残り23錠。 <1/3>




「足達さーん」
放課後、校内をジャージ姿で歩いていた足達は呼び止められ、辺りを見渡した。・・・・誰もいないようだが。
「こっちです、九里子です」
「あ、なんだ。九里子さんか」
キツネの九里子が窓の外から顔を出していた。なんだか困った顔をしているが、よもや小田原にへこまされたとか。
「どーしたのよ、学校に近寄るなんて珍しいわね。なんかあったの?」
「勇気を振り絞って来てみました~」
当初、数学教師の本田にボコボコにされた九里子は、異常にここの学校を恐れている。黒板用の特大三角定規で突っつかれた恐怖は容易に薄れない。そんなにあるもんじゃないだろう、教材で叩かれるなんて。
九里子は青い顔で廊下を覗き込む。教室棟ではない廊下は放課後でも人気がない。
「小田原さん、いないんですか?」
「あいつ?あいつなら部活。小田原に用事があるの?」
ちなみに辞書部ではない。九里子は歯切れの悪い口調で答えた。
「えーと、まあー・・・・そう言えばそうなんですけど。仕事です」
「へー、九里子さんまだ仕事やってたんだ。私はてっきりもうクビになったのかと・・・・」
「や、やってますよ!キッチリ!!それが成功したかと言われれば言いづらいものもありますが!!」
「そこまで力強く言うことか。そこまで聞いてないから言わなくても」
「うう・・・・この前は仕留めるターゲットを間違えて、ターゲットの隣家の大造さん(63)を狙ってしまいました」
「大造さん災難だったわね」
「そして返り討ちに遭いました」
「あんた弱すぎ!!大造じいさん強すぎ!高齢者にやられたか!?」
「最近退職したばかりの大造さん(63)はシュミのガーデンニング中、「春樹さん(54)の恨みー!!」と襲い掛かった私を移植ベラで叩き落しました。春樹さんから依頼されたターゲットは、隣町の大造さん(54)でした」
「それ以上のキャストはいらない。そして移植ベラでやられた九里子さんはノコノコ帰ってきたと」
九里子は呆然とした顔で頷いた。いくらなんでも下調べが悪すぎる。足達は溜め息を吐いて同情の意を示した。
「そりゃかわいそうすぎる。そんなことがあったとはね。現場にいたら私も笑ってたわ」
「笑うんですか!?だってあのスコップ、先が尖ってたんですよ!?ギラッと!!怖いじゃないですかっ」
「そう言えば先端恐怖症だったわね。ところでその一件はともかく、今日はなんで来たの。小田原に用事なら呼んでこようか?」
「あ、いえ、その。ゴニョゴニョ。できれば小田原さんのいないところで、ちょっとお話を・・・・」
あからさまに言葉を濁し、窓の桟を掴む。事情は知らないが、小田原に聞かれたくない話らしい。これが小田原に何か危害を加えられたとかの場合、速攻で逃げている。いつもと様子が違う。
「事情アリなのね。まあいいわ。小田原が終わるまで時間あるし、場所を移して」
「すいません~お手数かけます」
九里子は窓枠を掴んだままペコリと頭を下げた。髪の間から尖った耳が覗く。なりふり構わずここまで駆けてきたのか。
「ところで九里子さん」
「なんですか?」
いくらか顔色を取り戻した九里子を指差し、今度は足達が青い顔で言った。
「ここ、二階なんだけど・・・・」
「足達さんが歩いてくるのが見えたんで、急いで登ってきました!!ハイ!!」
「そんな元気よく言われても」
リアクションに困る。急ぐ理由はともかく、わざわざ登ってくる必要性はどこに。学校の中に入りたくない気持ちは分かるが、だったら外で待っていろといいたい。
九里子は手で窓枠を掴み、壁に足を突っ張っていた。明らかに勇気の使いどころを間違っている。落ちたら怖い。見ているほうが怖い。その時、外から怒声が聞こえてきた。
「窓の外にいるヤツは誰だーッ!!さっさと下りて来い!!」
「ひえ、」
あっ!と言う間もなく、大声に驚いた九里子は下に落ちた。急転直下。遠い地面からドスッゴシャッとゆー物音が聞こえてくる。なんとゆーアクティブな落下音。足達は慌てて窓から身を乗り出した。
「九里子さん!?」
「どこのクラスだ!保護者に来てもらうぞ!!住所と電話番号と郵便番号を言えー!!」
「ひえーごめんなさい~!!住所不定無職です~!!」
実もフタもないことを言う。無職になるつもりか。そして郵便番号はいらないだろう。
幸か愚行か、九里子は無傷のまま、落ちた足で速攻グラウンドから逃げ出していた。その後をグラウンドにいたソフトボール部の顧問が追いかけていく。数学教師の本田だった。一度ならず二度までも、今回で三度目。
「九里子さん、あんた運が悪すぎるわ」
校舎のコンクリ打ちの地面から外れてグラウンドの土地面に落ちたのは幸いした。したって二階から落ちて無事なのもおかしい。なんというタフネスぶり。
その一部始終を二階の窓から見ていた足達は、「こりゃさすがにマズイ」と思い、一旦教室に戻って制服に着替えてから残っていた同級生としばし談笑した後、荷物をまとめてから学校を飛び出した。なんという落ち着きぶり。



「うう、ひどい目に遭いました」
「私だってまさか二つ先の町まで追いかけることになろうとは思わなかったわよ」
ソフトボール部員が呆然と見送る中、九里子は校門から外に飛び出してその後、五トントラックにブチはねられて、荷台に乗せられてどこかへと運ばれていってしまった。弾みにも程がある。映画か。
自転車で走って追いかけた足達だが、とりあえず隣町まで行った辺りで「もう放っておこう」と三十回くらい思ったことは言わなかった。
二人は学校のある町から二つ離れた町のコーヒーショップにいた。夕方間近の時刻、店内はまだ空いている。その奥で足達と九里子は向かい合って座る。九里子は耳を伏せて髪の中に隠す。
「ところで、小田原に聞かれたくない話って?」
アイスコーヒーの乗ったトレイを間に挟み、足達は声を潜めて身を乗り出した。別に小田原が近くにいるワケではないが、自然と内緒話のようになった。
「あ、はい。そのことなんですが、いろいろありまして、ちょっと長くなります」
恐縮した様子で九里子がかしこまる。九里子の前には熱い緑茶が置かれているが、一口も飲んでいない。切羽詰った緊張が伝わってくる。
「ふむ。仕事の用で小田原に関わりがあるとか」
「はい~。実はこのたび、小田原さんを抹殺することになりまして」
「あいつも相当人様に恨まれるヤツとは思っていたけど、とうとうこの時が来たか」
「ここ驚くところなんですけど!?」
驚きをサプライズで返す足達。倍返しを食らった九里子は呆気なく押しに負けた。足達が一枚上手だった。
「もっとー驚いていきましょーよー!!友達が抹殺されるって聞いたのにー!!」
淡白な反応に九里子はバンと机を叩いて怒る。その拍子に耳が飛び出たが、周りの客は自分の話に夢中で見てはいない。九里子は慌てて声のトーンを落としながらもまだ怒る。
「私が!小田原さんを!抹殺しよーと言ってるのに!!つまりバキューンとやっちゃおうって言ってるんですよ?何か感じ入るところはないんですか!?」
九里子のテンションとは裏腹に、足達は「はあ?」と首を傾げた。
「いや、あいつは友達じゃない。単に隣りの席だっていうだけの間柄」
「今時の若者怖い!!流れ的になりましょうよ、友人関係に!」
「あいつこの前、私が飲もうとしてたオレンジジュースにコーラを混ぜやがった。隙を突いての一瞬よ。今日の昼休みからそういう関係は断ち切った」
「しかも今日のハナシなんですか!!そ、それくらい寛容に笑ってやりましょうよ~あはは、は」
笑い声が掠れる。よもや本日、足達と小田原の間にそんなイザコザがあったとは思いもよらず。足達は打って変わり険しい表情で続けた。
「私が楽しみにしていた100%天然果汁は人工甘味によって台無しにされた。あの炭酸にやられてすべてが台無しよ。しかし二秒後の右フックでチャラにしてやったぜ!!」
「ものすごい友人関係ですな!!」
「してやったり!!」という表情で親指を突き上げる足達。それで和解に辿り着く関係は世間でなんと称するのか。たぶん友人関係とは呼ばない。ギスギスしてる。
「あ、あ。まずは、つまり、とある方からの依頼で小田原さんがターゲットになってしまったワケなのです」
居住まいを正し九里子は話を再開した。足達の話の方が生々しい気もするが。
「そりゃ大変だわ。とある方って誰よ?」
「それは教えられません。何せ足達さん達と同じ学校で同じクラスだなんて、とても言えません!」
「あんた言ってる。ま、小田原はそいつに恨まれてると?」
「あ、言っちゃいました!!不覚!」
頭を抱えて唸る九里子。基本的に注意力が足りてない。だからウッカリでトラックに轢かれたりもする。
「それで困ってるんですよ~。いくら仕事でも小田原さんを狙うなんて・・・・」
「ま、その依頼者も相当恨みがあるよーね。私も知人がいきなりキツネに襲われてバラされて海に沈められて死にました、なんて聞きたかないわ」
「そっ、そこまでやりませんよ!!怖いことを仰る!!」
そこまでやるつもりはないが、そんな凶悪な手もなかなか思い付かない。真剣な面持ちで頷く足達の目は、やる気だ。
「やらないの?私も今日の一件で海かこぶしか選べつったら「お前のその全力でかかってこいよォ!!」って言われたから右フック食わしたんだけど」
「やりませんよォ!!私だってそんなことしたくないから、こーして小田原さんに相談を・・・・」
髪の下からでも耳が垂れ下がるのが分かる。よっぽど困ってここまで来たらしい。足達はコーヒーを一口飲んでから溜め息を吐いた。
「はー。九里子さんもなんでそんな依頼受けちゃったの?やりたかないなら「できません、私はとても無能なキツネなのでできません」って断ればよかったのにさ」
「そこまで自らを貶めなければならない程に!?」
「確かにお前は無能なキツネだが、成功に結び付かない仕事を請ける程、自分の能力を見極められない程に無能とは思わなかった。さっさと退職して子供でも産んだらどうだ」
「あら剣さん。あんたどこにでも出てくるのね」
「おぎゃー剣!!」 ドッガシャ。
隣りのテーブルから椅子を引っ張ってきて二人掛けの席にむりやり座ったのは、九里子の同僚の剣だった。何かと九里子に因縁付けてくるがツンデレらしい。
九里子は驚いた拍子に椅子ごと引っくり返って後ろの壁にぶつかっていた。痛々しいリアクション。足達は剣を見た。
「また偶然通りかかったワケ?」
「偶然なこともなくはない」
「そりゃどっちよ」
「なっ何を白々しく!!元はと言えばあんたがー!!」 ガシャーン。
頑張って立ち上がろうとした九里子がまたぞろ転んで隣りのテーブルを巻き込んで倒れた。痛々しいを通り越して悲しくなってくる。
「ま、ま。落ち着け九里子さん。何が元はと言えば、なのよ」
悲しくなってきた足達(顔は笑ってる)は九里子に手を貸して立ち上がらせた。九里子の言い分を聞くに、この一件には剣も一枚噛んでいるらしい。なんだか事がでかくなってきた。
「聞いて下さいよ足達さん~」
よよよ、と泣き崩れる九里子。机上のカップや紙ナプキンを薙ぎ倒しながら涙ながらに訴える。
「元はと言えばこの仕事、最初は剣が請けたものだったんです~。よよよ」
「うん、うん。それでなんで役立たず・・・・じゃなくて、九里子さんがやることになったの?そこんところが分からんね」
「確かに私は役立たずのコックリさんですよっ!よよ。それはともかく、途中から部門違いの仕事だとゆーことになりまして、私にお鉢が回ってきたワケなのです。よよよ」
「あー分からんね。剣さん、説明してくれ」
何を言っているのかサッパリだった。テーブルに突っ伏して泣く九里子は使い物にならない。足達は剣に説明を求めた。
「昨日のことだが、俺はとある人間から呼び出された。もう聞いたとは思うが、お前と同じクラスの人間だ」
「あんたどっから聞いてた?ま、そりゃ九里子さんから聞いたけど、そいつが小田原を殺してくれと物騒なことを頼んだとか。それ頼まれたのって九里子さんじゃなくて剣さんだってことでしょ」
剣は頷いて肯定を示す。こっちは九里子と違って有能なスタッフ(コックリさんの)だと聞いたが、なぜわざわざ九里子に仕事が回ってきたのか。
「この前言った通りだが、俺は未来予測が専門だ。実力行使の形は取らない。そこはそれ、九里子の専門だ」
それで合点がいった。足達は納得しながらも、不安げな表情で言う。
「だから九里子さんに・・・・もっと使えそうなコックリさんいなかったワケ?」
「候補の一人は旅行で有給を取り、次の一人は風邪で倒れ、三人目は産休に入ったばかりで、残りが九里子だったワケだ。ハッキリ言って俺もできるとは思わんが」
「大丈夫よ九里子さん、残り物には福があるって言うし」
「慰めになってませんよー!!だから私もイヤだって言ったんですよ!」
机を叩いて怒る九里子。なんでここまで二人がかりでコキ下ろされなければならないのか。オフィシャルな拷問か?
「わ、私だって!小田原さんをこ、殺すなんてできるワケないでしょ!!恐ろしい!」
「まあ確かに恐ろしいわよね。返り討ちに遭うのが関の山よ」
「そっちじゃなくてー!!そ、それも恐ろしいのですが!!」
現実に差し迫った恐怖を提示されてびびる。九里子の度胸と実力では返り討ちが精一杯だと思われる。何せ相手はイミダスで武装している。ヘタなマネでは殴り殺される。小田原はきっと躊躇なく、やる・・
それはそうと、足達は肝心なことを聞き忘れていることを思い出した。剣に向き直る。
「ところでその依頼主、剣さんに何を占ってもらったの?未来が分かるんでしょ?すげー」
「正味を言えば今回、未来予測の依頼ではなかった」
「じゃあなんなの」
「小田原と付き合っている男はいるのかと」
「はー、あいつのね。いないんじゃない?この前ブン殴って別れたって言ってたけど。その男、波止場でやられたもんだから海に落ちて死にそうになったらしいわよ」
「理由は分からないけど今時の女子高生おそろしい!!」
九里子が震え上がった。これからその張本人をやろうってのにこのザマでは、やっぱり成果は期待できない。
「その現場を見ていた俺も「今はいない」と答えたのだが、」
「見てたのかよ!!未来予測してないじゃん!なんで現場にいた!?機動捜査か!?」
剣につっこむ足達。波止場ギリギリで小田原が男をブン殴って海に蹴落としている現場を平然と見ている剣を想像すると、笑えてきた。
「偶然通りかかっただけだ。それで俺も帰ろうとしたがその依頼主、もう一つ頼みたいことがあると言ってきた」
「その依頼主がですねー、今好きな人がいるよーなんですが、実はその男の人って・・・・」
割り込んできた九里子にみなまで言わせず、足達は呆れた顔で言い募る。
「あー分かった。その男が小田原を好きなんだと。だから小田原を消してほしいと」
「おおっ、足達さんすごい!!そのとーりなんですよ!いい腕してますな!」
大袈裟に驚く九里子に平淡な足達。順を追ってみるとちゃちな始終であった。確かにベタな展開ではあるが、そこから殺しの依頼に絡むとはとんでもない。
しかし、そんな危ない思想の人間とクラスメイトかと思えば背筋が寒くなる。小田原も人に恨まれやすいとゆーか、諸々と恨まれることを仕出かしている分、五分五分の勝負かと。
「ベタな展開ですが予想はついたわ。んで、それは剣さんの出番じゃないから九里子さんがやると」
「さすがお見通しですな!それで私が小田原さんを!!」
ビシッ!と足達を指差す九里子、しかし次にはまたぞろ机に崩れ落ちた。しおれてる。
「・・・・できるかどうかは別として~」
「荷が重過ぎる。九里子さんにゃムリだわ。どう頑張っても返り討ち止まり」
「うう、広辞苑のカドで殴られるのはご免です」
「剣さんもそれ請けなきゃよかったのに」
話は最初に戻るが、最初に依頼を請けた剣に矛先が向く。剣は表情を変えずに答えた。
「俺も最初は請け負う気はなかった。リスクの高い仕事はなるべく請けないことにしているが、最近の九里子の仕事があまりにも酷いと上から言われてな、これが汚名返上のチャンスだと与えられたワケだ」
「そりゃ頷けるわ。九里子さん、あんた小田原をやれなきゃクビになるわよ。ユー、やっちゃいなよ」
「ジャニさん!?」
ビシッと九里子を指差す足達。同級生を売った瞬間である。物騒な割にノリが軽すぎて教育委員会に電話したくなる。教育ってなんだ。青春ってなんだ。
「できなければ評価は落ちたままだな」
おののく九里子、そこへ剣の鋭い指摘が入る。まったく以てその通りである。
「その通りだ九里子さん。ここでやってやらなきゃクビよ。リストラよ。捨てられキツネになりたいかっ」
「それもイヤですよ~!!捨てキツネだけには!無職にはなりたくないです!」
「嫁と言う名の無職もあるが、拾ってやらないこともない」
「がー!!ハローワークに電話してやる!!」
ものすごい勢いで剣に掴みかかる九里子。今度こそ店内の視線が集中する。引っくり返りそうなテーブルを掴みながら、足達は九里子の肩を叩く。
「ま、犬に噛まれたと思って。やっちゃいなさいよ、小田原を」
「で、できませんよ!できるとしても、そんな、仮にも知り合いを狙うなんて~」
しり込みをする九里子に、足達はなんてことない風に告げる。
「知り合いだと思わなきゃいいのよ。小田原は知り合いじゃなくて宿敵、前世からの仇敵、運命の天敵だと思えば」
「そこまでブッ飛べませんから!!お願いですから小田原さんが無事に済むよーな解決策を考えましょーよ!」
「さておき、その仕事ってキャンセルできないの?クーリングオフっつーのもおかしいけど」
「契約違反はまずい」
その問いに剣が答える。珍しく表情に険が増す。
「依頼主がリターンを得た以上、それを違えることは俺達がリスクと言う名のキャンセル料を払うことになる。呪い返しってことだ」
「人を呪わば穴二つってことね。そう言えば聞いてなかったけど、あんたらって依頼主のどこから報酬もらってんの?」
原始的な疑問。九里子に数学教師・本田の抹殺を頼んだ時、実際には九里子が勝手に解釈してそう走っただけだが、あの時は結局失敗に終わったのでどうだったか知る由もない。
「得るべきところから頂いている。お前達の探るところじゃない」
「それにしたって気になる」
「ならばお前は何のために学校へ通い、なんのために生きている?その理由と同じだ。俺達が今の時勢に連綿と存在し続ける意義と同じことだ」
「需要と供給の関係ね。他人からの需要に応えられなければ供給者の意味はなくなる。私達は価値を持ち続けることが重要だわ」
「足達さん含蓄ですなー」
「いや、テキトーに言っただけだから。とりあえず今は小田原の件をなんとかしましょー」
コーヒーを飲み干し足達は立ち上がった。とりあえず九里子とは知らない縁ではない、取り繕う程度に助けてやるのも人情だろう。九里子はパッと嬉しそうな顔に変わる。
「助かります!じゃあ早速!!」 ガラゴロン。
机上を叩いて立ち上がる九里子。その拍子にガタの来ていたテーブルが、崩れた。





根深い本田先生。本当は優しい先生なんですよ、九里子のタイミングが悪いだけで…(2006/11/14)
長くて全部で三話あります。剣はこのあともずっと出張り、小田原はしばらく出ず、九里子は泣き、仁義なき泥沼で足達一身に負担がかかるのです。それをも跳ね返す剛の者よ!アホい展開です。自分で言うのもなんですが、やっぱりこのハナシ好きなんですわー。


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