みっともなくても


女々しいと思われても


その背中にすがり付けば良かったのか





でも振りかえらない背中が


冷たい気配が


俺の全てを拒絶していたから






涙も 出ない







ああ なんてあっけない        別離
















Part from …














「もう…終わりにしようぜ……士郎…」








冷えた言葉だった。

いつものように口付けて、いつものようにじゃれあって。
いつものように、寝た。

何時の間にかすっかりこの行為に慣れてしまった体は、際限なく彼を求めて。
何度も追いやられ、昇り詰めて。
果てたあとの虚脱感。
けして嫌ではないその感覚に身を任せて、フワフワと漂う意識の中に。
突然その言葉は、銀のナイフとなって突き刺さった。

「終わり…って?……ニクス?」

言われたことが理解できなくて、士郎は青い瞳を自分の横で立ち上がる彼に向ける。
ニクスは答えない。
黙々と、脱ぎ捨てたばかりのシャツを羽織り、擦りきれたジーパンに足を通す。
青い瞳に映るのは、背中。

「ニクス?」

もう1度。
今度は問いただすような色を込めて、はっきりと。

じじ とジーンズのファスナーを引き上げる音。
重い体を起こすと、ギシリとベットが悲鳴を上げる。
無意識に掴んだシーツの衣ずれの音さえ耳に残るほど。

沈黙を持って返された 真実。


痛いほどの

拒絶


もう1度だけ。
もう1度だけ名前を呼ぼうとして、しかし声は喉の奥に張り付いてしまったよう。

薄ぐらい人工の光の下。
浮かび上がる背中をただ見つめる。


振りかえって。

いつものように『冗談だよ』って笑って。


そして抱きしめて。
キスして。





ひら





白い光の下に、何処から迷いこんだのか。
1羽の蝶。

黄色の燐粉が光に照らされ雪のよう。


季節はずれの蝶は自身が何処にいるかも知らず、漂う。



吸い寄せられるように視線を寄せて。

溜め息を聞いた。




「飽きたんだよ」



低い言葉。
感情の篭もらない、言葉。

背中は振りかえらない。
背中に遮られた声のみが、士郎の世界を塗り替えていく。

「なに…言って」

口からようやくついて出たのは、しゃれにならないほど震えていた。
それを気付かない彼ではないだろうに。
それでも背中は変わらない。

「お前に飽きたんだよ……やっぱり女の方が気持ち好いしな」

後半は、ことさらに明るく言われた。
その言葉に、目の前が真っ暗になる。




どうして

女なんか変わりにならないって

お前だけだって


そう言ってくれたのは 貴方なのに




「そう…なんだ?」


捨てないで!


心はすがり付いているのに、口から出たのは心にもない声。
乾いた言葉。


「ああ。やっぱり女が一番だよ。だからお前とは、今日で終わりだ」


冷たい背中。
拒絶の壁。
やさしそうな言葉は実に冷ややかに、士郎の心に毒となって染み渡る。



がら がら がら


世界が音を立てて崩れて行く。
極彩色の世界は色を失い、モノトーンの荒野に変わる。



「……サヨナラだぜ。士郎…」



貴方はこんなにも優しい。
優しく俺の心深くにナイフと毒をのせていく。

じくじくと、心が腐っていく。

傷からは赤い鮮血が流れ落ち、落ちた側から毒の色に染まって凝る。




大きな背中が、少しずつ遠くなって行くのを目にしても。
士郎は指一つ動かせなかった。
動かせず、ただ見つめていた。


見つめて

見つめて




灰色のドアの向こうに、背中は消えた。


扉の軋む音。
閉ざされる世界。



















ひら   ひら



蝶が舞う。

偽りの光を求めて、季節はずれの蝶が舞う。











「お前も……独りきり、か?」







呟く。
その声がガランとした部屋に響く。





響いて。











ぽとり






蝶が 落ちた。



寒さに耐えられなかったのか、寿命であったのか。
落ちた蝶の羽は、春を思わせる黄。
その彩に。


扉の向こうに消えた彼の髪を想い。



















世界が一つ 終わりを告げた












それでも


零れ落ちないこの涙は


すがり付きたかった 己の心であろうか……























サヨウナラ



サヨウナラ



愛しい貴方







その言葉すら 言えなかった









ホラ なんてあっけない        別離























NIXサイドへ→
櫻さんに。櫻さんの為に!さ・さ・げ・ま・す★<迷惑だ
1回頭を冷やしなさい。なムスミです。
むしろこれだけ見た人は、何がなんだかわからないよね?
分からない人は、すぐさま櫻さんのHP「アシタバ」にとんで、裏ページの裏絵掲示板を見るのです!
そうすれば全てはあきらかに!!!

ああもう、これこそ私一人が楽しいSS。
いいですよね?サイトってのは自分を表現する場所だもん!!(あ,開き直りやがった)
ええとですね。
これはニクスを過去の男と設定したお話の別れ話部分をクローズUPしてみたモノです!
そして士郎は乙女フィルタを5枚どころか10枚近くはひっかぶってます!
こんなん士郎じゃないよっ!って思った方、ゴメンナサイ。
これはこれで楽しかったのです。

この文だけみるとね、ニクスがすっごくひどい奴に見えるけど、そうじゃないの!
ニクスは士郎を汚してしまったと思って、自分から離れようとするの!!
きっと彼も扉の向こうで唇を噛むぐらいのことはしてんのよ!!(妄想)
をー!!!肉シロ過去の男万歳!!!

そんで傷ついた士郎をサイレンが包み込んであげるのです。
ふふ。
なんだか今日は一人よがり。ごめんなさい。