[11]

まどろみ続ける意識の中、はじめてあった時のことを思い出す。
もう遠い昔のことだ。



数日前まで日の当たる所にいたはずなのに、ここはこんなにも暗い。
これからは今まで学校で覚えてきた事とは逆の事を覚えなくてはならない。
銃の扱い方。
様々な機械の動かし方。
人を間引く方法。
そのどれもが黒羽の精神を捩り上げ、乾いた血がはらはらと心から散っていくようだった。

そんなときに出会った。
正しくは顔を合わせられた相手。
ダビデ。

「なんだよ、ジロジロみんな…」
「ねえ、新入り?いくつ?」
「っ…人の話聞けよな!…13だよ」
「え?俺より年上?一個上か」

不躾な質問を容赦なくぶつけてくる目の前の赤い髪は、どうやら黒羽より一つ年下のようだった。
視線が頭のてっぺんからつま先まで過ぎていく。
そしてその目に浮かんでいる問いになんとなく気付いて、黒羽は不機嫌な顔を益々強くした。

「お前より背が無くて悪かったな!でもすぐに抜いてやる」
「うん」

黒羽としては精一杯のあてつけのつもりだった。
それなのに、嬉しそうに笑うのだ。
目の前の少年は。

「おんなじくらいの奴がいないから、嬉しい。よろしく」
「…あ、ああ」

てらいなく向けられる好意に、黒羽もぎこちなく微笑みを返した。