全テヲ包ム




全テヲ暴ク






ソレハ唯一絶対ノ 存在













RISLIM











カンッ

乾いた音がやけに響く。
宙に蹴り上げられた空き缶は、銀の放物線を描いて飛んだ。
人気の無い路地。電柱の明かりが、ジジジ…と音を立てて明滅する。

コンッ コン カロカロカロ……

ほんの僅か、大地と離れていたそれが、再び落ちる。
2度跳ねて、僅かな傾斜をたどり転がって行く。
転がって。
視界から消えた。

ジジジ…

相変わらず電灯は明滅を繰り返す。
周囲は闇。
消えては闇が。ついては光が。
交互に路地を支配する。非現実的な色。
モノトーンの世界と思わせる静寂さ。その中で。

やはりその世界に彩を置く彼。

明滅に合わせ輝き沈む、刃物の色を宿した髪。
無造作に纏め上げたそれは、風も無いのにわずかに揺れる。
そう見えるのは明滅による錯覚だと、分かってはいるが動揺は押さえられない。
チラチラと色を変え、影を変え。
その銀糸が流れ添う肩と背中。
それが存外に薄くもろいと知ったのはごく最近のことで。

それを知っているのはごく一部の人間。
その一部に自身が含まれていることが酷く嬉しい。
嬉しくて、嫉ましい。
己以外の含まれている者全てを排除してしまいたくなる。
鋭い切っ先にも似たその彩を、繋げて閉じ込めて、自分だけのモノにしてしまいたい。

自分も大概に狂っているのだと。
そう感じる、それすらも彼への歪んだ心。

閉じ込めたい。

縛りつけたい。




ソウシテシマオウカ?




ジャリ…

足が、わずかに緊張を持って踏み出す。
足もとの砂が靴底とすれて、その音が耳に届くほどに静か。

右手がゆっくりと持ちあがる。
持ちあがって、目の高さになる。
そのままもう1歩。

ジャリ…

伸ばした指先に、冷たい感触。
シャラリと銀糸が絡みつく。
透き通るようなソレは、しかし思いの他の硬度でそれ以上の進入を拒む。
それでも。
そんな抵抗と思えることは、自身の無意識下においての罪悪感と分かっていても。



触れたい。


拒む銀糸は己の理性。
進む指先は己の狂気。





銀よ。どう有れ。














ジジジ……ジ



ふいに。
本当に突然に。
明滅していた明かりが消失する。
瞬間。闇に飲まれた。

闇よ狂気を隠すヴェールと或。


深淵の闇の中ですら、銀糸は銀であり。
己は己であり、彼は彼である。








しかし。
影すらも闇に消えるこの空間に。













光刺す。




金の 銀の 光刺す。





「見ろよ…月だ」

彼が口にする。
シャラリと銀糸が鳴いて、彼の瞳は天を見る。
指を撫でた銀の軌跡。
それにつられて視線を空に。












満月。












「さっきまで、曇ってたのにな」

いつのまに解き放たれたのか。銀の鏡。
その周囲には今だに残る雲の跡。
それすら引き裂いて。それすら包み込んで。

輝く。銀光。金光。白光。




貫かれるようで。
視線を落す。
落とした先に、黒い影。


陽光の下でなく、この裁かれるような光りの中でいっそう黒々と。
長い影。
伸びて絡み付く心。
ただ独り。お前の為に。











「綺麗だな…」
















「……ああ」















伸びた指先は握り締めて。
拳はただただ空を切る。










音も無く。色も無く。







ただ輝いて在る 銀の月。













その切り裂くような光よ。包み込むような光よ。










全てを包め。全てを隠せ。






狂気は銀と共に在り。
心は狂気と共にあり。







銀は この手の中に無くとも。




空の銀より手に触れる銀の暖かさ。














「なあ……」








「ん……」















全テヲ包ム



全テヲ暴ク










銀ノ 光






隠セ
















久し振りのSSです。
ていうかこれ何?という心でいっぱいです。
満月綺麗でした。
そんな気持ちSS。てことじゃ駄目かしら?<駄目。
キャラの名前すら出てない。ていうか片方は分かるとしてももう片方は誰よ。
多分NIX。もしかしたら別次元のサイレン。大穴でエレキ。
なんだかポップンでも同じようなネタで書いている気がする……月がきれいだったんです。
今は月といえばRISLIMです。以上。
消化不良。内容無し。修業の旅に出ます。探さないで下さい(笑)