止まらなかった。
止められなかった。

否。

止めようとしなかった。



Prayer−プレイア−




大切に、何よりも大切に。大事な大事な…妹。
たった一人の。
どうしてこうなってしまったのか。

ただ、首にからんできた手首の細さ。
触れ合った肌の熱さ。
窓からの外灯の明かりに照らされた乳房の白さだけが、脳裏に焼きついて離れない。

そうして今、同じベットにいるというこの瞬間。
シーツにくるまれた柔らかな丸みを帯びた体は、もう妹が子供ではないことを視界から突き付け。
もはや同じ布団で寝かしつけたあのころではないのだと。


思った瞬間に、涙があふれた。


時間など経たなければよかった。
何を迷う事もなく、純粋にあるいは必死に。
妹を守っていた幼いあのころ。
あれはただ純然とした好意だった。

愛だった。



どちらが誘ったのか。
低俗にいえばそんな簡単な出来事は。
もうあいまいすぎてわからない。
ただ、妹が誘ったにしても。自分が誘ったにしても。
心の垣根が崩れてしまったことだけは確か。


戻りたかったのは。
この手に取り戻したかったのは。
あいまいに、おぼろげに。

そして二度と、戻る事は無い。



朝のこない部屋にただこぼれる涙は、過去との決別を意味したのか。
それとも未来を嘆いての事か。
それに答えてくれるものなど、この世にありはしないのに…

救いを求めるかのごとく。
断罪を切望するかのように。


涙はあふれて止まらなかった。



神よ。
存在を信じる事の無かった自分が、今この瞬間だけは貴方に祈りたい。

どうか罰ならば俺だけに。
どうか罪ならば俺の上にだけ。
この子の分まで俺の元へ。
断罪は、ただ一人。
この頭上に降り注いでください。

そして何よりの幸福をこの子の元へ。
最愛の。
リリスの元へ。


どうか神よ…




祈りは静寂の中へ波紋のごとく広がって、消えた。







夜はまだ 明けない。






end



セムリリ…です。
prayerとは和訳で『祈る人』という意味です。
playではありませんのであしからず。