るような視
線も許してください、先生。
ドーピングしたベン・ジョンソンも真っ青の脚力で放送室に向かう俺を行く先々で
生徒たちが注目してくれます。
『お兄様。いかにわたくしがお兄様をお慕いしているか、今その想いを伝えます』
伝えるな、そんな想い! 即刻、市指定のゴミ袋に叩き込んで、明日の生ゴミ
の日に捨てちまえ!
『それでは、これからわたくしが想いをこめてつづったポエムを朗読しますわ』
ポ、ポエムですか? すんな! そんなこと、マジですんな!
『ああ、お兄様。あなたの微笑みは、わたしという世界を照らす太陽。あなたの吐
息は、わたしという世界をそよぐ風……』
なななんという、小っ恥ずかしいポエムを(汗)。
ぐはっ! 今すれ違った男子。俺を「太陽」と呼ぶのはやめてくれ。「風」とも呼
ばないでください!
これは羞恥刑ですか? 俺はそんな刑罰を受けるような悪いことをしたんです
か?
「ごるぁ!!」
- 181 名前:2/4 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/25 01:09 ID:GUnMQbsc
ようやくたどり着いた放送室のドアを蹴破り、中に突入。
「ああ! お兄様ぁ♡」
うぅ。その笑顔はやめれ。なんというか、意志がくじける。
って、ダメだダメだ。しっかりしろ、俺! ここで甘い顔をしたらおしまいだぞ。
ここはまず諸悪の根源である、あのポエムをつづったノートを強奪すべし!
「ああ、お兄様!? な、なにを?」
「うるさい! おとなしくしろ!!」
「そんな。いきなり……」
俺の手からノートを背中に隠した妹を追い詰める。
「こらっ! おとなしくしろ!」
「いや! そんな。何をするんですか!?」
ぐぬぬ! 生意気な妹め。
「抵抗するんじゃない!」
何とかノートを掴むが、妹も必死に抵抗。おのれ、いつもは「お兄様の言うこと
なら何でもきく」とか言っているくせに!
「俺の言うことなら何でも聞くんだろ!」
「で、でも。こんなことダメですわ」
くそ、都合のいい発言だな。
「ダメッ! そんなにひっぱたら、破けちゃいます!」
「馬鹿! そのつもりなんだよ! こんなの破ってやる!」
「ダメぇ〜!」
意外に妹が粘るので、戦略転換。奪い取れないなら、つかんでいる部分を握り
締めて、ノートをグチャグチャにしてやる。
「そ、そんな、ひどいです。へ、変になっちゃう(涙)」
「変にしてんだよ!」
- 182 名前:3/4 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/25 01:09 ID:GUnMQbsc
「いやぁ(涙)。もう、グチャグチャになっちゃう」
ノートがボロボロになっていくのに妹が気を取られた一瞬の隙を俺は見逃さず、
一気にノートを奪い取る!
ノートを奪い返されないように、高々と掲げると、妹に見せ付けるように両手で
ノートの両端を持つ。
「いやっ! お願いです。許してください。乱暴しないで……! それだけは!!」
「ダメだ! あきらめろ!」
一気に引き裂こうと両手に力を込める力を込めようとした瞬間。
ドガンッ!!
ドアが爆発したように開いたのに、思わず俺も妹も固まってしまう。
「あ…綾乃ちゃん?」
ドアのところに仁王立ちになっている綾乃ちゃん。
だ、だけど、綾乃ちゃん。その背中から立ち上っているのは、オーラですか?
オーラなんですかぁ!? 正直、マジで怖いです。
赤黒いオーラを背負った綾乃ちゃんは、完全に固まっている俺と妹の前を横切
り、放送室の機器の前に立つと、おもむろにスイッチのひとつを音を立てて切る。
そして、こっちに振り返…ひぃぃ!! 綾乃ちゃん、その笑顔怖いです!!
「うふふ……。妹さんに乱暴するのはかまわないんだけど」
か、かまわないんですか!?
「せめて、マイクのスイッチを切ってからにしてくれない?」
――!?
顔から血の気が音を立てて引く。
まさか、今までのやり取りが全校放送されちゃました?
- 183 名前:4/4 ◆GYhzO8OFh6 [sage] 投稿日:04/04/25 01:16 ID:GUnMQbsc
だ、だって、妹とのやり取りを会話だけ聞くと、やばいです。これ、マジで妹に
性的暴力を働くキチ○イな兄! シャレになってません!
「あ、綾乃ちゃん! それは誤解だよ! 俺はノートを取ろうとしただけ……」
「触れるな、色情狂!!」
「あうちっ!!」
綾乃ちゃんの黄金の右を受けて、ノックアウトする俺。
「綾乃ちゃん、待ってくれぇ〜! 誤解なんだぁ!(涙)」
情けなく床に突っ伏す俺の前に、誰かが立つ。
ああ、綾乃ちゃん! やっぱり、戻ってきてくれたんだね!
「……あっ。猪熊先生」
そこにいたのは、趣味の悪い紫色のジャージを一年中着ている体育教師兼生
活指導部の猪熊先生。
噂ではCIAの最武闘派を率いる謎の覆面ジャージの正体とされている独身中
年教師。ただし、その真実は明かしてはいけません。たとえ、バレバレであろうと
も謎ってことにしておかないと、体育の成績は1にされちゃいますので。
先生は綾乃ちゃん並のオーラを背負いながら、俺を見下ろして一言。
「おまえ。近いうちに家庭訪問な」
NOooooooぉぉ〜〜!!
俺が何をしたっていうんだよぉ(血涙)。
俺って不幸です。もう、不幸の極致です。
そのときは、本気でそう思ってました。
でも、これすらも生ぬるいことだと、間もなく知ることになろうとは……。
ああ、俺の幸せはどこにあるんでしょうか? うわぁ〜〜ん(涙)