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ここはネバーランドのとある場所にある隠れ里、紅蓮の里 その紅蓮の里にある集会場に一人の男が向かっていた… 年の頃は17歳位、白髪で目は青く 背中に白い鳥類の翼と黒い蝙蝠の翼がそれぞれ一対ずつついている… 男の名はクレイブ、紅蓮一族十天衆水の将を襲名している男である クレイブ「ふふふふふふ〜ん♪」 呑気に鼻歌をうたいながら集会場に向かうクレイブ 『ガラガラガラ…』 クレイブ「みしゅれ〜い、来たよ〜♪」 クレイブは扉を開け集会場に入ろうとした瞬間 動きが止まった 集会場の中で女性が一人倒れていたからである 傍には白い鴉がいる アリィ「あ、クレイブ様!」 白い鴉、美朱麗の使い魔アリィがクレイブの姿を見て叫ぶ すぐに駆け寄り抱きかかえるクレイブ 女性の年はクレイブと同じ位、さらっとした茶色の髪 普段なら美人で通る顔立ちだが今は大量の汗をかき 呼吸を荒げ苦痛に満ちた顔をしている クレイブ「美朱麗…美朱麗!」 クレイブが女性の名前を呼ぶ 美朱麗、紅蓮一族十天衆音の将を襲名し今はクレイブと恋仲である クレイブは美朱麗の額に手を当てる クレイブ「ひどい熱だ…早く医者に見せないと…アリィ!俺のマスターを呼んで来てくれ!」 アリィ「は、はい解りました!」 そう言ってアリィはクレイブのマスター、エンドのとこにむけて飛んで行った… |
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…一時間後 集会場には布団に寝かされた美朱麗とそれを看病するクレイブ、アリィ そして先ほどまでいなかった一組の男女の姿があった 男の方は年の方は20程度 全身黒ずくめで長髪でありとても医者には見えない しかしその男の方が何か魔術を使い、美朱麗の身体を診察している 黒ずくめの男の名エンド、クレイブをこの世に生み出した者である クレイブ「マスター、美朱麗はどうなんですか?」 エンド「…よくわからん」 困った顔をして言うエンド クレイブ「わからんって…」 アリィ「そんな無責任な!」 言葉に詰まるクレイブと叫ぶアリィ エンド「彼女は元々異界の神の一部だったのだろう?そんな彼女が病気にかかるなど常識ではありえん」 クレイブ「けど現にかかってるじゃないですか!」 声を荒げ詰め寄るクレイブ カルナ「駄目ですよ…彼女の身体に障ります」 エンドのそばにいた小女がクレイブに言う 年の頃は15ほど、白い鳥類の羽を生やしている 少女の名はカルナ、エンドの妹で今はエンドと同居している クレイブ「…すいません」 カルナに謝って詰め寄るのを止める カルナ「彼女が心配なのはわかるけど、今は落ち着きましょう、ね?」 クレイブを落ちつかせようとするカルナ クレイブ「…はい…」 そう答えたクレイブの手は強く握り締められ爪が肉に食い込み血を流していた 自分には何も出来ないのが悔しくてたまらないのである… エンド「…一つ心当たりがない訳でもないが…」 クレイブ「本当ですか!?」 再びエンドに詰め寄るクレイブ クレイブ「一体なんなんですか!?」 エンド「恐らく神壊病だろう」 エンドが自信無さそうに言った クレイブ「神壊病?」 アリィ「それって一体?」 エンド「神のごとき力を持った奴にしかかからないと言う病気だ…俺も初めて見たな」 クレイブに説明を始めるエンド エンド「症状は人それぞれ…だが命にかかわるような病気じゃないのはたしかだ…」 クレイブはその説明を聞いて安心したのかその場に座る クレイブ「そうか…大丈夫なのか…」 アリィ「よかった〜」 エンド「…しかし何らかの障害は残るらしいな…」 それを聞いて三度詰め寄るクレイブ クレイブ「駄目じゃないか!」 エンド「そう言われてもな〜」 エンドのやる気のなさに胸倉を掴むクレイブ クレイブ「なんか薬ないのか!特効薬とか!」 カルナ「まあまあ、クレイブ落ちついて…」 クレイブを落ちつかせようと二人を引き離すカルナ カルナ「にい様も、もう少しやる気出して下さい!」 エンド「…わかった…やる気をだそう」 カルナに言われてホントにやる気を出したのか真面目に話し出す エンド「薬は俺は持ってない、だが材料さえあれば作ることはできる」 クレイブ「作れるんですね!?」 アリィ「じゃあ問題ないじゃないですか」 喜ぶクレイブとアリィ エンド「材料はある物を除けば全部家にあるから…最後の一個をとってくればいいんだが…」 そこで言葉に詰まるエンド クレイブ「なにか問題でも?」 エンド「残念ながら、俺は行けない所にある。よって俺以外の者が取りにいかなければならない」 クレイブ「それなら俺が取りに行きますよ」 エンドの言葉を受けてクレイブが言う エンド「危険だぞ?」 クレイブ「危険は馴れてますよ」 エンド「ホントに良いのか?」 クレイブ「ええ」 エンド「ホント止めといた方が良いぞ?」 クレイブ「美朱麗のためですから」 エンド「…ふ〜」 そこまで問答をしてエンドは溜息をつく エンド「言っても無駄なようだな…わかった」 クレイブ「とってくる物とそれがある場所を教えてください」 エンドに尋ねる エンド「ある場所はお前も知ってる…とってくる物は『覇竜の血』だ」 それを聞いてクレイブの動きが止まる クレイブ「『覇竜の血』って…あの覇竜?」 エンド「多分その覇竜だ」 クレイブ「もしかして…ネバーランドじゃなくてサーティアンって言う異世界?」 エンド「そうそう」 クレイブ「あの青鱗の民が守護してる?」 エンド「まさしくその通り」 そこまで聞くとクレイブの顔が一気に青ざめる クレイブ「あの…青鱗の民と事を構える…」 クレイブの身体がわずかだが震えている 恐怖によって… アリィ「クレイブ様?」 クレイブの態度が変わったのに気づいたアリィが声をかける しかしクレイブはそれに答えない エンド「この女は別に命を落すわけじゃない…ホントに行くのか?」 エンドの言葉を受けてクレイブは美朱麗の顔を見た その顔は今も苦しそうにゆがんでいた… それを見て決心したのかクレイブは呪文を唱えた 『ヒュン!』 そんな音と共に二振りの剣と短刀が現われる クレイブはその二つを手に取ると剣を腰にさし、短刀をエンドに渡す クレイブ「それ…預かっといてください」 エンド「神短刀・水竜、たしか水の将の証しだったな」 クレイブ「ええ、生きて帰れない可能性もありますから…」 そう言うとクレイブは新たな呪文を唱え始める 呪文が完成すると目の前に転位の魔方陣が現われた クレイブ「カルナ様、アリィ…美朱麗の看病、よろしくお願いします」 カルナ「ええ、任せといてください」 アリィ「はい!」 そう言ってにっこり微笑むカルナとしっかりと答えるアリィ そう言われたあとエンドの方をむいて言う クレイブ「俺が死んだあとは…お願いします」 エンド「阿呆、今から死んだ後のことなんぞ考えるな」 言い放つエンド エンド「自分の彼女が心配ならさっさと行って帰ってこい…生きたままでな」 そう言われて苦笑するクレイブ クレイブ「じゃあ…行って来ます」 そう言うとクレイブは転位の魔方陣に手を触れる 『ビシュン!』 そんな音と共に転位の魔方陣とクレイブの姿は集会場から消えた |
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…ネバーランドとは異なる世界サーティアン… その世界にいる青き鱗を持つリザードマン、青鱗の民が住みし場所… クレイブは今青鱗の民の住みかの入り口に転位していた クレイブ(久しぶりだな…) 回りを見まわしながらそんなことを考える やがて歩き出すクレイブ… クレイブ(ともかく…覇竜の居場所を聞きださないとな…) 記憶を頼りに歩き続ける …やがて目の前に城らしきものが見えてくる 城門と思しき場所には門番が二人立っている それらを無視して城に入ろうとするクレイブ 『ガキン!』 目の前で門番の持っていた槍が交差し行く手を阻む 門番A「なんだ貴様は!ここから先は立ち入り禁止だ、さっさと帰れ!」 門番が言い放つ クレイブ「…邪魔だ」 『バキィ!』 門番A「ぺぎゃ!」 門番の一人を殴り飛ばすクレイブ 門番は吹き飛んだまま動こうとしない… 門番B「き、貴様!」 もう一人の門番が槍を構え直す 「何事です」 突然城の中から一人の少女がやってくる 年の頃は15、6。青い髪と青い瞳をした人であり 青鱗の民とはあきらかにちがった 門番B「セレンティア様!危険です、おさがリを…」 門番が少女をかばうように移動する クレイブ「久しぶりだな、セレンティア」 そんな門番を無視するようにクレイブは少女に話しかける セレンティア「…もしかして、クオルド様?」 セレンティアが確認するように聞く クレイブ「10年ぶりか…大きくなったものだ…」 しみじみと言うクレイブ っと、突然セレンティアが門番を押しのけクレイブに抱きつく セレンティア「クオルド様!」 クレイブ「…いきなり抱きつくな…」 クレイブはそう言うとセレンティアを引き剥がす 門番B「あの…お知り合いの方ですか?」 門番がセレンティアに聞く セレンティア「…お父様のお知り合いよ」 セレンティアが門番に言う 門番B「し、失礼しました!」 恐縮する門番 セレンティア「さあ、中に入ってください。お父様も喜びます!」 そう言ってセレンティアはクレイブの手を引いて城に入って行く… |
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青鱗の民の城の中…
セレンティア「今、お父様は修練場で修行しているはずですから…こちらです」 セレンティアはクレイブを案内しながら進んで行く クレイブ「皆に変わりはないか?」 クレイブがセレンティアに質問する セレンティア「皆相変わらずですよ、元気一杯です」 セレンティア「クオルド様は今まで何をなさっていらしたんですか?」 今度はセレンティアが質問する クレイブ「まあ、適当に色々な…」 はぐらかすように言うクレイブ …やがて大きな扉の前に着く セレンティア「着きました、どうぞ中へ」 そう言って扉をあけるセレンティア 中には5人のリザードマンがいた 剣を持った者、槍を持った者、手甲をつけた者、杖を持った者 そして一番体格の良いリザードマンは背中に長刀を背負い腰に刀を差している 5人は扉が開いたのに気ずいて入り口のほうを振り向いていた セレンティア「お父様、クオルド様がいらっしゃってますわよ」 セレンティアが一番体格が良いリザードマンに言う 「ほう…久しぶりじゃの」 クレイブの方を見ながら話しかける クレイブ「あんたも元気そうでなによりだ…シン・ライカ」 クレイブがリザードマンの名前を呼ぶ シン「この世界を旅だって10年…なんの音沙汰もなかったのにいきなり帰ってくるとは…なんぞ問題でも起こったか?」 クレイブ「ああ、実はな…『覇竜の血』が必要になった」 『なに!』 クレイブのセリフを聞いた瞬間シン以外の青鱗の民が構えを取った 青鱗の民A「貴様!覇竜は我等が守護して来た者…それを!」 シン「まあまて」 シンがいきり立つ青鱗の民に言う 青鱗の民B「しかし…」 シン「むこうの言い分も聞こうじゃないか…なんで必要なんだ?」 クレイブに聞くシン その顔は真剣そのものだった クレイブ「…恋人が厄介な病気にかかってな…薬を作るのに必要なんだ」 クレイブの言葉を聞いたセレンティアの身体がびくっとする シン「…なるほどな…それで、一個人のために『覇竜』がどこにいるか言うと思うか?」 そう言って背中にかついでいた長刀を抜く シンの動きにあわせて他の青鱗の民も少しづつ間合いを詰める クレイブ「いいや…だがお前に聞かないと解らないだろ?」 クレイブはそう言って剣を抜く 剣の刀身はまるで闇のように黒い… シン「ほう…」 シンがその剣を見てつぶやく シン「お前達…さがってろ」 シンが他の青鱗の民に言う 青鱗の民C「なぜです!我等全員でこの者を…」 シン「あの剣はな…『黒魔の剣』だ」 シンが剣を見ながら言う 青鱗の民D「『黒魔の剣』…ですか?」 シン「自分の魂を削る変わりに回りにいる敵の魂を破壊するけったいな剣でな…やろうと思えばこの辺りにいる青鱗の民を皆殺しにできる」 そう言いながら前に進み出るシン …シンの言葉に従うように他の青鱗の民は後ろにさがる シン「その剣を持ってくるっちゅうことは…本気じゃな」 クレイブ「ああ…」 剣をかまえるクレイブ… シン「いいじゃろう…わしに勝ったら覇竜の居所教えたる、だが…」 シンも長刀をかまえる シン「お前じゃ…絶対勝てん!」 そして…戦いが始まった… |
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シン「ガアァァァァ!」 シンが長刀を大上段から振り下ろす その太刀筋を身体を横にずらす事でよけるクレイブ シン「ふん!」 いきなり振り下ろされていた太刀筋が横凪に軌道を変える 『ガキン!』 クレイブが持っていた剣の腹で受け止める シン「ほう…ちいっとばっか腕を上げたかのぅ」 感心したように言うシン シン「しかし、それでもワシには勝てん!」 『バキン!』 力にモノをいわせクレイブを剣ごと弾き飛ばす クレイブ「ぐう!」 すぐさま態勢を立て直すクレイブ シン「けりゃあぁぁぁぁ!」 左手一本で長刀を振り下ろす クレイブ「くう!」 『ガキン!』 再び剣で受け止めるクレイブ その時 『ザシュ!』 シンが腰に差していた刀を抜き剣を握っていたクレイブの右手を斬り飛ばす 『ビタン!ゴト…』 斬り飛ばされた腕が血を撒き散らしながら壁にぶつかり床に落ちる シン「勝負あったな…」 シンが右手に握った剣を喉もとに突きたてながら言う クレイブ「……」 斬り飛ばされた右手の傷口を魔力で止血しながら無言のまま後ずさる シン「お前の負けだ…スピード、パワー、タフネス、センス、経験、技術…全てにおいて劣るお前がワシに勝てる訳がない」 クレイブ「…そうだな」 クレイブは後ずさりを止め、言う シン「ここまでだ!」 シンがクレイブの喉もとに刀を突き立てようとした瞬間 『ザクゥ!』 鈍い音がする シン「な…」 シンが突然崩れ落ちる その背中には斬り飛ばされたクレイブの腕が剣を突き立てていた クレイブ「俺じゃあんたに勝てない…まともな方法じゃな」 崩れ落ちたシンに言い放つクレイブ クレイブ「昔、知り合いが言っていたよ…勝てない相手にはイカサマしろってね」 シン「お前…」 顔を上げてクレイブの方を見る クレイブの顔には大量の汗が浮かんでいた クレイブ「魔力だと感ずかれるからな…生命力だけで腕を操るのは骨だったよ」 突然『黒魔の剣』が黒いオーラを放ち出す そのオーラがシンを包み込む 青鱗の民A「シン様!」 青鱗の民がシンに駆け寄ろうとする クレイブ「動くな!」 クレイブが叫ぶ 青鱗の民A「貴様の言う事など聞けるか!」 クレイブ「シンを殺して欲しいか!」 その言葉に青鱗の民の動きが止まる やがて黒いオーラが『黒魔の剣』に吸い込まれる それを確認するとシンの背中から『黒魔の剣』を引きぬく 『黒魔の剣』を握っていた右手を傷口に近づけ魔術でひっつける クレイブ「そうか…玉座の間か…」 シン「!」 シンの顔色が変わる シン「お前記憶を!」 クレイブ「この剣にはこういう使い方もあると言うことだ…」 そう言ってきびすを返し部屋を出ようとした時… セレンティアが行くてを阻んだ クレイブ「…どけ」 セレンティア「嫌です」 セレンティアは言った セレンティア「今の状態で一体どうしようって言うんです!死んじゃいますよ!」 セレンティアの言う通りクレイブの身体はぼろぼろだった 右手を動かすのに使った生命力が思いのほか身体に負担をかけたのだ クレイブ「…覚悟の上だ…」 セレンティア「そんなに…そんなに恋人が大事なんですか?私じゃ駄目なんですか?」 セレンティアが聞く 瞳からは涙が流れていた クレイブ「今の俺にとって…アイツは俺の全てだ」 そう言ってクレイブはセレンティアを押しのけ部屋を出て玉座の間に向かう 少女の鳴き声を背中に受けて… |
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青鱗の民の城、玉座の間… その部屋の中央にクレイブは立っていた クレイブ「時空の壁を作って住みかを隠すとは…たいしたものだ…」 そう呟くとクレイブは呪文を唱え出す 呪文が進むに連れて回りの景色が歪みだす… やがて呪文が終わり、今さっきまで玉座があった所に巨大な青き竜、覇竜が座っていた 覇竜『…この地に住んで…始めての客人だな…』 クレイブ「あんたが覇竜か…」 覇竜『いかにも…我が名は覇竜だ…貴公の名を聞いておこうか…』 クレイブ「俺の名はクレイブだ…さっそくで悪いが、あんたの血が欲しい」 覇竜の眉間がピクりと動く 覇竜『ほう…何ゆえに我が血が必要なのだ?』 クレイブ「愛すべき者を助けるため…」 クレイブはそう言って剣を構えた 覇竜『満身創痍であるにもかかわらず…我に剣を向けるか…』 クレイブに向けて言う 覇竜『その命…消えるのも覚悟の上か…』 クレイブ「…ああ」 クレイブが答える クレイブ「行くぞ!」 クレイブが一気に覇竜に向かって走る 覇竜『愚か者が!』 覇竜がクレイブを一睨みする その瞬間 クレイブ「ガアァ!」 『ズサアァァァァァ…』 クレイブが吹き飛ばされる 覇竜『…今の貴様の力ごときではこの私に傷をつけるどころか近づく事さえできんわ!』 再び覇竜が一睨みする すると今度はクレイブの身体が端のほうから消えていく クレイブ「ぐうぅぅ…うおおおぉぉぉぉぉぉ!」 叫ぶクレイブ… …しかし身体の消滅は進んで行く 覇竜『…自らの未熟と愚かさ…そして貴様が守ろうとした者を呪うがいい!』 …その言葉を言い放つと同時にクレイブの身体は完全に消え去った… 覇竜『…まったく無駄な時間だったな…』 クレイブが完全に消え去るのを見届けると眠りにつこうとする覇竜 …しかし 『シュウゥゥゥゥゥゥゥ…』 今さっきまでクレイブがいた所に黒い靄が現われる 覇竜『…なんだ?』 やがて黒い靄は人型に形を取り… クレイブの身体を作り上げた 覇竜『ほう…あの程度では死なぬと言うわけか…』 クレイブ「…」 クレイブはなにも答えない 覇竜『ならば!これでどうだ!』 『グルオォォォォォォォ!』 覇竜が咆哮を上げる その咆哮によって衝撃波を生み出しクレイブに向けて放つ 『ビュン!』 突如クレイブの手に『黒魔の剣』とは違う黒い剣が現われる クレイブ「ふん!」 クレイブが袈裟切り風に剣を振るう 『シュパン!』 すると覇竜の放った衝撃波が一刀両断にされる 覇竜『おお!』 感嘆の声を上げる覇竜 覇竜『今先ほどとは完全に違う力の強さ…一体貴様の身体に何が起こったのか…』 クレイブ「何が起こったのかは俺にもわからん…」 クレイブはそういいながら剣を構える クレイブ「…だが…たとえ何が起ころうとも我が目的は一つ…覇竜の血、もらい受ける!」 そう言うとクレイブは跳躍する 狙いは覇竜の顔、眉間 覇竜『こしゃくな!』 覇竜が飛びかかってくるクレイブを爪でなぎ払おうと手を振るう 爪がクレイブに触れる瞬間… 『シュン!』 クレイブの姿が消える 覇竜『何!』 その時 『ザシュ!』 覇竜の眉間に激痛が走る 覇竜『グオォォォォォォォ!』 痛みから吼える覇竜 クレイブ「『覇竜の血』!もらい受けた!」 眉間にはクレイブが剣を突きたてていた 傷口から出てくる血に向かって呪文を唱えるクレイブ 『カキン!』 クレイブの術で覇竜の血が結晶化する その結晶を手に取ると眉間から跳躍するクレイブ 覇竜『ぐぅぅぅぅ…見事だ…』 眉間から血を流しながらクレイブに言う 地面に着地するとクレイブは覇竜の方に向き直る クレイブ「…元々、今回の事は直接的には貴方に関係無い事だった…数々の無礼、すまぬ」 そう言って覇竜に頭を下げる 覇竜『…いや、久しぶりに楽しめた…』 クレイブの態度を見て言う 覇竜『早く帰るがいい…お前の帰りを待つ者がいるのだろう?』 クレイブ「ああ、そうさせてもらう…」 そう言うとクレイブは呪文を唱え始める …やがて呪文が完成し目の前に転位用の魔方陣が現われる クレイブ「さらばだ…」 覇竜『次会う時は、お前の守るべき者を連れてこいよ』 覇竜の言葉を聞くとクレイブは少し笑い… 転位の魔方陣を使い帰っていった… |
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紅蓮の里、集会場前 エンド「…帰ったか…」 エンドが転位の魔方陣で帰って来たクレイブに言った クレイブ「『覇竜の血』…取ってきましたよ」 そう言って『覇竜の血』の結晶をエンドに渡す エンド「よし、すぐに薬作りに取りかかろう…お前は少し休め」 クレイブ「いえ、美朱麗の看病をします…」 エンドの提案を断わるクレイブ エンド「立っているのもやっとの癖に…まあいいだろう…」 そう言うとエンドは自分の家に瞬間移動する クレイブはエンドがいなくなるのを見ると集会場に入る アリィ「あ、クレイブ様」 カルナ「お帰りなさい、クレイブ」 クレイブ「今戻りました…」 二人に挨拶するクレイブ クレイブ「美朱麗の様子は?」 カルナもアリィも首を横に振る カルナ「熱も下がらないし、食事もとらなくて…」 アリィ「このままだと…」 二人の表情が暗くなる クレイブ「…そうか…」 そう言うと美朱麗の寝ている部屋に入る 美朱麗の顔は紅く息も荒い クレイブ「美朱麗…」 クレイブは美朱麗の枕元に座る その時 エンド「薬できたぞ」 エンドが入り口の方から入ってくる クレイブ「…早かったですね…」 エンド「準備は全部済ましてたからな…」 そう言って薬をクレイブに渡す エンド「早く飲ましてやれ」 クレイブ「はい!」 クレイブは美朱麗の上体を起こす クレイブ「美朱麗…薬だよ」 美朱麗に薬を飲ませようとするクレイブ しかし… 美朱麗「げほ!…ごほ!」 薬を吐き出してしまう美朱麗 クレイブ「く、こうなったら…」 そう言うとクレイブは薬を自分の口に含む そのまま美朱麗の顔に近づき… 美朱麗「ん…こくこく…」 口移しで飲ませる クレイブ「…ぷはぁ…、どうだ?」 クレイブは美朱麗の様子を見ている 美朱麗の顔の赤見が少し薄れ呼吸が安定してくる 美朱麗「う、うんん…あれ?」 美朱麗が目を覚ます 美朱麗「どうしたの、クレイブ?」 クレイブが自分を抱き寄せてるのを見て尋ねる クレイブ「…よかった、ホントに…よかっ…た」 クレイブは美朱麗が直ったのを見届けるとそのまま美朱麗にもたれ掛かるように気を失った 美朱麗「ちょ、ちょっとクレイブ」 アリィ「ご主人様〜!」 アリィが美朱麗に向かって飛びつく 美朱麗「ちょ、ちょっとアリィまで…」 アリィ「よかったよ〜、よかったよ〜」 泣きじゃぐるアリィ エンド「しばらくクレイブは休ましてやれ…かなり疲れているはずだからな」 エンドが美朱麗に言う 美朱麗「え、ええっと…それは良いんですけど…何があったんですか?」 エンド「それは後からクレイブに聞け」 そう言うとエンドは集会場から出て行く カルナ「美朱麗さん…お大事に」 カルナはそう言うと頭を下げて、エンドに続いて集会場を出る …集会場の外でエンドは空を見上げながら考えていた エンド(覇竜に匹敵する力…クレイブはそれを手に入れた) エンド(…もうすぐ…私の目的も…) カルナ「にい様、どうしたの?」 エンドが空を向いたまま動かないのを不思議に思い声をかける エンド「いや、なんでもない…ちょっと考え事をしていただけだ」 そう言って歩き出すエンド エンド(いずれ時がくれば…すべての答えが出る…) …紅蓮の里に夏風が吹く… それぞれの思惑を乗せて… |