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ほら御覧。 あれは天よりの橋。 七色の輝きをまとった。 てんごくへのみち 人虹 「ふっ…ぅん…」 くちくちと掻き回される。それに反応し、漏れる声。 今に始まった事では無い。 長い長い行為。 「そう…上手だよ…士朗」 囁かれる低い声。 それと共にねっとりと耳朶を舐め上げられ、ぞくりと背筋に走る。 快楽。 まだしっかりと巻かれたままの帯。合わせられた前衣。 その隙間から無遠慮に差し入れられている、大きな掌。 太い指の腹が鎖骨をぐいと押し、節ばった関節が顎をかすめる。 士朗に向かい合うように座る、影。 その前で割られる事無く開かれた、膝頭。 下肢を覆うもの一つ無く、影の眼前に晒された秘部。そして、そこに這うまだ発達途中の掌ふたつ。 「あ…っ…あぁ…」 胸に触れる掌より小さなそれは、やんわりと自身に絡み。 もう一方はそれよりさらに奥。 普段ならばけして触れないようなところヘとのばされて。 くちゅ…ちゅぷ… 淫猥な音を狭い部屋に響かせる。 閉め切られた扉という扉。 それでも、庭に面した渡り廊下と繋がる白障子から入り込む明かり。 まぶしいそれに、時刻はまだ陽が天を僅かに下りた頃と思われた。 チチ…ピピピ…… と何処からか小さな小鳥のさえずりさえ。 障子ごしの木陰は、ざわざわとかすかな風に気持ちよく揺れている。 そんな陽の世界と切り離された、陰の世界とも言えるここで。 「おと…さ…」 「覚えが早いね…さすが私の士朗…」 淫猥な行為をしている。 もはやしっかりと立ち上がったソコは張り詰めて、先端を透明な雫が覆いはじめている。 それでも。 「も…おねが…」 許されなければ進めない。 コレ以上先には。 それが苦しくて。 吐き出したくて。 楽になりたくて。 許しを請う言葉を載せた舌が妙に赤い。 ふるふると外気に晒されたそれを、より大きな舌が舐め取る。 絡め、進入し、口内を蹂躙する。 「んむ…ぅ…は……」 飲み込み切れぬ唾液が糸を引き、顎を伝い堕ちる。 どちらのものとも分からぬ、慣れた行為。 狂う。 「ああ、可愛いよ…士朗…それじゃあそのまま、お父さんに乗って御覧」 誘うように囁かれたそれは、絶対的な命令。 強要されたわけでは無い。それでも逆らう事など思うはずも無く。 むしろそれは許された瞬間。 自身の指でなく、大切な父のもので埋めてもらえるという幸福。 黒い喜び。 そろそろと指を抜くと、潤滑油が糸を引いて指先に残り。 びくびくと奥が物足りなそうに煽動している気がした。 散々自身を立たせる為に埋めこみ掻きまわした指がぬらりと光る。 それを言われること無く口へ運び、汚れを全て舐め取った。 そうすることで、父は喜んでくれるから。 自分から覚えたこと。 震える膝を性急に立たせて、足を伸ばし座り直した父の元へと擦り寄る。 襟一つ乱れの無い着物の合わせをそっと開く。 そこには既に立ちあがり主張している父の分身が。 唇を寄せ、慈しむように口付けを先端に贈る。そして前かがみになったその体勢のまま、伺うように視線を上げる。 父の笑顔があった。 「ちょうだい…オトウサン…オトウサンを僕にちょうだいよ…」 「なら、自分でして御覧」 すげなく。しかし奇妙な優しさに満ちた言葉に、顔を上げて腰を浮かす。 片手を父の首に回し、もう片手を父の分身に添えて。 正面から座り抱き合うような形で、ゆっくりと腰を落していく。 先端がひくついた部分へと触れると、ぞくぞくと背筋を這いあがる気配。 待ちかねたと、身体が叫んでいた。歓喜した。 「あ…っ……あぁぅ…」 ずぶり。 秘部が広げられ、入りこまれる感覚。 ここだけは、いつでも怖い。裂けてしまうのではないかと思うから。 その不安を見ぬいたように、布団に着かれたままであった父の手が中に浮いて不安定な腰を掴み。 「ひっ…あ!」 ぐっと一息に奥まで貫いた。 比べ物になら無い痺れ。全身に一瞬にして伝わる電流にも似た感覚。 ひとつになったという、事実。 痛みが喜びへと変わる媚薬。 全身から涌き出る歓喜が自分から腰を使おうと動きをみせた、その時。 ぱた ぱた ぱた あまりにも聴きなれた音が、なかば朦朧とした士朗の鼓膜を確かに刺激した。 熱く狂うようだった心に、すうっと冷たいものが一筋。 ぱたぱたぱたぱた 「…兄さーん!」 音は足音となり、声を伴って近づいてくる。 声音は僅かに高く、声の主の感情が高揚しているのが分かる。 「あれは慧靂かな?」 慧靂が来る。今、この部屋へ。 父の何気ない言葉に思考がぐるぐると回りだし。 びくんっ と肩が跳ねた。 紅潮していた頬はみるみるうちに青ざめていく。 青い瞳は灰色を溶かしこみ、どんどん沈んだ色へと変化して。 そんな、腕の中の士朗の反応に。 父は暗い瞳で笑った。 ぱたぱた…ぱた。 程なくして足音は止まり、障子に慧靂の影が落ちる。 幸か不幸かこの部屋にガラス戸は無く、障子を開けなければ中の様子を窺い知る事は出来ない。 「ね、兄さん。見せたい物があるんだけどさ」 部屋の中に確かな人の気配を感じ、それを士朗のものと信じて疑わない慧靂は普段と変わらぬ口調で声をかけた。 しかし、返事はない。 確かに誰か居るはずなのに、障子から伝わるしんとした沈黙。 いぶかしく思い、首をひねる。 「いないのかな…」 呟きに、しかしその場を立ちさる気配は無く。 かわりに『きし』と障子の木枠がかすかに鳴った。 慧靂が障子を開き、部屋の住人の有無を…自分の有無を確認しようとしていることに気付き。 「え…慧靂っ…」 士朗は思わず声を上げていた。 部屋の中から聞こえてきた声に、障子にかけられた指先から力が抜ける。 「あれ…やっぱりいたんだ?」 それなら、と一度抜けた力を再び指先にこめようとして。 しかし続いた兄の声に止められた。 「んっ……今…ちょっと手が離せなくて……ごめん、あと…で……」 途切れ途切れに聞こえる声は、どこか普段聴いている声と違うような感じを受けた。 もしかして具合が悪いんじゃないだろうか。 「ね、具合悪いの?誰か呼んでこようか?」 ただでさえ、少々やせぎすの感じさえうける兄の身体。 本人も気付かぬうちに体調を崩して…なんてこともありえなくはない。 純粋に心配して… 「いい…よ……本当に大丈…夫だから……ぁんっ!」 最後まで言い切ることが出来なかった。 突然、止まっていた父が緩やかに動き始めたから。 緩慢なリズムをつけて、ゆるく上下に身体を揺さぶられる度に浅い所で抜き差しされる。 もどかしい快感が、引き締まりかけた思考を端から溶かしていく。 「兄さん?…ね、本当に大丈夫?」 心配そうな慧靂の声も、もはや拷問に近い。 「んっ…んっ…ほ、んとに……おねが…いだから……1人に…・して…っ」 それでも今崩れるわけにはいかない。 バラバラになっていく理性の、僅かに残ったかけらを握り締めて。 士朗は慧靂にこの場を立ち去ってくれるよう祈った。 それはどうにか慧靂に通じたらしい。 「そう…じゃまた後で来るよ」 本当に具合悪かったら言ってね… そう小さく声が聞こえて。 ぱたぱたぱた ぱた ぱた 足音が遠ざかったいった。 ふ… 安堵の息が漏れる。 途端、下から突き上げられのけぞった。 「んんっ…あ、う…ん!」 抱きすくめられ、肩口に歯を立てられ。 腰を掴み打ちつけられる熱い欲望。 呼応するように、慧靂の訪問により冷えかけていた劣情に再び火が灯る。 すぐさま自分から身体を揺すり、父を更に奥へと導こうとした。 「アレに見つかるのは嫌かい?」 熱っぽく囁かれた問い詰めも、もはや理性を戻す事はできない。 「嫌…だよぅ…」 ただ、理性を置き去りにした快楽を求める欲望だけが。 狂った心が言葉を紡ぐ。 「だ…て、今のオトウサンは…僕だけの……だか…らぁ……はぅん……慧靂にもぉ…見せたくなぁ…」 それは理由の半分。 狂った答え。 「そうか…士朗は、本当に可愛い……」 「おとおさぁんっ…あぁん…」 父はその答えに満足したのか、更に突き上げを強く。 それに応えるように士朗も爪を立てるほど激しく。 じゅぶじゅぶと、淫猥な音が再び部屋を支配していった。 サー… 広い庭にまかれている水。 先がシャワーのノズルになったホースから出てくる水は、霧吹きを使ったような細かいもので。 それにキラキラと反射する午後の日の光。 ホースの先を持った少年は、水の霧が作る壁をぼんやりと見る。 「兄さんに…見せたかったんだけどなぁ……」 人工の霧雨が降り続く日本庭園。 少年の目の前には。 小さな虹が おぼろげに輝いていた…… 了 |
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か、書けた! おひさしうこざいます。エレシロです…じゃなかった。 父シロです。 こんな痛いのうちのサイトだけです。多分。 さ、さびしー! てかエロさUP中?どうしてこんなにも…(動揺) では恒例(?)の年齢。 「士朗13歳。慧靂11歳。」 です。この時はまだばれてないんですねー。 オトウサンと関係を持つようになってから2年くらいかな。 どひ。 このSS。なんだか本人も気付かぬうちにシリーズになりそうな感じなので、副タイトルを今考えました。 『籠の鳥』シリーズで。<まんまじゃんというツッコミは御勘弁。 だって発想貧困なんです。私。 今回のタイトルは『人虹』ですが、読み方は(ひとにじ)でも(じんこう)でもどちらでも良いと言うことで。 ラストの慧靂の虹をさすというか… きっと学校で勉強に出たりしたんでしょう。光のプリズム。 次はどうなることやら。 とりあえずこのシリーズ、そろそろ次当たりで慧靂にばれますね。 むしろ普通今回のでバレルって…なぁ。 |