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・物越しに伝わる・ 「今日も暑いねぇ」 思っていた事が口から零れたのは偶々。 その声に、隣に座っていた樹が軽く相槌を打つ。 「そうなのね」という声にうっすら佐伯は笑みを浮かべ、また視線を空に向けた。 いまだ蝉の声には程遠い季節だったが、それでもじりじりと肌を焼く日差しは相当のもの。 初夏の陽気とはよくいったものだ。 夏と違いほとんど湿度を含まない熱をもった空気が、喉をとおり肺を焼くような気すらする。 もちろんそれは幻だけれど。 「あー、喉乾いたー」 「サエ、飲み物どうしたの?」 「ん?部室。取りに行くの、面倒だしね」 後でいいや。 そう呟く佐伯の横顔を樹はしばらく見つめ。 「どうぞ」 「え?」 目の前にストローつきの水筒が差し出された。 普段持ってきているのとは違う薄い水色のそれは樹の妹が使っていたもので、側面に可愛らしい絵が描かれている。 中身はいつもと同じ麦茶。それは良く知っていたけれど。 「サエ?麦茶、嫌だった?」 差し出されたものに、なかなか手を出せない佐伯に樹は首をかしげる。 ぽかんとその風景を視界に移していた佐伯は、ふいに我に返り水筒を手にした。 出来るだけ不自然でないように。自然に見えるように。 どぎまぎした手は、きっと佐伯自身にしか気付けない程度に震えていて。 「ありがと、樹っちゃん」 「どういたしましてなのね」 こくんと喉を通る麦茶の味など、当然わかるはずもなく。 ただ冷たいはずのそれが、妙な熱をもったようで。 佐伯が感謝の言葉にあわせて水筒を手渡すと、樹はふんわりといつものとおりの笑顔で受けとった。 それは日差しの強い、部活の休憩時間のこと。 追記。 ちなみにその日、サエの記念日日記に記されていたことといえば。 『樹っちゃんと間接…(その後はぐしゃぐしゃに書き散らしてあって解読不能)』 だったとか。 |
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web拍手用に以前アップしていたものでした。 キスにまつわる3つのCPと言う事で、バネダビ・サエマレ・千南を書いたなあ。(遠い目) 恥ずかしくて、見返すのもやっとこです。 |