- 206 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:04/04/29 05:57 ID:Bj2T73OC
明日から家は私と兄さんだけ。
私の家では毎年お父さんとお母さんが夫婦で旅行に出掛ける日。
つまり・・・。
「明日から兄さんと2人っきり・・・」
きゃぁ〜♪恥ずいっす〜!!
ひとつ屋根の下で兄さんと2人っきり。
「きゃぁ〜!!」
もう私デレデレ。内心ウハウハ。
枕に顔をこすりつけ抱きしめ殴りつけ、溢れる興奮を不器用に表現する。
「明日から何しよっかな〜?」
まず、必ず早起きして兄さんのために朝ご飯を作る。
そしてやる事が無い兄さんと「2人っきり」で同じソファーに座ってテレビを見る。
その内眠くなった方が相手によりかか・・・
「きゃーきゃーきゃー!!」
やだもー私ー!!えっちな事想像しちまったっすー!!
兄さんの肩によりかかる私・・・
「きゃー!!」
バスバス!!
(枕にボディブローを叩き込む音)
私の膝に頭をのせる兄さ・・・
「はふぅぅぅ!!」
(↑昇天)
幸せすぎ・・・もう私ったら幸せすぎですますはいぃ・・・。
「早く朝にならないかな〜」
一年の中で一番長く兄さんを独占できる時・・・
「ん・・・はぅ、っつ・・・兄、さん・・・」
そして私は兄さんの事を想いつつ、自慰に更けた・・・
- 218 名前:206続き 1/3[sage] 投稿日:04/04/29 15:58 ID:Bj2T73OC
「じゃーちょっと行ってくるからー」
「はいよ〜」
洗面所でぼけーっと歯を磨いていた俺に母親が玄関から声をかける。
「テーブルに十五万置いといたから・・・ま、たりるべ?」
「あ〜・・・あぁい!?」
口に含んだ歯磨き粉をブハッと吹き出して洗面所を出るが・・・すでに馬鹿夫妻は玄関の戸を開けていた。
「じゅ、十五万!?お、おい・・・一体どんだけの!?」
ウチの両親が残す生活費はその海外の滞在期間に比例する。
一週間で、まぁ一万〜三万くらい。それが十五万なわけだから・・・?
「娘を頼んだぞー」
「ちゃんとしなさいよーあんたお兄ちゃんなんだからー」
「答えれや人の話に!!」
バタン、
「・・・行っちまいやがった」
十五万・・・まず確実に1ヶ月以上だな・・・確かヨーロッパぶらり旅だかなんだかと聞いたような気がする。
「あー・・・どーすんだよ、あのタコ・・・1ヶ月もパンやら惣菜で暮らせってか?」
鬱だ・・・俺はスパゲティーしか作れない。
「もーいーや・・・」
俺は自衛隊の先輩から流してもらったレーションを喰おうと思い、うなだれて居間に向かった・・・
- 219 名前:206続き 2/3[sage] 投稿日:04/04/29 15:58 ID:Bj2T73OC
「あ、おはっす兄さん!」
「うぉ!?」
うなだれて入った居間の食卓には「ドカーン!!」という効果音が聞こえてきそうなぐらいゴジャースな料理が並べられていた。
「今日から兄さんと私だけっすから・・・張り切って料理してみやしたー!!」
「・・・張り切りすぎ」
俺は苦笑しながらいつもの定位置に座り箸を取る。
「あれ?でもおまえ母さんにたまには飯作れって言われた時は『やだやだめんどいもーん』とか言ってなかったっけ?」
煙草に火を着けながらエプロンを外している妹に声をかける。
「えへへ・・・だって兄さんだけに私の手料理食べてほし・・・あー!!また煙草吸ってやがるしー!!未成年の喫煙は法律で禁じられてるっすよー!!」
「親公認だからいいのです」
ケタケタ笑いながら突っ込みを入れる妹に俺も苦笑しながら返す。
「さて・・・学校もあることですしさっさと食べますか」
「うぃっす」
「いただきまーす」
「召し上がれー」
パク、
「うぉ!?」
「え?どうしたの兄さん!?」
「ウマ━━━(゚д゚)━━━!!」
「当たり前っすよ!!腕によりをかけて作ったんすから♪」
「うひゃー!おまえ母さんよりも料理上手いんじゃねぇかぁ!?」
- 220 名前:206続き 3/3[sage] 投稿日:04/04/29 15:59 ID:Bj2T73OC
「えへへ・・・じゃあお母さんとお父さんが帰ってくるまで私がご飯作ってあげるね?」
「マジ!?」
「マジっす」
まるで天使のような笑顔を浮かべる妹に、俺は初めて感謝した・・・。
・・・
「やべぇー食いすぎたー」
「何も全部食べなくたって・・・」
「残したら勿体ないし」
「あ、何かそれ嬉しいっす」
「・・・お弁当入らないかも」
「えー!!せっかく作ったのにー!!」
学校までの通学路。またいつもと同じよーな、しょーもない話題で笑いながら妹と歩いていた。
「これもちゃんと全部食べて欲しいなー?」
「・・・ぜってー無理」
「うわ、何で!?」
「それ重箱じゃねぇか!!」
「私の分でもあるっすよ?」
「五段あるし」
「ちゃんと分けたんすよー♪一番上が唐揚げと〜」
「・・・はぁぁ」
「おーいそこのお二人さーん!」
と、妹の馬鹿っぷりに呆れていると後ろから聞き慣れた声・・・この声は・・・
「さてはおまえ福田官房長官だな!?」
「はい、日本はテロには屈せず、自衛隊を・・・なんでやねん!!」
あまりにパターンなお決まりの挨拶を交わして親友が妹の隣に着く。
「いやーいいよなおまえ・・・朝から妹ちゃんとラブですか」
- 228 名前:220続き 1/2[sage] 投稿日:04/04/30 12:18 ID:fl9v61gE
「何がラブなんだか・・・こいつは妹だ。妹」
「わー」
「んだよ」
「久しぶりに頭撫でてくれたー」
「・・・やっぱラブじゃん」
「どこがだ」
「・・・考えてみろ!レッツ妄想タァイム!!」
「イェッサー!!妄想するであります!!」
と、親友のノリに乗ってこちらも敬礼してやる。
「もし〜末莉タソの顔がマナマナだぁったら〜?」
「ノォォォォゥゥッ!」
な、なんて事を言いやがるコイツは!?
「もし〜シエル先輩がアンデルセンだたーら?」
「ファーーーーック!!」
それはそれでカコイイ。
「で、何だよ」
「うむ、本題だ。そのおまえと妹のやりとりを俺と・・・まぁ、誰かカワユイ女の子に置き換えて妄想してみろ」
「・・・」
妄想。
「うわっムカつく!」
「それをおまえは毎日学校でやっているんだ!」
「妹、くっつくなくっつくな!」
「やだやだーぎゅーって〜えへへへ・・・」
「離れれやコラァ!!」
「いた!やったっすねー!?」
ぎゅーっ
「首!?首に抱きつくなぁぁ!!」
「では俺はこれで」
「逃げるな親友!!」
「親友アゲェィン」
「寒!!」
寒いギャグをかまし、朝から厄介事を最大限に撒き散らしながら親友は去っていった。
- 229 名前:220続き 2/2[sage] 投稿日:04/04/30 12:19 ID:fl9v61gE
「えへへー兄妹だからくっついたって問題なしっす」
「端から見りゃ馬鹿ップルだろが」
「兄さんとカップル・・・?、きゃ、きゃー!!」
「んだよ」
「やだもー兄さんったらぁ(はぁと
私たち兄妹(デェレデレ」
「・・・もう、突っ込む気にもなれないからそろそろ離れて下さい」
「うー」
「うーじゃない」
「にゃー」
「そういう台詞は耳を着けてから言え」
「・・・着ければいいんでしょ着ければ・・・」
ゴソゴソ・・・
「待て」
鞄に手を突っ込んでゴソゴソやってる妹の腕をガシッと掴む。
「に、兄さん・・・言うとおりにするから乱暴しないで・・・」
「ネタはもういいんだよ!!おまえまさか鞄ん中に『耳』とか入ってんのか!?」
「たまに」
「入ってるのかよ!」
「乙女の身だしなみっすよー」
「・・・ヨーロッパのファッキンファザーとビッチマザー・・・妹は僕の知らない世界に逝ってしまいました」
「うー・・・兄さんだって変っす。」
そんなやりとりをしながら、ようやく校門へ。
「兄さん」
「ん?」
「お昼、お弁当持ってくから待っててほしいっすよ?」
「・・・」
あの重箱、マジで喰わなきゃならんのか・・・
- 247 名前:久しぶり。229の続き。1/2[sage] 投稿日:04/05/06 00:02 ID:tutK45RD
キーンコーンカーンコーン・・・
「はぁぁ・・・」
「どうした親友」
「・・・てめぇ、朝から煽っといて吐く台詞がそれですか?」
俺は朝の妹とのやりとりが自称親友によって学年全域バラ撒かれた事実を、
HRの「藤沢〜彼女いないからって妹に手を出すなよ〜」という担任の台詞により知った。
「いいではないかいいではないか」
「いいと思うてめぇの頭が最悪という事に気付けや学園馬鹿代表」
「ふははは!!婦女子の皆!!こいつは彼女できないからって妹とラブ・・・」
「寝てやがれ!!」
「ハグゥ!?」
俺は思いっきり親友青山にボディフックを喰らわす。
「三年の喧嘩番長、ハリー吉川を一撃で沈めた秘拳だ。立てるはずが・・・」
「アーッヒャッヒャッヒャ!」
(↑アンデルセン起き)
「何ぃ!?」
「ふ・・・こちとら伊達に貴様の相棒をしてないわ!!」
と、実際妹とのやり取りをこいつが言い触らすのは毎度の事なので、クラスがざわめく事は無い・・・
一人を除いて。
「藤沢くん?」
ギクゥッ!?
き、きた・・・
「・・・いい加減、その年にもなってシスコンというのはどうかと思うのだけど」
- 248 名前:2/2[sage] 投稿日:04/05/06 00:03 ID:tutK45RD
冷や汗を垂らしながらゆっくりと振り向く・・・と。
「それとも・・・そうまでして女性との接点を求めてらっしゃるの?」
はい、学園一の金持ち娘、斉藤がいつもの挑発的な笑みでそこにいた。
「女も何も・・・俺童貞違うし」
「あぁら?女っ気がないからってついに同姓愛へ?激しく応援して差し上げるわ」
「・・・俺にしては朝からそんな話題を出すおまえの将来の方が激しく心配だ」
「まぁ。でも安心なさって。貴方に心配されるほど私は墜ちてませんことよ?」
最悪な事に・・・この性悪女斉藤も、この自称親友青山も、俺の幼なじみ・・・。
何で俺の周りにゃまともな奴がいない!?そりゃ妹に癒やし求めるっつーの!!
「もういい・・・俺は昼まで寝る。起こしたら下剤浣腸のフルオートかましてやるからな」
俺は昼休みに教室に訪れるはずの妹に全てを託しつつ、堅い机の上で眠りについた。
「下剤浣腸?なら私は貴方に炭酸浣腸を挿入して差し上げるわ」
「お、じゃぁ俺は唐辛子ペーストを・・・」
・・・誰かまともな方。俺のメル友になってください。
- 257 名前:248続き 1/3[sage] 投稿日:04/05/06 21:45 ID:tutK45RD
「おい・・・おい!!」
誰かが俺を揺さぶる・・・
「起きるっすー兄さん、昼休みっすよー」
誰だよ・・・俺の心地よい微睡みを妨害する奴は・・・!
「うるせぇ・・・下剤浣腸ぶち込むぞ・・・」
俺は朝の宣言通り、その睡眠を邪魔する奴に言ってやる。
「え、えぇぇ!?」
お、効いてる効いてる。
「ついでに全裸にして縛って、その写真を某巨大掲示板に貼り付けてやらぁ〜」
「え、えええええぇぇ!?」
手応えあり!!これで心おきなく眠りに・・・
「藤沢、藤沢」
「・・・んだよ青山」
「それ・・・妹」
「・・・」
「縛って、なんてぇ・・・でも、兄さんがしたいなら・・・」
「待て待て待て待て待て待てーっ!!」
ガバァ!!
「お、起きたな」
「に、兄さん・・・私泣いちゃうかもしれないっすけど」
「違う、違うぅ!!いいい、今のは俺が悪かったぁぁ!!」
俺は何故か赤面してもじもじしてる妹に全力で頭を下げる。
「兄さん・・・」
「いやいやいやいや!!そうだ!!昼休みは一緒にご飯を食べる予定だったね、行こうか!!」
ヤバいですって、
クラス中の連中が白い目で俺を見てます!!
「さぁいこーかー!!」
「あ、兄さん待って」
- 258 名前:2/3[sage] 投稿日:04/05/06 21:46 ID:tutK45RD
恥ぃぃ!!
いくら低血圧で寝起きが不機嫌だからって、いつものノリで妹に下ネタ炸裂させちまったよ、うわあああぁ・・・
「兄さん兄さん」
「スマン妹。俺が悪かった。頼むからこの事は内密に・・・」
しかし。
「えへへ・・・」
妹は笑っていた。
「兄さん・・・ちゃんとお弁当の事、覚えていてくれたんすね?」
「え?」
「ちょっと・・・嬉しいかも・・・っす」
妹はさっきの事は気にしてなかった。
そういえば、妹の手からは大きな重箱が下がっている。
「・・・あぁ」
そうだ。俺は朝に妹と昼飯の約束をしてたんだ。
「ちゃんと昨日から味付けしたんすよ?冷えちゃってるけど美味いはずっすよー」
「・・・」
重箱を胸に抱えて、楽しそうに笑う妹。
「なんで・・・」
「んー?」
「・・・いや、何でもない」
「?変な兄さん」
何で、こいつは・・・こんな俺に優しくしてくれるんだろうか?
兄妹だから?お兄ちゃんっ子だから?
違う気がする。
・・・昔からこんな感じだっけ?
・・・それも違う気がする。
気が付いたら、いつも二人で。
気が付いたら、いつも一緒で。
「兄さん?」
「あ、あぁ?」
「何処で食べよっか?」
- 259 名前:3/3[sage] 投稿日:04/05/06 21:48 ID:tutK45RD
昼休み・・・俺たち兄妹は体育館裏の木陰にいた。
「えへへー。兄さんいい場所知ってるっすねー」
食堂だと人目を引く。中庭や屋上ならモロ馬鹿ップル。
というわけで俺は授業をサボる時の避難所を使う事にした。
ここなら誰も来ないし、静かでいい。
「にーいさん」
「はいはい」
「あーん♪」
「は?」
「だから、あーん♪」
「・・・」
俺は無言で制服の内ポケットから割り箸を取り出した。
今時の学生の標準装備!!これでいつでもどこでもダチの弁当をつまめるね!!
「いただきまーす」
「かーわーいーくーないっすー!!」
ぶーぶー膨れる妹に、俺は苦笑するしかない。
「おまえな、どこに兄貴にあーんさせる妹がいるんだよ」
「ここ」
「いただきまーす」
「かーわーいーくーないっすー!!」
「ははははは!!」
楽しい。ただそう感じる。
こんな風に妹とやりとりして、馬鹿やって・・・。
でも、まぁお互い年頃だ。いつまでもこんな風にはできない。
だから今だけでも楽しもう。兄として、妹と・・・せめて、今だけ・・・。
「というわけでいただきます」
ぱく、
「・・・」
「どうすか?」
「ウマ━━━━━━!!」
- 271 名前:259参照。1/5[sage] 投稿日:04/05/09 15:45 ID:w8k18q1/
「えへへ・・・いっぱい食べてくださいねー」
「おぅ!腹一杯頂くぜ・・・って、おまえは食わないのか?」
俺の喰いっぷりを微笑みながら見守るだけで、妹はまだ一口も口をつけていない。
「私は・・・」
「・・・あ、あぁ、そだった。わり」
「いいんすよー兄さん、ぜーんぶ食べてくださいねー」
そう言いながら、妹は懐からパウチのゼリーとアンプルを取り出した。
・・・これが妹の食事。
身体が弱かった母親の遺伝で、ほとんどの食品にアレルギーやショックを起こす。
しかも、医療用のゼリー食品だけでは充分な栄養を賄えないため、こうしてアンプルを注射しなければならない。
「・・・どうしたんすか、兄さん?」
「おまえ、ちょっと首見せてみ」
「え?」
「首。ユァネック」
言うより先に、俺は妹の頭と肩を抑えて首をのぞかせる。
「に、兄さん、ちょっ・・・ここ学校!!私たち兄妹!!き、近親相姦万々歳っ!!・・・じゃーなぁーくーてぇー!!」
「・・・やっぱし」
妹の首にはいくつかの湿疹。
「・・・味見、しなくていいって、言っただろ・・・」
「あ・・・」
- 272 名前:2/5[sage] 投稿日:04/05/09 15:47 ID:w8k18q1/
「・・・下手したら一口だけでも心臓麻痺すんだから・・・あんま世話焼かせんな」
「えへへ・・・」
「えへへじゃない、俺はマジなんだから。いーか?今後ぜっっっったいにすんなよ?」
「・・・いいんすよ、兄さん」
アンプルを注射し終わった妹は楽しげにまた笑う。
「今だけ、しかこういうこと出来ないんすから」
「・・・」
「大丈夫っす。今朝の朝食・・・私が食べたのは反応しない物だけっすから」
「だから、俺が言いたいのは」
キーンコーンカーンコーン・・・
「っと、昼休み終わり!!私は戻るっすねー」
「お、おい!!皐月!!」
まるで逃げるように走り出す妹の名を、思わず呼んでしまう。
「なんすかー?」
いつもの笑顔で振り向く妹。
「だから・・・」
だから、何?
何て言うつもりなんだよ、俺は・・・
「だから、皐月・・・」
今だけしか、言えない事。
今の妹にしか言えない事?
「あーったく!!弁当美味かった、以上!!」
その言葉に、妹はぱぁっと笑顔を輝かせ、
「ちょっと・・・かなり嬉しいっす!!」
空になった重箱を抱え、俺に手を振りながら校舎へ戻っていった・・・
- 273 名前:3/5[sage] 投稿日:04/05/09 15:48 ID:w8k18q1/
「・・・馬鹿やろ」
完全に妹の姿が視界から消えた時、俺は静かに呟いた。
「そうじゃないっての・・・」
妹ではなく、自分自身に。
「・・・馬鹿やろ・・・」
俺は校舎に戻る気になれず、煙草をただたた吸っていた。
・・・何となく、目頭が熱い、気がした。
・・・
キーンコーンカーンコーン・・・
「終わったぁぁぁ!!終わった、終わったぞぉぉ!!おい藤沢!!六時間が終わったこの瞬間、校舎は放課後になるのだ!!」
「・・・そーか」
「・・・馬鹿ね・・・HRが終わってからが放課後よ」
「・・・そーか」
「おぉう!!ワタシとしたことがミィッスッティィィックゥ!!」
「・・・そーか」
なーんも、聞こえん。
「・・・藤沢くん?」
「・・・そーか」
なーんも、聞こえん。なーんも。
「・・・斉藤、おまえ藤沢になんかしたか?なんかヤケに夕陽が似合うクールガイになってしまってるぞ?」
「なんで私が・・・青山くん?いくら私が責めの達人でも、あのタフガイを落とせた事はないの」
「ほーぉ・・・斉藤でも落とせな・・・・・・な、なにぃ!?落としたぁ!?」
「・・・」
ガタッ、
「お、おい藤沢・・・」
「藤沢くん?」
- 274 名前:4/5[sage] 投稿日:04/05/09 15:49 ID:w8k18q1/
・・・駄目だ、鬱。何故か鬱。
チャカ、バンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバンバン!!クルクルクル、ジャコッ。
「うぉー!!?」
「すげぇ、一千万点オーバーじゃねぇか!!」
「命中率百パー!?神キタ━━━━!!」
・・・お気に入りのゲーセン。やりたかったゲーム台攻略しても鬱。
「藤沢くん・・・?」
と、どっかで聞いた声。
振り向くと・・・
「・・・斉藤?」
「・・・ガンシューティングが得意と聞いたけど、まさかこれほどとは、ね・・・」「・・・は?」
言われてからゲーム台の画面を見る。
【YOU ARE THE GREAT HUNTER!!】
10039825点。
「スゲーッ!!」
「・・・それは何、そういうネタ?」
・・・
「・・・そう、妹さんの、ね・・・」
「・・・はー・・・毎回毎回、シスコンだって思うんだけどさー」
トン、トン!!
斉藤は軽やかにダンスゲームのステップを踏む。
ちなみに俺はついさっき斉藤にズタボロに負けてベンチ入り。
「それで・・・今日は妹さんの優しさに撃沈したわけね?」
「ああ・・・あいつ、俺の心配してくれるのはいいんだけどよ、もー少し自重して欲しい」
- 275 名前:5/5[sage] 投稿日:04/05/09 15:50 ID:w8k18q1/
「ふふ・・・」
「んだよ」
斉藤が長髪とスカートをたなびかせ、ふわっとターン。
・・・あ、下着見えた。今日は青。
「・・・相変わらず、ね」
「はぁ?」
「昔からそうよ?貴方って、いつも自分より他人を優先して・・・」
少し、斉藤のステップが乱れる。それでも画面はハイスコアを叩き出しているが。
「妹さんもだけど、貴方も相当優しい性格ね」
「・・・っ!?」
い、いきなり何を・・・!?
「・・・高校入試の前も、そう」
「・・・掘り返すな掘り返すな」
苦い青春です。
「・・・おんなじよ?優しすぎて損するタイプ」
「・・・う」
「見た目はゴツいくせにねー」
「・・・ぅう」
「・・・まぁ、何にしても」
斉藤が、最後のステップを踏む。
「深く考えすぎよ。もう少し、気楽にいきなさいな・・・たまには息抜きも必要よ」
「気楽に、ね・・・したって妹の命かかってる問題だしなぁ」
「それはそれ。・・・もう、自分に嘘つくのよしなさいよ・・・ね?」
台から斉藤が降り、優しい表情で俺の顔を覗きこむ。
「・・・斉藤?」
「何?」
「・・・息抜きったって、おまえと付き合うつもりは無いからな」
「・・・やっぱり?」
- 297 名前:275参照 スマソ、今回は一発だけ・・・[sage] 投稿日:04/05/10 21:02 ID:N8X4+AeD
「・・・くぅ〜っ!!」
「オヤジ臭いわね・・・」
「やかましい」
斉藤とゲーセンで一通り遊んだ後、俺はアーケードをブラブラしていた。
「ねぇ、藤沢くん?」
「あ?」
「腕組んでいい?」
「拒否」
「・・・固いわね」
「だから掘り返すな」
「まぁ、いいわ。また明日、ね」
「ああ。じゃーなー」
斉藤と別れ、家路へ・・・陽はすでに沈み、月が出ていた。
・・・
「ただいまー・・・」
妹しかいない家に帰宅。相変わらず静かだ。
「・・・ありがとう親父。アンタがいないおかげで本当に静かだ・・・皐月ー・・・いるのかー?」
キッチンから料理の匂いがする。
・・・本当に俺のために料理作ってたのか。
・・・今夜はカレーか。
既に匂いでわかる。流石妹。俺の好みを押さえているな。
「皐月ー」
そして居間に入る。
しかし・・・
「皐月!?」
そこには妹が、肌を真っ赤にして、荒い息を立てながら倒れていた。
「さ、皐月!!!!」
- 316 名前:皐月タソ続き 1/3[sage] 投稿日:04/05/12 21:38 ID:UrPPmxUi
「ああ、だから早く帰って来てくれって・・・」
『だから無理なんだよ、おまえテレビ見てないのか?
親父様は今フランスにいるんだが・・・』
「む、娘の一大事だぞ!?」
『大規模な自爆テロが起こって空港が閉鎖したんだ。国中大騒ぎだ』
深夜、市立の病院。
俺は誰もいないロビーで受話器の向こうの親父に喚いていた。
「ああ、もういい!!腹一杯だよクソ親父!!」
叩きつけるように受話器を置く。
ピピーピピーっと、公衆電話の間の抜けた音がロビーに響く。
「クソ・・・」
俺が家に帰った時、キッチンで倒れていた皐月。
病状は深刻。
身体がスパイス類に対して強烈な反応を起こし、皐月は倒れた。
気管支の異常による呼吸困難、過剰なまでのアレルギー反応による、皮膚の発疹。
そして、
「心・・・停止」
今は持ち直したが・・・電気ショックを使ってまでの治療。
「味見は禁止だって言ったろーが・・・」
そう、原因は・・・夕食の味見。
俺に食べさせるつもりだったカレーが原因だった・・・
- 317 名前:皐月タソ続き 2/3[sage] 投稿日:04/05/12 21:38 ID:UrPPmxUi
「・・・」
手術室の赤い表示が消える。
そして、タンカに乗せられたまま、そこから静かに運び出される皐月。
「・・・」
駆け寄るような真似はしない。
もう、何度も見た光景だ。
駆け寄ったところで、俺に出来る事なんてないのだから・・・
「・・・藤沢くん」
「わかってます、『いい加減にしろ』でしょう?」
「・・・」
主治医がいつものように近づいてきた。
ただ、いつもと違うのは、俺の決心か・・・。
「・・・俺が、強く言っておかないから皐月は・・・」
「・・・そういう事ではないよ」
「・・・」
「行ってあげないのか?」
エレベーターに乗せられる妹を主治医は見ながら、
「大切ないも・・・」
「駆け寄ったところで」
しかし、俺はその言葉を遮る。
「・・・『危険な状態です』、『離れてください』・・・なんだろ?」
「・・・」
主治医は、バツが悪そうに視線を逸らす。
「・・・わかってます、俺のせいですから・・・」
「・・・そう、思い詰める事はないよ」
「いえ・・・」
このまま、回復しても・・・皐月は、また同じ事を繰り返す。
だからこそ、俺は・・・
- 318 名前:皐月タソ続き 3/3[sage] 投稿日:04/05/12 21:39 ID:UrPPmxUi
「・・・今、両親はフランスで起きた自爆テロのせいで日本に戻って来れない状況です」
「・・・」
主治医は黙って耳を傾ける。
「ですから・・・皐月の病状が回復するにしろ・・・両親が帰って来るまでは、皐月を、入院させて下さい」
それが、俺の決意。
「・・・まぁ、まずは皐月ちゃんの意志・・・」
「いえ」
意志なんて・・・あいつの意志なんて、決まってるじゃねぇかよ。
だから・・・。
「これは」
だから、これは・・・。
「・・・強制、です」
- 331 名前:皐月タソ爆発 1/2[sage] 投稿日:04/05/13 15:13 ID:hWc2R9Le
私は、暗闇の中を彷徨っていた。
規則正しい電子音と、仄かな暖かさに包まれて・・・
あぁ、この感触・・・
私は、また、ショックを起こしたらしい。
この背中に感じる固さは、いつもの病院のベッドだ・・・
規則正しい電子音は・・・恐らく心電図。
瞼ごしに感じる、小さな明かりは・・・月の光。
なら・・・この暖かさ、は?
「・・・」
次の瞬間に、変わらない日常があることを祈り、
私は・・・目を、開いた。
「・・・ぐー・・・ぐー・・・」
暖かさの正体。
「兄さん・・・」
私を看病して疲れてしまったのか、ベッドに身を預けて兄さんが眠っていた。
「あ・・・」
私の手を、握ったままだ・・・。
「・・・兄さん・・・」
ベッドから身を起こし、握った手を胸に抱きしめる。
「暖かい・・・」
目を閉じてその体温を抱きしめる。
兄さんの暖かさ。
兄さんの優しさ。
私は、それが一番の欲しいものだった。
昔から、よく家を空けて旅行に行く両親。
その間、遺伝の元である実の母より病弱だった私は、無機質な病室に閉じこめられた。
- 332 名前:皐月タソ爆発 2/2[sage] 投稿日:04/05/13 15:15 ID:hWc2R9Le
小学校の頃から、私は入院しっぱなしだった。
私が食べていたのは味気ないゼリーパウチだけ。
私が知っていたのは病室と、窓から見える風景だけ。
「兄さん・・・」
抱きしめた大きな手に、口づけをする。
空っぽな私の心を満たしてくれたのは、他でもない、兄さんただ一人だった。
そして、この病院から抜け出すきっかけを与えてくれたのも兄さん。
・・・好きだった。
私の心を満たせるのは、すでに兄さんしかいなかった。
欲しい・・・。
兄さんが、欲しい・・・。
側にいたい。
体温を感じていたい。
肌を触れあわせていたい。
「・・・兄さん・・・」
最愛の兄を抱き締める。
禁忌を犯してもいい。
私は、兄さんが欲しかった・・・。
兄さんを抱きしめた、私の体温と脈拍が上昇していく。
背徳感が、私を興奮させた。
理性は、すでに吹き飛んでいた。
・・・17年間抑え続けた欲望は今、暴れ始め・・・私を、完全に飲み込んだ。