ここはROOTS 26




さて


本日は何をお求めでしょうか?











来客










いつもと同じ金曜日。
しんと静まり返った店内。
窓から差し込む光は、カーテン越しにも初夏を思わせる強さ。
土日ともなればそれなりに人通りの多くなる表の通りも、まだ正午になったばかりという時刻のせいもあってか人もまばら。
ただ、鳥のさえずり。
車の排気音。
小さく聞こえる、人のざわめき。
この季節には早い、蝉の声。

がたがたと窓を鳴らして通り過ぎていく風に、店の奥存在した人影が頭を上げた。
一瞬。
ほんの一瞬、来客かと思い。
それが風の悪戯だったことに気づくと、ふ…と一つため息。
BGMも流れないこの店は、周囲の音にとても敏感である。
そしてその店の主であるこの青年もまた。
周囲に溢れる音に敏感な性質であった。
神経質とも取れるそれは、青年にとってもけしてプラスであるとは言いがたく。
しかし雑多な音楽で耳を惑わすのも煩わしく、結局この店は開店当初から無音のまま続いている。

風の音が止み、再び音が正常な不規則に戻ると。
青年も再び自らの手元へと視線を落とした。
カリカリ…
紙類の上をペンがインクを乗せてかろやかに走っていく。

時計の無い店内は、時を刻むことすら忘れている。











カロン カロン …







数分。
あるいは数十分。
ふいに違う音が店内に響いた。
それは店の入り口に備え付けられた来客を知らせるベルの音。
かろやかなそれは。
しかし、青年の耳には届かなかった。

青年の意識は今、すべて手元へと注がれており普段敏感な聴覚さえ、このときは閉鎖的であった。


カリカリカリ…

相変わらずペンの走る音。
軽快なリズム。


カツカツカツ…

木製の床板を靴底で鳴らし、徐々に大きくなる。
慎重な旋律。


カリカリ…カリ…

ペンが走る。
走って、迷い。止まって考え。
再び走る。


カツカツカツカツ



「セム」



青年の耳元で新たな音。
ペンの走る音に交錯する、深い音。

そこでようやく青年が顔をうっつらと上げた。
濃い茶色の…光によって赤にも見える瞳が、音の元を見上げる。
さら。
闇よりも黒い髪が頬を零れ落ちた。
先刻まで思索にふけっていたために引き結ばれた唇がゆっくりと開き。








「ああ、イラッシャイマセ」









笑みをかたどった。





















ここはROOTS 26



さて

本日は何をお求めでしょうか?















意味不明。
です。
ぶっちゃけ、リグセムを書こうと思いまして。
とりあえず背景描写から…と書き始めたものの、あきらかに作風が違ってしまったためにこれはこれで独立させました。
久しぶりのデラSSなんですが。
なんかこういう登場人物不特定の文章をたまに書きたくなります。
清涼飲料水みたいな感じで。

セムに呼びかけた人物はどうかお好きな方を入れていただけると。
髭でもアーマーでもAAAでも鷹でも。
もうなんでもOKで!

リリスは学校ということで。
<学校いってるのか?