妄想日記その壱〜明治楼閣物語〜

とりあえず時代背景は明治辺り?そこらへんからもうパロです。
ええ!パロディでいきましょうYO!
どうせですから普段がさつな(エ?)士郎の性格も、儚げ系にちょちょいとチョイス★
乙女フィルタの準備は出来ましたか?
ばっちりひっかぶせておいて下さいネ★

明治、古くから続く武家の跡取息子であった士郎とその弟のエレキ。
厳格な父と優しい母。そして祖父母。幸せな時間は永遠のものだと信じていた。しかし。
父と母が流行り病で倒れ、家族は祖父母と士郎・エレキだけになってしまう。
家屋も財産も全て叔父に奪われてしまい、年老いた祖父母では家族四人は養いきれない。
士郎は独り辛い決断をする。それは国元から遠く離れた街の楼閣に身売りしそこで稼いだ金を養いの金としようとしたのだ。
祖父母もエレキもこの事を伝えればきっと反対するに違いない。士郎はそう思いある月夜の晩に独り家を出た。
残されたエレキは自分の無力を嘆き、いつかかならず兄を探し出すと、その為の力を手に入れると誓うのであった。



楼閣。

士郎はその器量良しの外見から、すぐに高額で売られるようになる。
相手は殆どが政府の役人などであり男であった。
毎日のように繰り返される終わりのない時間。それでも士郎は残してきた家族の為を思い、ただ瞼を閉じてその汚濁に耐えるのだった。

その楼閣に一人の男が居た。
ニクスである。
ニクスも楼閣の商品の一人ではあったが、彼は望んでココに居るようであった。また、士郎と違い金持ちの夫人や姫の相手をする事が主であった。

きっかけはささいなこと。
月も出ぬ新月の晩に、ニクスは明り取りの障子窓の側に人影を見る。
まだ幼さの残る顔立ち。その頬に伝う銀の雫。
士郎であった。
家族を思い、堕ちてしまった自身を嫌悪し、どうにもならないこの世界にただただ、月も出ぬ夜に涙する。
その落涙を見てしまったのだ。
ニクスは何故この時そうしてしまったのか分からない。しかし、衝動的に士郎を抱いた。
突然の衝撃に驚いた士郎であったが、繰り返される汚濁は士郎にあきらめという言葉を植えつけていた。
なすがままにされる士郎に、ニクスはただ抱きつづけるしかなかった。

そんな関係が続いて、いつしか士郎は何も語らず気まぐれに己を抱きにくるこのニクスが、なにかしか自分に対し思いを持っているのではないかと思いはじめる。
しかしそんなことは都合の良い夢だと、自分の思考を振り払うのであった。
ニクスはそんな士郎に何も言えず、ただ抱きかただけが優しく恋人達の甘いそれへと変じて行くばかりであった。



士郎が楼閣に売られてから三年の月日が流れた。
そのころより士郎のもとに、一人のまだ士郎より少し年上だろうとおもわれる、学士が通うようになる。
けして高いとは言えない給料から、士郎を一晩買うための高額を払いつづけている。
サイレンであった。
何度となく通い詰め、士郎に身請けを申し入れるサイレン。
サイレンの真摯な態度にいつしか心引かれた士郎は、しかし彼のような立派で真っ当な人間が自分のような汚濁にまみれたものと共にいてはいけないと、サイレンを拒むようになる。
そんな士郎の辛い様子に、ニクスは肌の温かさしか与える事は出来なかった。


士郎がサイレンを拒んで一ヶ月。
ぱたりとサイレンの足が途絶える。ようやく諦めてくれたのかと、これでよかったんだと思いながらも、涙の止まらない士郎だった。


そうしてまた少しばかり月日が流れる。
楼閣に一人の若者。深く頭巾をかぶり、口元には幅広の襟巻き。
少しばかり覗く瞳から、まだ年若いのではないかと。
若者は士郎を指名する。
しかし、身分も素性もわからぬものに、高級官僚用の士郎をおいそれと差し出すわけには行かぬと。
店の者が渋っていると、若者は懐から大金の入った袋を押しつけた。

『これでむこう1ヶ月、買いたい』

袋に入った金額はたいそうなもので、支配人はすぐさま頷いた。
すぐに寝屋へ案内しようとするものに、若者は一つ注文をつける。
士郎に目隠しをするようにと。わけがわからぬが特上のお客である。
士郎はすぐさま目隠しをされる。
今までにはないことに動揺を押さえられない士郎。扉の開く音。入って来る足音。
おもわずからだが竦む。
何者かが、士郎の頬に触れた。そのまま何度も何度も撫でまわす。
しかしそれに性的な動きはなく、ただ懐かしむように慈しむように触れてくるのだ。
もしかして、サイレンなのではないか?
そんな士郎の願望が、言葉になって口をついて出た。

『サイレン?!』

わずかに喜びのまじった声。その声を聞いた瞬間、士郎の頬に触れていた手は乱暴なそれへと変わる。
突然、奪われるように貫かれ、抱かれる。
相手が見えないので何をされるのか分からない。恐怖がそこにあった。
さんざん弄られて、士郎は意識を手放す他はなかった。

意識を失い、人形のように眠る士郎。それにかける声一つ。

『……兄貴』

士郎を大金を出して買い、今の今まで抱いていた若者は、ほかならぬ士郎の弟のエレキであった。
エレキはあの日から、叔父に復習する事、兄を助け出す事をただ生きる上での希望としていたのだ。
ようやくこの歳月に叔父を毒殺し、全ての遺産を取り戻して兄を探し出したのである。
再開した兄は昔の面影こそ残ってはいるものの、触れれば折れるような脆さを身にまとった人となっていた。
目隠しを命じたのは、ただ兄を驚かせたかったのである。
しかし、兄の口から男の名前が出たことで、エレキは自分の兄に対する普通ならざる思いに気付いてしまった。


それから。
1ヶ月の間、エレキは士郎を毎夜のように抱きつづけた。もちろん目隠しはしたままで。

そして1ヶ月が過ぎようとしていた時。
サイレンが再び現れた。彼は士郎を諦めて去って行ったのではなく、士郎を身請けするための金を作っていたのだ。
この短期間でまとまった金額を作るなど、並大抵のことではない。
それは久し振りに見たサイレンの顔に色濃く残る疲労のあとからも明確であった。
士郎は涙した。
金額を提示した支配人は、色々な準備もあるので2〜3日待って欲しいと言う。
そのくらいなら、そう二人は思った。
しかし、世の中はどうして金の亡者の集まりである。
その夜、廊下を歩いていたニクスは支配人の話しを聞いてしまう。
支配人はサイレンから金だけを騙し取り、士郎を別の高級官僚に売ろうとしていたのだ。
ニクスはその足で士郎のもとに向かう。
話しを聞いた士郎は青ざめる。いったいどうすればよいのか。どうにもならぬ現実だけが士郎を追い詰める。
ニクスは言う。

『ココから逃げろ。あいつと一緒に。俺が手引きしてやる』

何故。
何故ニクスがここまで言うのか。士郎には分からない。

『如何してなんだ』

もっともな言葉であった。ニクスは苦い笑みを浮かべた。

『俺がしたいんだ。それ以外の理由はねえよ』

続けて与えられた甘い口付けに、ニクスの心を知ったような気がした。
全ては、遅かったが。



そして実行の夜がやってくる。
今夜を逃せば士郎は売られてしまう。ニクスは士郎の手を引き裏門まで連れて行く。
裏門には当然だが見張りが居た。しかし宵の睡魔が襲う時間である。
うとうとと舟をこぐ門番を、ニクスは一撃のもとに叩き伏せた。
門の向こうには手はずのととのったサイレンが待っている。
ふいに、楼閣全体が騒がしくなる。稼ぎ頭の士郎が逃げたのだ。騒ぎともなろう。
慌てる士郎にニクスは言う。

『さっさといきな。後は俺がなんとかしてやる』

士郎は頭を振る。

『嫌だ!ニクスも一緒に行こう!!』

真摯な眼差し。絶対に譲らない意思の強さ。この眼差しに惚れた。
ニクスはそっと触れるだけの口付けをおくる。

『ンなことは待ってる奴がいるのに他の男に言うもんじゃねえよ。俺にはここの暮らしが合ってるんだ。お前が心配するようなことじゃない』

口端を上げて笑って見せる。

『でも!』

諦めきれずにいる士郎。

『行け。お前はまだ幸せになれる。早く行け!』

押される。
裏門から無理に路地へ押し出された士郎。その体をサイレンが受けとめる。

『ニクス!』

悲痛な叫び。

『あばよ。達者でな』

笑う。ああ、この男はなんと快活に笑うのだろう。

『そいつのこと、頼んだぜ。あんたにしか頼めねえからよ』

そしてサイレンに向かってそう告げる。
サイレンはただ、黙ってしかししっかりと頷いた。
扉が閉まる。
扉にすがりつく士郎を抱きかかえ、サイレンは夜の町をひた走ったのであった。



結果的に、逃亡は成功に終わった。
それはサイレンが払った見うけ金が正当なだけの金額あったからだけでは無かったが、真相は闇に包まれている。
ニクスは売れ筋ということや、彼自身逃亡劇に手を貸した等と言う証拠は掴ませなかった為、今も楼閣でその日暮らしをしている。
そして月夜の晩に士郎のことを思い、わずかな笑みを浮かべるのであった。




士郎はサイレンと共に1度故郷に戻っている。
エレキが財産を取り戻したことにエレキを誉める士郎。
だが共に再び暮らそうというエレキや祖父母の誘いは断わり、士郎はサイレンと生きていく道を選ぶ。
エレキは士郎が家に戻ってきたことで己の思いを封印した。
兄はあの男の隣りでは今まで見たことのない顔で笑っている。
それならば。それが兄の幸せであるならば。
この自分の暗い想いは心の奥にしまおうと決めたのだ。
あの夢のような一ヶ月だけを心に残して。



そして士郎は旅立つ。
今度は己の想い人の隣りで。
今度こそ幸せを掴む為に。彼と二人で生きていけるように。




どうか。

幸福を。




終わり。


そんなわけで、これが妄想日記第一弾です。まったく変更してません。
原文のまま。
変える暇もありませんで…
そのうち余裕が出来たら手を加えてみたいかも。
むしろこれ、ギャグですよ…設定とか知らんふりで書いてるし。
嘘ばっかりです。すいません。