何処へ行くの


何処へ 行くの


そうだね



何処でも いいよ












ICO











ぽかりと。
そう、本当にぽっかりと浮かんだ白い月。
満ちるにはわずかに足りないそれは、それでもその輝きで地上を柔らかく照らし出していた。
白い月と、ほんの少しだけ揺らめく薄雲。
それだけが見上げる空で形となるもの。
本来なら満天の星空…とでもいうのだろうか、数え切れぬほど幾多の星が埋め尽くすはずの夜空も、今宵は白い女神に遠慮したのか姿を見せない。

さらさら。
耳に届くかすかな音。
それが無限に続く砂の流れる音だと、そう気付いたのはほんの少し後。
足元を埋め尽くす月光に照らされて白い砂は、時折きまぐれにふきつける風にいく筋もの軌跡を残し。
刻々と姿を変えて見せる、砂塵。

その砂の中、白い月よりも更に白い欠片が目に止まる。
細かい砂に覆われて、長い年月姿を見せなかったと思われるそれは、風の悪戯によっておそらく今宵のみ地上に姿を現したのだろう。
明日、いやもしかしたら数時間・数分後にはもう埋もれて形も残らないかもしれない・しかし今視界の隅にあるそれ。

そこに細い。
本当に細い指が伸びる。

「やめなよ」

抑揚の無い、声。
ただ、その指のする行為を一度止めることもできない、そうするつもりもない。
今までに幾度と無く口にした・言葉。
それに今までと同じように、止まる指先。振り向かれる瞳。

「どうして?」

ドウシテ。
そう、どうしてだろうね。
別にその行為を止めたいわけじゃないのに。

がしゃり。
肩に下げられた黒い鉄の塊が鳴る。
幾度と無く用いられたそれは数多の命を狩り、すっかり手に馴染んでいた。
その重さだけは、今も肩に食いこむほどであったけれど。

「それ、どうするのさ」

これも繰り返される言葉。
わかってる。ワカッテル。その答えも、君の意思も。
でも、繰り返さずにはいられない。

まるで。
儀式。

「拾うだけ。そしてまた置いて行くのよ」

そう答えた瞳はもうこちらを見ていなくて。
ただ足元の砂からわずかに覗いた欠片へと向けられる。
そうして伸びる、白い指先を。そっと目で追った。

からん。

指先が摘み上げたのは、白い白い欠片。
砂よりも白く。
石よりも軽い。

ヒトのカケラ。

「長かった…のね」

囁かれる声。今のこの瞬間のみはその欠片に注がれて。
薄い、紅を宿した唇が寄せられる。
触れるか触れないかという、そんな程度の口付け。

そうして程なく、欠片は再び大地へと戻って行く。
砂の中。何処までも奥深く。
今はもう、大地の一部として。

欠片が完全に大地に帰依していったのを見届けて。
それまで欠片に触れていた指先に触れる。
そして壊れてしまわぬよう、そっとガラス細工を包むように握って。

「行こう」

引いた手はこの手より冷たい。
けれどそこから生まれいづる熱の、暖かさに気付いて欲しい。

「そうね」


さくさくと、足元を鳴らす砂。
かき分けて、踏みしめて。
僕らは進む。





さらさらさら。



白い砂漠を。







君と二人で。













どこまでも     行こう。


















突発的SS。
実は念願。久し振りのSSは何ともマレなアミリリ(ARMYリリス)です。
タイトルは、すいません…これしか思いつきませんでした。
そして思いっきりパラレルでイエー。
砂漠と月と機銃と骨。
そんな感じで。

ご、ゴメンナサイ。
今目の前にICOのサントラジャケットあって、ICOサントラ聴きながら打ってました。
もう最高です。ICO。
このSS、勝手ながらICOのサントラ「ICO〜霧の中の旋律〜」を聴きながら読んでいただけると、また違った味わいをかもし出せるかも。
無理です。ぎゃ。
自己満足。

本文を書き終わって後書きを書こうとしたらICOのメインテーマ曲になって、なんてジャストグレート。
とか思って1人で喜んでました。
ひゃっほー<愚か。
こんなんで少しでも「アミリリもいいかも」と思ってくださる方が居たら、嬉しいなあ。
ていうかICO最高です。<そっちを布教かよ。うん。