logo.gif

ヴァンパイア:ザ・マスカレード用案内文
V:TMにようこそ!


 

作品の概要

 この作品はアトリエサードから発行されているヴァンパイア:ザ・マスカレード日本語版用の案内文です。コンベンション等でヴァンパイア:ザ・マスカレードを説明するために作成しました。日本語版だけを前提にした説明であり、細部では世界観等に間違いがあるかも知れません。他の日本語版ストーリーテラーの参考になれば幸いです。


 

VAMPIRE:THE MASQUERADEにようこそ!

 

夜、薄暗い水銀灯を頼りに一人路上を歩く。右手のネオン街からは酒や薬、情事、そして暴力に溺れた人々の騒音が聞こえる。左手の摩天楼は工場の廃液から立ち上るスモッグ溢れる灰色の空に静かに刺さっている。路は公園の横を抜ける。公園には職にあぶれた者達が焚き火をして震えている、寒さではなく、気まぐれな若者の暴行を恐れてだろう。

ふと、前のほうからロックが聞こえた。安物のラジカセをかついだモヒカン男が肩を揺らしながら歩いてくるのが見える。多少痩せぎすだがまぁ良いだろう。ちょっとからかって、ノシた後に軽くいただくとしよう。なに、殺しはしない。後片付けが面倒だ。獲物に覚られる捕食者は三流だし、老人たちを怒らせるのもまずい。

浮浪者をカモにする若者、若者をカモにする俺。単純な食物連鎖、、、

 

 

Vampire:The Masqueradeは吸血鬼を演じるモダンホラー・ストーリーテリング・ゲームです。プレイヤーは永劫の命や超常の力を持ち、生き血をすすり、かつて人間であった吸血鬼を演じます。

 

舞台はWorld of Darkness。私たちの暮らす現代世界とそっくりですが、微妙に悪いほうにずれた世界です。同じ地名があり、同じ建物が建ち、ほぼ同じ事件が起こっていますが、人々の心はより荒み、悪徳や無関心が横行し、そして何よりも事件の背後に伝説上の超自然的な化物や魔法が身を潜めている点が異なります。

 

そんな世界での「物語」を参加者全員で作り上げることが目的です。「物語」はプレイヤーの希望とストーリーテラーの指示との組み合わせで作っていくのです。

 

テーマは人間性と怪物性の葛藤と変化。吸血鬼の本質は“獣(怪物)”であり、愛や思いやりといった心(人間性)とは相容れません。吸血鬼は人間が“抱擁”と呼ばれる儀式で変化した存在であり、身は怪物でも心は人間なのです。このアンバランスをどう扱うのか? 身も心も怪物になら無い為にどうすれば良いのか? それがプレイヤーに突きつけられた課題です。

 

徐々に怪物に変化していくことの恐怖、内的恐怖の物語を共に作り上げていきましょう。

 


 

ヴァンパイアとは如何なる存在か

 

ヴァンパイアとは

 ヴァンパイアは聖書にある「カインとアベルの物語」のカインの呪いを受け継ぐ者達です。最初のヴァンパイアであるカインは3人の子を作り、その13人の孫が現在の氏族の祖となっています。全てのヴァンパイアはカインの子孫なのです。

 

抱擁

 ヴァンパイアは抱擁という儀式で子を作ります。具体的には、子となる人間の血をヴァンパイアが吸い尽くし、一滴のヴァンパイアの血を与えることで作れます。これでカインの呪いが人間にも降りかかり、新たなヴァンパイアが誕生するのです。

 簡単な行為ですが、決して軽率に行われることはありません。それはヴァンパイア社会の制約の為であり、なによりヴァンパイアが増えるという事はライバルが増えるということだからです。

その為、未だカインから数えて15代目までしか誕生していませんし、人間の人口10万人あたり1人のヴァンパイアしかいません。世代を重ねるほど力も弱まります。

 

ヴァンパイアの長所

 滅ぼされない限り永遠に生き続ける不死の存在です。寿命もなく、老化もなく、病気にもかからず、人間より遥かに強靭で、疲れも知りません。また訓えと呼ばれる超常能力を発揮することで、超人的な腕力や人間を支配し、魅了し、姿を消し、蝙蝠に変身したりすることができます。

 また、その血には魔力があり、他者を隷属させ(これを血の契りと言います)、傷を治したりすることができます。血を吸い尽くされていない人間に与えればグールとなり、主人に仕えます。

吸血は接吻と呼ばれ、犠牲者に大きな快楽を与え、傷口は舐めるとふさがります。

 

ヴァンパイアの短所

 夜行性であり、昼間に起きていることも困難です。日光は身を焼き、炎は致命的なダメージを与えるために紅の恐怖と呼ばれる恐慌を引き起こします。心臓を串刺しにされると身動きができなくなります。人間の様に食事をしたり、性交をするのも困難です。また血を飲まなければ活動できず、不足すれば飢えから野獣のように狂乱し、凶暴性を露にします。

 人としての心(人間性)を失っていくと、捕食する化物としての本性が強く現れ、外見も化物に近くなります。

 


 

ヴァンパイアの世界

 

ヴァンパイアの社会

 ヴァンパイアは孤独を好む本能がありますが、必要やしがらみからヴァンパイア社会を形成しています。子は父に、父はまたその父にと縛られており、生活圏の重なるヴァンパイア同士の複雑な政治力学の働く社会です。

 またヴァンパイアは不死であるため、停滞した社会でもあります。

 

カマリリャ

 ヴァンパイア最大の派閥です。15世紀の異端審問(いわゆる魔女狩り)で狩り出されたヴァンパイアたちが保身の為に組織しました。人間に正体を悟られない為の行動方針、仮面舞踏会の掟を採用しています。

 この組織は一定の領地、版図を支配する公子たちで構成されおり、各々の版図では公子が領主として様々な特権を持って多くのヴァンパイアを支配しています。

 PCは基本的にカマリリャに属します。

 

カマリリャの社会

 カマリリャに属している版図は中世封建社会によく似ています。基本的に都市とその周辺地域を領地とし、その領地内に暮らすヴァンパイアが領民です。領主たる公子は、領民たるヴァンパイアたちの生殺与奪の権利を持ち、仮面舞踏会の掟を守る義務があります。

 領主がいれば貴族に相当する実力者もいます。数百年を生き抜いた長老たちは強力で、公子の支配に陰に陽に反発し、彼らの代表である参議は公子の諮問機関となります。衛兵にあたる警吏や、姦しい宮廷雀もいます。

 

カマリリャの掟

 六条の掟があります。一つは仮面舞踏会の掟、人間にヴァンパイアの存在を知られてはならない。版図の掟、縄張りは自ら責任をもって管理せよ。継嗣の掟、公子の許しなく子を作ってはならない。申告の掟、一人立ちしていない子の罪は父の罪となる。歓待の掟、他人の縄張りに入ったら主に敬意を払え。滅びの掟、ヴァンパイアを滅ぼす権限は公子だけが持つ。

 特に仮面舞踏会の掟と、継嗣の掟、滅びの掟が重要です。

 

カマリリャの文化

 法は復讐法です。恩貸制という、借りは必ず返す制度もあります。

 滅びの掟の派生した咎人狩りという、公子の命で犯罪者を狩り出す習慣もあります。

 エリュシオンという暴力行為の禁止された場所を設ける文化もあり、エリュシオン守護人に管理され、議論や交渉、芸術活動が行われる中立地帯となります。

 

ジハド

 カインから受け継がれた不和の呪いです。ヴァンパイア同士の古代から綿々と続く覇権を求める闘争であり、ほぼ全てのヴァンパイアが陰謀に次ぐ陰謀に巻き込まれています。

 人間の歴史のかなりの部分に影響を及ぼしていると言われています。

 今日ではゲヘナと呼ばれる終末の時が近づいているとも言われています。太古のヴァンパイア(アンテテルヴィアン)が目を覚まし、全てのヴァンパイアを貪り食うという黙示の時が近づいていると言うのです。

 

 

訓え

 ヴァンパイアは訓えと呼ばれる超常能力を振るうことができます。訓えは系統別に分かれており、伝説にあるような力を発揮します。

 以下に主な訓えの系統を列挙します。

 

威厳』群集を惹きつけ、惑わすカリスマの力。愛すらも呼び起こす。

隠惑』群集の目を避け、姿を隠す力。目の前にいても見られることはない。

頑堅』超人的なタフネス。太陽や火といった唯一の脅威にも耐えうる頑健さ。

獣心』動物を使役し、野生を操る力。原始的な本能に影響を与える。

剛力』超人的な怪力。単純だが絶対的な力。

支配』相手の精神を蝕み、操る力。意思を曲げ、記憶をも改竄する。

瞬速』超人的な速度を得る力。速さは恐るべき戦闘力をもたらす。

先覚』神秘的な知覚能力。ESPやサイコメトリーを行う。

発狂』マルカヴィアン氏族の狂気の力。他者にも狂気を感染させる。

変身』己の体を変化させる力。恐るべき鉤爪をはやし、霧に変わる。

魔術』トレメール氏族の秘儀。ヴァンパイアの血潮をもって魔法をなす。

 

 

氏族

 カインの孫、第三世代のヴァンパイアは13人おり、その特質が以降の血筋のヴァンパイアに受け継がれ、血縁集団として団結しています。この血縁集団を氏族と言います。

 氏族ごとにその性質や能力が異なり、ブラム・ストーカーの吸血鬼ドラキュラのようであったり、アン・ライスのヴァンパイア・レタストのようであったり、映画ブレイドのヴァンパイアのようであったりします。

以下にPC向けのカマリリャに属する氏族を列挙します。

 

ヴェントルー“貴族”』伝統や名誉を重んじ、貴族の責務を果たす支配者の氏族。

ギャンレル“よそ者”』野性的で自主独立の気風の強い放浪者の氏族。

トレアドール“デカダン”』芸術や音楽を愛することに闇の生を捧げる耽美な氏族。

トレメール“妖術使い”』恐るべき団結力を持ち、魔術と陰謀に長ける氏族。

ノスフェラトゥ“ドブネズミ”』醜悪な容姿だが心まで怪物ではない。情報通の氏族。

ブルハー“暴徒”』情熱溢れる反抗者。己が理想や信念の為に変革を求める氏族。

マルカヴィアン“狂人”』例外なく狂気に犯されているトリックスターの氏族。

 

 


Back


Copyright (c)Elven Woods 1998-2001