準決勝、対青春学園戦において。
ダブルスを2つとも取られ。
続いたシングルス1で剣太郎が負けて。
俺たちの関東大会は驚くほどあっさりと、終わってしまった。
 
 
 
 
 
 
試合が終り人がまばらになったコート。
場を包む静けさからは、一刻前までここで関東大会の準決勝をやっていたとは到底思えない。
その一端に片膝をついて座り込む黒髪の少年と、赤い髪の少年。二人。黒羽春風と天根ヒカルであった。
少し離れた所には二人と同じユニフォームの人影があったが、混じる事はない。
ゆえにコートの一端に二人きり。
 
黒羽は指でコートを何度かさすっていたが、ふと呟いた。
 
「負けちまったな、ダビデ」
 
「…ウィ」
 
それに応えたのはダビデ。
ダビデは両膝を抱えてしゃがみこんでいる。手は膝の間に入れたまま、動こうとしない。
顔も交差させた両手につっぷしているのでどんな表情をしているのかは、黒羽からは見えなかった。
けれどダブルスを組んでもう随分な付き合いであったから、流石にどんな状態であったかは黒羽には察しがついた。
きっとじめじめと悩んでいるのだろう。
黒羽は手の先についた砂をこすり落とすように、指を動かした。指の腹を合わせるとパラパラと小さく砂粒が落ちる。
それを見送ってから。
 
「…なにしょげてんだよ」
 
声をかければ、ダビデは驚いたのか肩を揺らす。
その素直な反応に、5つ下の弟を思い出して自然苦笑が出た。
 
「…まぁ青学には負けちまったけどさ。
今年が駄目でもお前はまだ来年があるだろ?元気出せよな!」
 
そう言ってぽんぽんと髪を撫でるように叩くと、ダビデは何も言わず。
ただ小さくこくりと頷くのみだった。
それでも、そんな小さな行為だからこそ伝わる悔しさや悲しさは大きい気がして。
触れた場所から、急速にそんな感情が伝染するのがわかった。
 
それきり。
無言で座り込んだまま、二人は言葉無くコートを見つめていた。
それはきっと、他のメンバーも同じだったのだろう。
みな心に同じ事を、きっと思っていたのだろう。
 
 
もっともっと。
本当はもっと、せめてもう少し。
あと少しだけでも、この場所の空気を歓声を感じていたかった。
 
 
 
 
 
 
 
鳥達が、木立から飛び立っていく音に。
弾かれて見上げた空はどこまでも高く、青く澄んでいた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
短く終わる
 
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実は六角にはまりたてのころ、途中からWJを見たので六角が全国にいけることを知りませんでした。
知らないので、こんなん書いてたんですよね…。
アナザーワールドとしてみていただけると幸い。