先発の気持ちを理解したリリーフ投手
ベスト・ピーチ!
岡山 - 伏見・投手

 ベス草において先発から中継ぎ・抑えに転向するということは、華やかな世界から地味な世界へ失脚を意味する。つまり事実上の先発失格である。そして「抑えの名投手=抑え専門投手」、これは当時あまりにも当たり前の事だった。しかし、この通説を覆した投手・・それが藤崎奈々子である。

 ベス草リーグ創設と同時に岡山Iに入団。入団前からエースを約束された岡山屈指、いや、リーグ屈指の好投手との呼び声が高かった。そして、その期待に違わぬ活躍を第一期から見せる。155kmを越す伸びのあるストレート、9回を投げぬくスタミナ、崩れない安定感は他を寄せ付けなかった。チームが低迷する中、入団より4期連続で10勝以上をマーク。奪三振率は10以上を常にキープ。記録が示す数字以上の印象は、ベス草史上最高投手・本木と並び賞される先発投手の一人であった。

 そんな藤崎も第5期に入ると、徐々に成績に陰りが見え始める。2期連続で負け数が勝ち数を上回ると、世間・ファンの間では「もはや藤崎は過去の投手…」と囁かれるようになった…迎えた第7期、後に名将と呼ばれる渡辺監督はそんな下り坂の藤崎を思い切って抑えに転向することを決断。かつてエースと呼ばれ、あくまで先発にこだわる藤崎にとっては苦中の決断であったが、悲願の優勝に貢献する為、この決断を承諾。しかし未経験の抑え、不安を抱えながらのスタートであった。しかし、結果は監督の采配はずばり的中!藤崎の予想以上の大活躍で岡山は見事初優勝を遂げる。

 抑えという慣れない場所で新たなスタートを切った藤崎にとって、また岡山にとってこれ以上ない結果となった。この期藤崎は初優勝にもっとも貢献した選手として、MVPに選ばれる。この名誉は、今まで先発にこだわってきた藤崎を大きく成長させ、人生の転機となり、以後の活躍に繋がることとなった。続く8・9期も安定した抑えのピッチングを見せ、ベス草史上初の3期連続最優秀救援投手に。やがてファンからは「桃の大魔人」と崇め賞されるようになる。先発投手の気持ちが解るからこそ、抑えの大事さを知っている…まさに「大」魔人であった…

 そんな藤崎もチームオーナーの意向から、9期終了後、伏見(現・桂)に移籍することに。愛着のある岡山で最後を迎えることはできなかったが、その桃の意思は今も岡山の投手陣に引き継がれている。(文章・ぼうず)

所属 防御 試合 S SP 投球回数 被安 被本 四死 奪三 自責 勝率 奪振率
1 岡山 3.00 31 9 11 12 0 0 201 1/3 154 16 86 243 67 .478 10.86
2 岡山 3.74 29 5 11 6 0 1 161 1/3 122 13 69 204 67 .647 11.38
3 岡山 2.71 29 6 14 5 0 0 199 1/3 160 16 78 248 60 .737 11.20
4 岡山 2.70 31 8 11 11 0 0 210 1/3 152 13 87 242 63 .500 10.35
5 岡山 3.46 32 9 7 12 0 0 195 0/3 176 12 88 229 75 .368 10.57
6 岡山 3.41 30 8 8 14 0 0 206 0/3 172 24 94 245 78 .364 10.70
7 岡山 2.53 59 0 4 3 39 43 81 2/3 59 7 39 108 23 .571 11.90
8 岡山 2.36 51 0 6 2 34 40 68 2/3 49 4 17 101 18 .750 13.24
9 岡山 3.00 53 0 5 5 31 36 75 0/3 57 5 21 89 25 .500 10.68
10 伏見 4.16 54 0 6 5 23 29 62 2/3 73 6 27 70 29 .545 10.05
11 伏見 5.35 54 0 1 3 13 14 65 2/3 79 9 21 75 39 .250 10.28
通算 11期 3.21 453 45 84 78 140 163 1527 0/3 1253 125 627 1854 544 .519 10.93
右投げ・右打ち
MVP(7期)・最優秀救援(7期〜9期)・ベストメンバー(7期、9期)
史上初3期連続最優秀救援投手。