ノウェ、道を誤る。
ガセネタを掴まされ、騎士団に捕らわれたマナを助けるべく、もう二度と戻らないと決めていた場所に再び降り立ったノウェ。
大神殿、ジスモアの部屋。封印騎士団団長と、抜け騎士のノウェとユーリックが差し向かう。
「この鐘が十鳴り終った時、あの小娘は処刑されるのだ!」
「なんだって!?そんなこと、させて堪るか!」
「ふはははは!!貴様に止められるか、ノウェ!!」
これ以上の立ち合いを嫌ったジスモアがチンピラダッシュで逃げ出した。捨てゼリフもいいところ、団長らしく気品正しくお逃げ下さい。
広間に残されたノウェとユーリック。部屋の外から遠く、重い音が聞こえてくる。
「今のが鐘の音か・・・・止めてみせる!!」
「ああ、早くしねーとお姫様が危ない。・・・・って、ノウェ?どっちに行くんだ、そっちは・・・・オイ!!」
向かってきた兵士に背を向け、いきなり別の方向に走り出したノウェ。どこへ?
ユーリックも慌てて追いかけるが、出口とかルートとかまったく関係ない方向に向かっている。走り出したらもう止まらない弟を追いかける兄貴、全然追いつけてない。
「お前どこに行くんだ、鐘が鳴り終わる前にお姫様を見つけなけりゃいけないんだぞ!?ノウェ、ノウェー!!」
「だから俺は止めてみせる!」
「だからどこへ向かって!!?お前、そっちは行き止まりじゃないか!?」
「違う、こっちでいいんだ」
ノウェはようやく立ち止まり、全力疾走してゼーゼー言ってるユーリックを振り返る。フルフェイスですから、彼の仮面。
「こっちでいいって・・・・」
「俺は必ず止めてみせる、あの鐘を!!」
「止めるって鐘の方か───!!!」
根本からずれてるー。いやでも、ある意味根本に近い。止めるのはマナの処刑じゃなくて、鐘の音。
「鐘の音を止めたらマナの息の根も助かると思うんだ」
「なんでそんな普通に言うんだよ・・・・それよりも本人を助けに行った方が早くないか?」
「ユーリック、今はふざけてる場合じゃない。その軽口に付き合ってるヒマはないんだよ・・・・」
慈悲深くも憐れみのこもったまなざしで優しく言い募るノウェ。ふざけてるのはどっちやら。
「なんで俺が怒られてんの!!?しかも諭されてるし!俺の方がバカみたいじゃないか!!目を覚ませ、ノウェ!!」
「またまた。ユーリックまでエリスみたいこと言って、俺は正気だ。ユーリックもわがまま言わないでくれよ。さあ、あの鐘を止めに行こう」
「待て待て待て!待て!!俺達、今、ものすごいムダな時間食ってる!!鐘ももう三回鳴ったし!鐘はいいから、まず!」
ユーリックは一息つき、譲歩した。
「まずはマナを助けに行こう。それから鐘をなんとかしよう。それでいいじゃないか」
「・・・・?バカだなユーリック、マナを助けたら鐘なんかどうでもいいじゃないか。へんなこと言うなよ」
「いきなり正論!!?そこまで分かってるんなら尚更だー!!いいから探しに行くぞ、たぶん地下牢!地下牢に行くぞ、コラ!!」
「引っ張るなよユーリック、俺は地下まで行ってられないんだ!!俺は鐘の音を止めに行く!その方がきっと手っ取り早い。レグナー!!」 ガシャーン。
「うおわー!!?竜の子、三階の窓から飛び出したー!!ちょ、待て、待ってレグナー!!」
その後、ユーリックが「聞こえないか・・・・」と呟いたかどうかはイザ知らず。レグナのファイアーブレスで大神殿は倒壊の危機に見舞われたらしい。
団長が途中でうっちゃるから元部下が道を誤ることになるとゆー見本です。
(2005/9/22)