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[2] 「バネさん、今回これでいい?」 ごとり、と天根が手にしたものを無造作に机の上に置く。 タバコの吸殻が山となった味気ないデザインの灰皿と、いつ食べたのかもわからない即席麺の容器に、底に少しだけ水滴の残る酒瓶。 それらがガサガサと手で机の端に寄せられる。 「俺のと、バネさんの」 二つの黒光りする塊を目にして、黒羽は眉間に皺を寄せた。 「…必要なのかよ…今回も」 うめくように呟けば、天根はきょとんとした。 「何いってんの?当たり前」 天根は本当にわからない、といった様子で黒羽の顔を見ている。 物心ついたときから組織に属している、いわば組織が親代わりの天根には拳銃など玩具替わりであったし、それを実際に人に対して使ったことも数え切れない。 だからこそ、黒羽の拳銃に対する躊躇が理解できないのだろう。 「この前も運転だけだし、護身用にでも持ってたほうがいいよ」 「…ああ、そうだよな」 黒羽はゆっくりと机の上に転がった拳銃に手を伸ばした。 狙いどころを間違えなければ容易く人の命を奪える道具。ずしりと重い鉄の冷たさは指先を通して細胞を焼くかと思う。 −−ただの幻だ。 「んじゃあ行くぜ、ダビデ」 「うぃ」 苦い、呑みきれない感情の揺らぎに。 黒羽は見ないふりをした。 知覚しても、はたしてどうにもならない。 これが『現実』というものなのだから。 ← → |