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しと しと しと どんよりとした灰色の空 秋も終わり 冬になろうとしているこの時期に しと しと しと 冷たい雨が降り注ぐ パラパラと 色とりどりの傘が咲く すれ違う傘 触れ合う雨に濡れた肩 一切の感情を持たぬ 冷たい雫は しと しと しと 全てに等しく降り注ぐ Rain 「うあー、振ってきやがったよ…」 コンビニを出た時の第一声が、これであった。 行き付けのコンビニで、買い物を済ませてさあ帰ろうという、その瞬間だった。 別に、誰に向かって呟いたわけでもない。 しいていうならば、この突然の雨に向かってだろう。 しかし、彼の側にいた派手な格好の女は、チラリと視線を投げてよこした。 顔に刺さるような女の少し媚びるような視線にも、彼はなびかない。 相手をしている暇などないのだ。 「まいったな…」 右手にコンビニの袋を下げ、空いた左手を頭に持っていく。 そのまま、バリバリとかいた。 天を刺すような尖った髪が、手の動きに合わせて揺れる。 針がねのように固めたこのヘアスタイルを、剣山のようだと言ったのは誰だっただろうか。 しと しと しと 雨は強くはないものの、その独特の質量を持って降りつづける。 自分が間借りしているアパートから、このコンビニはそう遠くはない。 走っていけば5分とかからず行けるだろう。 常の自分ならそうしたかもしれない。 しかし。 彼は、自分の持っていたコンビニの袋を見る。 中には今日発売の、新作万頭。 ビニール製の袋だから、口を縛って行ってしまえば良いことだろうが。 彼にはそうはしたくなかった理由があった。 「ぜってえ…袋濡れたら冷めるよな……」 呟いた言葉が白い息となるくらいの寒さだ。 この上、雨になど濡れたら間違いなくさめてしまう。 別に多少冷めても良いなどとは間違っても彼の前では言わない方が良いだろう。 なにせ彼は、自他共に認めるほどの新しいもの好きなのだった。 「ちくしょう…きっとコンビニの呪いだな…」 責任転換もはなはだしい、そんな言葉を呟いて。 彼はコンビニ特有の高い傘を買う為に、1度出た店内に再び戻っていった。 「ありがとうございました〜」 コンビニの店員の声を背に、今度こそコンビニを出る。 買ったばかりの傘を、無造作に力任せに開く。 パンッ 軽い音を立てて、傘が開いた。 ぷうん、と。 ま新しい布の香りが鼻腔をくすぐる。 それにちょっとだけ気を良くし、彼は自室への道のりを急いだ。 雨が降り始めて数分。 流石に道のあちこちで傘が見られる。 しかし中にはカバンを頭の上に乗せて雨よけにしている人もいたし。 諦めたのかどうなのか、濡れる事を気にせず平然と歩いているものもいた。 人間、それぞれってことだろ。 そんなふうに感想を持ったが、別にそれがどうということはなかった。 ただ、そんなふうに雨に支配されている人を何とはなしに見ていたから。 常なら気付かない違和感に、気付いたのかもしれない。 しと しと しと 雨の中。 路地の隅、暗がりに影を見た。 なんだ? 犬か猫だろう。そう思った彼を、しかしもう1度動いたそれが裏切る。 もそりと。 酷くゆっくりとした動きで顔を上げたそれは。 まぎれもなく人間のものだった。 浮浪者かなんか…だろうか。 そう思ったことも、しだいにハッキリしてくる人影の輪郭で、否定された。 雨に煙る中、路地の崩れかけた灰色の壁の下に座りこんでいたのは。 「餓鬼じゃねえか!」 まだ青年とは言えない、少年の背丈を持った子供だった。 子供は彼に気付いたのか、少し気だるそうな眼差しをおくる。 大きな目が、彼を見止めて。 ふい、とずれた。 しと しと しと 雨はまだ降っている。 彼は、何故かその場を離れる事が出来ずにいた。 別に浮浪の餓鬼がいたっておかしくはない街だ。 そして、そんなのにいちいち相手をしてやるような優しい人間では、自分はなかったはず。 それなのに動けない。 少年から目が離せない。 一向に立ち去らない彼に、凝視されつづけた少年の方がしびれを切らしたようだった。 「そんなに珍しい?……俺に何の用なわけ?」 声がわりしたてなのか。少し低い。それでも彼よりは高い声が。 不思議と雨のなか響いた。 その声が、妙に耳に馴染んで。 彼は息を飲んでしまう。 黙ったままの彼に、少年は目を眇める。 ため息の気配まで伝わってきそうだ。 「それとも、あんたそーいう趣味の人?……悪いけどあんた俺の好みじゃないから」 他当たってくれる? 言外に伝わる意図。 しかし彼が取った行動は、少年に目を見開かせるのに十分だった。 「お前、家は?」 1歩踏み出されて、何を言われるのかと思って。 彼が伝えたのはそんな言葉で。 「は?あんたキョウイクイインカイとかなんとか?ばっかじゃねえの?んなこと聞いてどうすんのさ」 当然、少年の肩は感情の変化か少し上がって。 眉根を寄せた顔。その上に混じる、嫌悪。 「家はどうした?」 それでも彼は、変わらぬ口調で問い掛ける。 その様子に、今度こそ少年は大きくため息をついた。 「ないよ、家なんて!……これでいいだろ?さっさとどっか行ってくんない?」 怒鳴って。最後は切り捨てるような冷たい声だった。 それだけ言うと、少年は視線を落とし、もう彼の方を見ようとはしない。 そんな、かたくなな少年に。 彼は無言で近寄った。 足音に少年が顔を上げる頃には、彼の長い足により二人の間にあった距離は殆ど皆無となって。 雨の中で見上げた瞳と、見下ろす瞳が絡み合う。 「なんだよ…」 猫が毛を逆立てて威嚇するような、そんな雰囲気が少年の回りに出来あがる。 そんなもの、全てを無視し。 彼は傘を持っていた手にコンビニの袋を持ちかえると、空いた手を差し伸べた。 「じゃ、俺んちにくるか」 「……はあ!?」 少年が目を丸くして、おもわずマヌケにも聞き返してしまった時には。 すでに彼の手の中に、少年の手が握りこまれていた。 そのまま、勢い良く引っ張り上げる。 …軽い。 筋張った細い手から引き上げられた少年の体は、彼が思っていたよりもずっと軽く細かった。 良く見れば、体のあちこちにいつ出来たものか分からないような傷。 一体この少年は、いままでどんな生活をしてきたのか。 「ちょっと…痛い!」 ふいに怒鳴られて、彼は少年を見た。 どうやら無意識に強く握りすぎていたらしい、少年は手首の痛みを訴えていた。 「あんた…滅茶苦茶強引じゃねえ…?これから即、ベットインって寸法?」 キツイ視線を持って、嘲笑される。 彼は少年が苦しくないように、少し手の力を抜いてやりながら。 雨に濡れないよう傘の下に引き入れて、笑いかける。 「俺はお前の好みじゃないんだろ?……こんな雨だから、外にはいないほうが良いだろうと思っただけだよ」 くったくのない。 彼の笑顔に。 「なんの関係もない赤の他人を、雨だからって理由で泊めるわけ?」 思わず身構えてしまい、試すように問い返せば。 「俺はケイナ。お前は?」 突然、自己紹介などされて面を食らってしまう。 再び口をつぐんでしまった少年に、彼=ケイナはもう1度。 「お前の名前、別に本名でなくてもかまわないけど。何て呼べば良い?」 そう言った顔が、ひどく人好きのする笑顔だったから。 「……ARMY…ARMYでいいよ」 おもわず答えてしまって。 「よし。俺はケイナ。お前はARMY。ホラ、もう他人じゃないいぜ?」 そう交互にお互いを指差して、笑う。 繋がれたままの手から、暖かい熱が染み出して。 「俺んち、すぐそこだから」 行っても良いか。と思ってしまった。 しと しと しと 歩き出して少し。 ふと、ケイナはあることを思い出した。 ……やべ。万頭一個しかないよ…… ちらりと隣りに視線を送れば、ARMYは照れたような、拗ねたような顔で。 ……半分ずつにすればいいか。 袋の中の万頭は、随分冷たくなっていたのだけれど…… しと しと しと 雨が降る しと しと しと 冬は もうすぐそこまで来ていた…… 了 |
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みなさんこーんばーんわー(サイレン調に) なんですか?今回は士朗受じゃないんですか? イエスイエース! これはね?ケ・ア・ミ★ ケイナ&ARMYでございますYO〜 そう。『&』なんでございますよ〜!!!まだ。 え?まだ? ていうか続くんですか?ムスミさん。 続きませ−ん★ なんていうか、とあるところに影響されて書いてみただけです★ 最近肉白とかサイしろに行き詰まってたし。 良い感じに息抜きになりましたYO! このSSは最近チャットでお世話になりっぱなしのハルユキさんに! 無礼にも、さ・さ・げ・ま・す・★ こんな感じでいかかっすかね!ケアミ!! あたくしのケアミなんてこんなもんですよ〜駄目駄目です。 ケイナ兄さん大好きだ〜vvv 良いお兄さん大好きだ〜vvv ていうか私には珍しく、2DXって同時に複数のカップリングが好きになれそうです。 今までは一本決めだったんですけど。 でも本命は士朗★どこまでも愛してる! ぼやきはじめたのでこのあたりで。 どうですか?ケアミ。感想、心よりお待ちしてます〜(苦笑) |