いつからか浸り始めた毒。


ひたひたひた。


足元から這い上がってくるそれを…受け入れてしまったのはいつのことだったろう。







もう

覚えてはいないのだけれど。










long for








長い。
長い髪。ゆらゆら揺れる。

「士朗さんて…髪長いですよね」

視界の隅に入る銀に思わず視線が吸い寄せられて。
何気なく呟いた一言。
は。

「え?なんか言ったか、エレキ?」

低く鳴り響く低音に見事にかき消された。
問い返す彼の声もほとんど聞こえない。こんなにも、肩がぶつかるほど近くにいても届かない。
彼の指はただ、黒と白を行き来して、その度に新たな音が生まれていく。
それを追うように自身の指も動いていく。その動きは、彼に比べて幾分稚拙であると、エレキは認識していた。

フロアに鳴り響く、目の前の鉄の塊から生み出される電子音楽。
それを生かすのも殺すのも自分の手にかかっている。
その緊張感がたまらなくて、いつしか遊びだけでは終われなくなっていた・ゲーム。
上手い人は沢山いた。
それこそ、あの赤毛の人も…ショートヘアの女の人も。
それでも自分の目に映ったのはこの人だけで。

のめりこんで行くのを止められない。





『師匠って呼ばせてください!!』


初めて伝えた気持ちは、純粋な憧れから。

『え…突然なんだ?お前…誰?』

あの人は、あたりまえだけどとても驚いて。それでも真っ直ぐに見てくれた。
そして俺の顔を見て。
ちょっと困ったような顔をして。

笑いかけてくれた。

その笑顔が純粋に嬉しかったのはいつまで?
触れた肌に全身が震えたのはいつから?




「…キ……エレキ!」

突然耳に飛びこんできた声に意識が引き戻される。
視界に入ったのは空の青。
覗きこまれて、至近距離で見つめられて。

「え…何ですか?士朗さん…」

ぼんやりと問い返す。
それに対し、目の前の青い瞳は幾分焦っているようで。

「曲!次どれにするんだって聞いてるんだって!」

長い指が差した画面には、残り時間5カウントを切った表示。
慌てて右手を滑らせる…が、目的の曲の1歩手前で無残にも時間が0になった。

「あー…」

決定された曲は…なんというか物足りなくて。
いくぶん落胆を隠せぬままに曲は始まる。

落ちて行く電子映像。流れる旋律。弾き出す指が、僅かな隙をもてあまし。
そっと隣りを盗み見ると。

意外。

あこがれのあの人は、自分ですら片手間にしてしまうような曲に。
真剣に向き合っていた。
違う血が混じっているのだと一目でわかる青い瞳が、貫く。
こんなところが…意外なのではない。
士朗らしい。




気付けばゲージはレッドゾーン。

しかし更なる上限を求めて。



鳴り響け音楽。
胸の鼓動よりも低く響いて打て。




貴方の 側にいたい。



誰よりも近くに。









「あー、やっぱりAAどまりかー…」

ため息と共に残念そうに吐き出された言葉。
その言葉のままに少し下がった肩。筐体に触れたままの両手。
1mにも満たない距離。
手を伸ばせば…届く。

「でも凄いですよ!」

無意識に…飛び出した言葉は薄い壁。
伸ばしてはいけない。この手を。

「そうか?けどなあ…納得いかないんだよ」

子供のように口を尖らせる。
その仕草ひとつひとつが、何かを狂わせる。

「それじゃあ…もう1回お願いできますか?」

覗きこめばそこに余裕の笑み。
むけられた好意に勘違いをしそうになる。

「よーし、今日はトコトン相手になってやるぜ」



再びフロアに音楽が満ちる。






それでも。
満たされない心。
更に貪欲に。



貴方が欲しい。



願ってはならない 望み。







それを人は 甘美な毒にたとえるのだろう。









ただ一つ、確かな予感。





いつか


   自分はこの人を




                 壊す















うー。
えー。
あー。
エレシロ。

例の曲クリアおめでとうございますv
奉げますvv(私信)

なんか結局、とあるところとかぶってしまった気持ちMAX。
影響されるって駄目だなあ。
うちのエレキは灰色君。
白かったり(純粋な憧れ)黒かったり(どうにかしたい気持ち)忙しいね。
頑張れと素直に言えないのは何故だろう。
とりあえず…もうちっとエロくしたかったとか…そんなのは秘密の方向で。

エレシロも好き気持ちです。
両思いにしてあげたいような、このままでいらんような。
うふふ。
この士朗さんならおひしゃるぐらいになるよねえ?
最近自分ちの士朗が乙女ちゃん街道まっしぐらで…自分でちょっぴりキモかったです。
人のはいいけど、己のはだーめーじゃー。