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ここはネバーランドのとある場所にある隠れ里、紅蓮の里 その里にある湖ぞいにある家 その家の一室、アトリエでは一人の女性が絵を描いていた レッドブラウンの髪をストレートに伸ばしたその女性は見た感じ 子供とも大人とも判断がつかない年頃である しかし、どちらであろうともその女性は美人に見えた… 女性の名前はアディリス、紅蓮一族密偵衆の長を勤める者である アディリス「ああ〜、やっと終わった〜」 持っていた筆を机の上のパレットに置いて身体を伸ばすアディリス 顔絵師の依頼だった絵を描き終えた所のようだ 紅「アディ〜、いる〜?」 アトリエの入り口のほうから一人の女性が入ってきた 年の頃はアディリスと同じく判断がつかない アディリスと違い髪は赤くウェーブをかけている 女性の名前は紅、紅蓮の里を守る防衛衆の長である アディリス「あれ、どうしたの、くれちゃん」 アディリスが紅に気づき席を立つ 紅「いやね、集会場のほうに誰もいなかったからこっちに来てみたんだけど…顔絵描いてたの?」 アディリス「うん、今ちょうど終わったとこ」 紅「へ〜」 描き終わった顔絵を見る紅 紅「やっぱりうまいよね〜アディの顔絵って」 アディリス「へへへ〜」 照れながら頭をかくアディリス アディリス「そうだ、これからお茶にするんだけど一緒に飲もうよ」 紅「賛成♪んじゃ、集会場のほうに御茶菓子とかもあったからあっちでのもう」 アディリス「そうだね、むこうに行こうか」 そう言うと二人ともアトリエから出ようと動く 『ガタ!』 紅が入り口のほうに振り返る時に腕を机にぶつける …その衝撃で机の上のパレットの上に載せていた筆がころころと転がりだす …やがて加速がついたのか筆はスピードを増し …パレットや机から飛び出し 『べチャ…』 …完成していた顔絵の真中に大きい点を作った後床に落ちた アディリス「…あ」 紅「やば…」 呆然と見つめる二人 アディリス「ああああああ!」 アディリスが顔絵に駆け寄る アディリス「せっかく描いたのに…せっかく描いたのに…」 顔絵の真中には大きい黒い点がついていた …恐らく描き直しにかなりの手間を必要とするであろうほどに アディリス「くれちゃん!」 キッと後ろに向き直る そこにはさっきまで立っていた紅の姿はなかった アディリス「…逃げた…」 怒りでふるふると身体を震わすアディリス アディリス「コノウラミハラサンデオクベキカ…」 アディリスの目が怪しく光っていた… |
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その日の夜… アディリスの家の一室にて… アディリスは一心不乱に祈っていた |
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さらに次の日の正午 集会場にて… アディリス「ふう…」 一人ちゃぶ台でお茶をすすっているアディリスがいた アディリス「今日は誰もこないのかな?」 そう言って入り口の方をチラッと見る 『がらがら…』 そのタイミングを見計らったかのように一人の男が入ってきた その男は銀髪で肌は少し褐色がかっている さらに目を引くのはその男の目であろう 両の目の色が違うのである 男の名前は影螺、紅蓮一族の五代目当主である アディリス「あ、えいちゃんいらっしゃい」 影螺「ああ…」 少し元気が無さそうに答え座る影螺 アディリス「何?なんかあったの?」 影螺「いや…紅の見舞いに行って来た所でな」 アディリス「くれちゃんなんかあったの?」 影螺「なんでも昨日寝ていたら上からタンスが倒れてきて潰されたそうだ」 ばかばかしいといった風にいう影螺 アディリス「へえ〜…」 影螺「まあ元気そうにしてたから明日には来るだろう…」 アディリス「災難だったね〜」 影螺「…仕事が忙しいのにまったく…さて、それじゃあ俺は仕事に移ってくる」 そう行って立ちあがる影螺 アディリス「あれ?もう帰るの?」 影螺「ああ、ちょっと寄っただけだからね…それじゃ、皆にもよろしく伝えといてくれ」 『がらがら…』 そう言うと影螺は出て行った アディリス「ふ〜、また一人になっちゃった…」 再びお茶をすすりだすアディリス …やがてお茶を飲み終えると アディリス「…顔絵の呪いだよ、くれちゃん…」 そうボソッと呟いた… …暑い夏の一日 紅蓮の里は今日も(恐らく)平和であった… |