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ヴァンパイア:ザ・マスカレード用都市設定
“San Francisco by Night”


作品の概要

 この作品はアトリエサードから発行されているヴァンパイア:ザ・マスカレード日本語版用のオリジナル都市設定です。1980年代のアメリカの都市、サンフランシスコの血族や人間の組織等について書かれています。日本語版の設定資料だけを前提にした都市設定であり、他のワールド オブ ダークネスとのクロスオーバーや英語版の資料との整合性を検討していません。他の日本語版ストーリーテラーの参考になれば幸いです。


概観

 1980年のサンフランシスコはアメリカ西海岸の芸術文化と経済の中心であり、市の人口は約70万人、周辺人口600万人の大都市である。(血族の人口は約60人であり、ロカス公子は増加の防止と氏族間のバランスの維持に多大な注意を払っている)

 昼夜の気温差が大きく、サンフランシスコ港から発生する霧が一年中立ち込めている。


主要なNPC

公子

ロカス・ル・ブラン公子(トレアドール)

 燕尾服に身を包む肥満体のフランス人バンパイヤ。

芸術を愛し擁護する芸術家と自任しているが、数世紀を超える闇の生で美の閃きを失っており、もはや自ら作品を生みだすことができない。 

自らが賞賛されることを何よりも重んじ、尊敬を得るために公平に公子の権力を行使している。自分を軽んじていると感じる行為、掟の違反には非常に厳しく対処する。

17世紀末に抱擁される前は、フランス古典主義を代表するローマのニコラ・プーサンに師事した高名な画家で、装飾過多なバロック様式を好んでいた。太陽王ルイ14世に取り入り、フランスの王立絵画彫刻アカデミー設立を助け、ベルサイユ宮殿の装飾を担当していた。

ベルサイユ宮殿仕込みの陰謀術数に長け、高い先覚の訓えの力も恐るべきものがあり、1906年の大震災(街の4分の3が焼失)以後公子の地位にある。

参議

公子の顧問会議であり、版図の主要な問題を討議する。政治闘争の主舞台であり、ここでの決議は公子の承認をうけて執行される。

 エリュシオンであるグレース大聖堂の地下で毎週水曜日の深夜零時に開催されている。

 1980年現在、常任参議は以下の3人。

ダグラス参議(ベントルー)

 ダークスーツのイギリス紳士バンパイヤ。

 トランス・アメリカ・ピラミットにある大手保険会社の影のオーナーであり、財界に大きな影響力を有している。

 実業家であり経済的な利益に強い関心をもち、比較的自由に経済活動を行わせるロカス公子には好意的である。

ゾーラス参議(トレメール)

 黒地に金の刺繍のある法衣に身を包む高齢の白人バンパイヤ。

 トレメールの4つの祭儀所を統べる主教の一人であるが、強い政治的野心を持っており七人議会の意向に反しているとの噂もある。

 祭儀所の魔術師たち以外に直轄のエージェントを擁して世俗的な野望の手駒にしている。

ジョルジョ・フォッサ参議(ブルハー)

 派手なソフトスーツに原色のシャツを着るイタリア人バンパイヤ。

 イタリアマフィアのボスであり、港湾荷役労働者を中心としたイタリア人街の治安を守る昔気質の任侠。血の気の多い若いブルハーをなだめ、尻拭いをすることが多い。

1916年に港湾労働者を搾取していた資本家をストライキで爆弾を用いて殺害したことがあり、ベントルーとは犬猿の仲。

警吏

ジョン・ジョージ・アンキラ警吏(ベントルー)

 赤い折襟のついた青い燕尾のコートに三角帽、白いゲートル式のズボンというアメリカ独立戦争当時の軍服でサーベルをもつイギリス人ちょび髭痩せ型バンパイヤ。

 警吏という地位に誇りをもっており、(バンパイヤの)治安維持に心血を注いでいる職業軍人であり、口が固いが頭も堅く極めて厳格に掟を守る。

 抱擁される前はカナダ総督に任命されていた将軍で、軍関係へのコネは今もある。

 筋骨隆々の男からしか食餌しないホモ。

エリュシオン守護人

ホプキンス(マルカヴィアン)

 真っ白なスーツの鋭い目をした完璧主義者のバンパイヤ。

 強迫観念にまでいたった彼の完璧主義はエリュシオン守護人の仕事をこなすことで満たされている。

 マルカヴィアンの理解不能な予知の目で各種の危険(ゾーラス参議の魔法や叛徒のテロ等)を防ぎ、エリュシオンを安全に運営している。


各氏族の状況


ベントルー氏族

 経済活動に力を入れており、保険や銀行などの金融界に特に強い影響力をもつ。

主な版図は経済の中心地ファイナンシャル・ディストリクトと高級住宅地ノブ・ヒル

ギャンレル氏族

 ゴールデン・ゲート・パークなどの公園に引退したギャンレルが住んでいる。放浪癖のあるこの氏族はサンフランシスコには買出しに立ち寄るくらいである。

 ロカス公子はこの野蛮な氏族を無視することが多い。

トレアドール氏族

 芸術を愛するこの氏族はサンフランシスコの美しい街を愛している。芸術・文学界には当然強い関心を持ち、ファッションを中心とした商業に影響力をもつ。美しい街並みを守るために行政にもくい込んでいる。

 主な版図は商業の中心地ユニオン・スクエアと芸術家の街ルシアン・ヒル

トレメール氏族

 ゾーラス参議は配下のエージェントを暗黒街の新興勢力に求めることが多いが、祭儀所を守る魔術師には学者や研究者から選ばれる。

 製薬会社や各種大学に影響力を及ぼしており、主な版図はサンフランシスコ市立大学

ノスフェラトゥ氏族

 都市の地下を支配するこの氏族は上下水道会社、電話会社、ガス会社といったライフラインを握る会社に多くのグールを配している。

 版図はホームレスの吹き溜まりであるテンダーロイン地区とシビックセンターの周囲であり、いくつかの貧民救済施設を運営している。

 この氏族の長老セルゲイ・ウロンスキーは1850年のゴールドラッシュの頃からサンフランシスコにおり、ゴルコンダに強い関心を示す。

ブルハー氏族

 現状に満足することの無い暴徒たちは理由を見つけては人間の不平分子とともに暴動を起こす。(大抵は小規模で地域的なものだが、しばしば血族の暗殺に利用される)

 ジョルジョ・フォッサ参議の率いるイタリア系マフィアはフィッシャーマンズ・ワーフやイタリア人街のノース・ビーチを版図とし、市警察と癒着している。

エドの率いる黒いレザージャンパーにミラーグラスを着る若者達はダウンタウンの麻薬や娼婦を支配し、クラブ“ミラージュ”を狩場として経営している。

マルカヴィアン氏族

 数人の狂人がゲイの街カストロ・ストリートに住んでいる事が知られている。

ケイティフ

 ロカス公子はこの哀れな私生児たちを公式に認めておらず、滅ぼしても罪に問われることはない。彼らが生き残る道は、何れかの氏族に受け入れられるか、叛徒の群に入るか、狩られる前に街を去るかである。

叛徒

 権威を認めず、自由奔放に武装して荒野を駆け抜けるバイク乗り達は北米全土からやってきて人気のない倉庫街のサウス・オブ・マーケットに逗留する。

 南のロサンジェルスでの叛徒の隆盛はサンフランシスコにも伝わっており、幾人もの血族が叛徒となって旅立っている。

 この無礼者の集団の大半は父の支配から一時的に逃げ出しているだけの幼童であり、ロカス公子は比較的寛大に接している。

サバトや独立氏族

 恐るべきサバトの暗躍や独立氏族の怪物どもの存在が噂されているが、現在のところ目だった動きを見せていない。


主な人間の組織

議会や行政

 強きを助け弱きを挫く資本主義下の衆愚政治は富める者を優遇しており、裕福な者達が利権を奪い合う場にすぎない。無論、それらの資本家には血族も含まれる。

警察

 犯罪組織や資本家達に買収され腐敗しており、ベテランの警官は調査よりも容疑者と“うまくつきあう”方法に長けている。ほとんどの犯罪は賄賂の額によって見逃されることがあり、正義感の強すぎる者は閑職に追われるか、殉職することが多い。

ブルハーのジョルジョ・ファミリーや様々な血族が関係を持っており、大掛かりな取締りや一斉摘発には参議の決定をしばしば必要とする。(したがって木曜日には犯罪検挙率が高い)

消防

 血族を滅ぼす恐るべき火事に対する備えとして血族に重要視されおり、参議の支配下にある。カマリリャの敵を焼く炎が市の消防士に消される事はない。

 伝統的に保険屋のベントルーと美の守護者トレアドールが管理する。

マスコミ

 現代におけるカマリリャ最大の脅威の一つ。しかし商業主義と刹那的な娯楽を求める愚かな大衆に流され、社会正義を求める第三権力とはとても呼べないのが現状である。

 万一の仮面舞踏会の危機にはカマリリャ全ての氏族が団結し情報を操作する。(例えば、ベントルーは大手広告主として圧力をかけ、トレアドールはセンセーショナルな新作を発表して大衆に新しい話題を提供し、ブルハーはスケープゴートの容疑者を逮捕させ、ノスフェラトゥはマスコミに別の得ダネを用意する)

病院

 献血者を求めるには打って付けの場所であり、様々な血族が個々人でコネを持つことが多い。

犯罪組織

 多くの犯罪組織が血族の傘下にあるが、水の泡の様に生まれては消える莫大な数の犯罪組織のほとんどは血族の支配下にない。(人口に占める犯罪者の割合が数%だと見積もっても、血族の数千倍の犯罪者がいる計算になる)


主な舞台

グレース大聖堂(教会。エリュシオン)

 ノブ・ヒルの丘の頂上にあり、全米でも3番目のゴシック建築の教会。寄付金集めのために集会場として貸し出されており、水曜日の夜は血族が集まりエリュシオンが開かれる。

ダウンタウン(街の中心地。ブルハー版図)

 映画館にポルノショップ、安宿やバーが軒を連ねる薄汚れた界隈。売春や麻薬が裏通りで取引されている。血族の主な狩場であり、ブルハーの経営するクラブ“ミラージュ”もある。

ファイナンシャル・ディストリクト(金融街。ベントルー版図)

 銀行、保険会社、証券取引所のある高層ビルが林立し、空を圧する摩天楼の金融ビジネス街。中でもトランス・アメリカ・ピラミッドは高さ260m、48階の高層ビルで、内側から照らされる空洞の尖塔はアルミニウムに被われており周囲を威圧している。その3分の2は大手保険会社で1500人が働く。

ユニオンスクエア(高級商業地区。トレアドール版図)

 高級ホテル、老舗デパート、有名ブランドショップやレストランが建ち並ぶ商業の中心地。

フィッシャーマンズワーフ(船着場と倉庫街。ブルハー版図)

 イタリア人の漁師や港湾労働者が多い。大きな鍋から白い湯気のあがるシーフード屋台やカモメで有名。

テンダーロイン地区(貧民窟。ノスフェラトゥ版図)

 市役所の裏手にあるホームレスの吹き溜まり。貧民救済施設がいくつかあり、中にはノスフェラトゥの息がかかっている施設もある。

サウス・オブ・マーケット(倉庫街の廃墟。叛徒の版図)

寂しい打ち捨てられた倉庫街でほとんど人は住んでおらず、ホームレスも逃げ出すほど治安が悪い地区。犯罪組織同士の取引や抗争の場であり、公然とショットガンで武装した人間が歩き、略奪や暴力が日常的に行われ銃撃戦も珍しくない。警察もさじを投げているが、この地区の外での武力抗争は暗黙裡に禁止されている。

ノブ・ヒル(高級住宅地。ベントルー版図)

 大金持ちの大邸宅や高級ホテル、高級アパートがある丘の上の住宅地。グレース大聖堂がある。

ルシアン・ヒル(芸術家の街。トレアドール版図)

 19世紀から有名無名の作家や芸術家の住む街。ハーバー・ゴールドいわく「大都会の中の田舎」

ノース・ビーチ(イタリア人街。ブルハー版図)

 イタリア系移民が多いコスモポリタンな街。ジョルジョ・ファミリーが支配し、比較的治安が良い。

ゴールデン・ゲート・パーク(大きな公園。ギャンレル版図)

 ダウンタウンから車で一時間の所にある大きな公園。引退したギャンレルが住む。

カストロ・ストリート(ゲイの街。マルカヴィアン版図)

 第二次世界大戦後に強制送還されたホモが住み着いたことで始まったゲイの街。ゲイの芸術家も多く、トレアドールも訪れる。

サンフランシスコ市立大学(総合大学。トレメール版図)

 理系や考古学系にはトレメール、哲学系にはブルハー、政経学系にはベントルーがそれぞれ有望な新人を求めて監視している。

パシフィック・ハイツ(住宅街)

 19世紀に建てられた木造のビクトリアン・ハウスが並ぶプチブルの街。

中華街(中華街。血族の勢力外)

 8万人の中国人が住む街。150年前のゴールデンラッシュの頃から移住し始め、表ではレストランやランドリー経営、裏では売春、麻薬、ギャンブルを行っている。街は狭く入り組んでおり、不衛生で危険。不思議な魔法も使うと噂されている。

 1924年から法律で移民が禁止されており、労働者として渡米してきた男性がほとんどの独身社会でもある。

文責:ヤピロ


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