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今日もまた 一日が過ぎていくね a pleasant day くつくつお鍋の煮える音。 カタカタキーボード鳴っている。 二人で探した小さな部屋に。 二人で飾った星がゆらゆら。 からっぽのお風呂はご愛嬌。水道代がもったいないのでつけてません。 でも買っちゃったの。 二人のお気に入り。 「ねータフィ、終わったー?」 扉一つ向こうのキッチンから、明るい声。 そしてちょこりと覗かせる、金髪に青い瞳の女の子。 白いエプロンに、片手にはおたまを持ったまま。 「まだー!終わんないよっ、全然」 返答したのは部屋の隅。 リンゴ色のパソコンの前に座った女の子。 茶髪の頭を抱えて、赤い目をぎゅーっと画面にむけています。 進まない、パソコン画面。 スリッパの近づく音。 「…さっきと変んないよ」 「! これでも少しは進んだのー!」 何気なく覗き込んで。 何気ない一言。 ぷん!と頬を膨らませるタフィ。 わかってないんだから、タルトは!とぼやいてみたり。 だってパソコン難しいもん…なんてタルトの呟き。 二人の顔は、そっくり。 だって双子だもん。 「わたしね、もう少しだよー♪」 にっこりと笑うタルトは、キッチンでマーマレードジャムを作っていたところ。 おたまに透明な飴色の液体が残っているのはそのせい。 タフィがつまらなそうに視線を向けると、タルトの鼻の頭に目がいった。 「…タルト…鼻の上にジャムついてる」 指先でちょん、とつつかれて。 ぽかんとした顔。開けっ放しの口。うーん、間抜け。 「え?うそ!なんでー?」 「なんでもなにも…ついてるよ、ほら」 そういって差し出された指先には、綺麗なピンク色のネイル。 「あ。タフィ、爪の色変えたんだ、綺麗ね」 「…見てほしいのはそこじゃないんだけど…」 大きなため息。よく見れば、飴色のジャムがちょっぴり。 ほんとうにちょっぴりついている。 さっきタルトの鼻先を掠めた指ですから、ついていて当然。 「あーー…」 「ほらね」 ようやく鼻の頭のジャムの存在を認めたのか、タルトはあわてて袖口で拭こうとする。 それは目の届くところにティッシュがなかったせいだし。 タルトはちょっと頭が回るのが遅いから。 それに気づいたタフィ。 「袖が汚れちゃうよ」 というが早いか。 ぺろり。 目を丸くしたタルトのすぐ正面に、タフィの悪戯っぽい顔。 笑われて。 「まだ苦いよ?失敗?」 「む!失敗じゃないもん!!」 膨れた顔は、風船みたいで。 タフィは思わず笑ってしまう。 勿論、タルトの顔を笑うなんて、自分を笑っているようなものなんだけど… 可笑しい! 「ひどい!タフィそんなに笑う事ないじゃん! もう、パンケーキタフィの分は焼いてあげないよっ!」 ぷりぷり怒る。 それが余計に笑えるんだけど。 「ごめんごめん。タルトのパンケーキ好きだから、そんなこと言わないで〜」 「本当?」 「本当の本当!」 パティシエ志望のタルトの作るパンケーキはもう絶品だから。 それが大好きなタフィは謝りに謝った。 根が素直なタルトはすぐに機嫌を直し、にっこり笑うと。 「じゃあすぐ作ってくるね! できたてのジャムと一緒に!」 そのままパタパタとキッチンへ戻っていく。 エプロンの紐がほどけそうだなぁ(タルトはチョウチョ結びが下手なの!)なんて、その背中を見送りながら思って。 タフィもやっぱりパソコンに向き直った。 画面はいつのまにかスクリーンセイバーのチープな蝶が舞っている。 くるくる舞い踊るそれは、この前二人で行った遊園地のメリーゴーランドみたい。 うっかりそれを見つめてしまって。 『焦げちゃうーーーーー!』 キッチンから聞こえた切ない叫び声に、我に帰る。 どうか、真っ黒なススのパンケーキではありませんように。 タルトの腕を信用しないわけじゃないけれど、見えない神様に祈りながら。 マウスの1クリックで、チョウチョは消えた。 ああ、嫌な画面と早くサヨナラしたいなぁ… ***** 端の焦げたパンケーキに、ほんの少し香ばしいマーマレードのジャム。 ごまかしみたいにたっぷりと塗られた白い白いクリームの山。 お祝いみたいに蝋燭をつけてみたけど。 垂れて落ちた蝋はちょっとイケテナイ。 でも美味しい!! 「うーん、ハラショ!」 「え?はらしょ?」 思わずもらした一言に、タルトは不思議そうな顔。 「最高ってこと!」 「わーい!」 二人で一つのパンケーキ。 10段重ねのパンケーキケーキ! ナイフとフォークはあっという間にクリームの山を胃袋に届けてしまったので。 これでごちそうさま。 「明日はタルト講義あるの?」 「うん、だから送っていってほしいなー」 「言うと思った!」 「えへへ…あとね、あのお店の前通ってね?」 「…なんだっけ、ルーツ?」 「ROOTS26!」 「まだあそこの人追っかけてるの?」 「おっかけじゃないよ、見てるの!いいでしょーーー!」 「(…止めたほうが良いと思うけど)…いいよ」 最近のタルトの気になりどころは、原宿のお店の店長さん。 竹ぼうきが似合うからいいんだって。わけわかんない。 でもキラキラしてるタルトは、見ていて楽しいから。 連れて行ってあげるよ! 「でも代わりにもう一回パンケーキ焼いてね、今日は貫徹だから」 「うん、いいよ!でも無理しないでね?」 夜更かしはメッと言うタルト。 ちょっとぐらいいいのにと思うタフィ。 双子なのに、気持ちは同じじゃないんだよ。 だから楽しい。 棚に詰まれたジャムのビン。 壁には風船の写真(よく撮れた!)。 チョウチョのモビールはおそろいで。 今日もまた 一日が過ぎていくね 今日もまた 一日が楽しいね だから 明日も 明後日も きっと楽しいに違いない! end |
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タルタヒ強化週間につき。 初・タルタヒSSです。 かわいい女の子大好き!かわいいもの大好き! そんな気持ちで。 タルトがボケで、タフィが突っ込みだというので思い切りそのようにしてみたんですが。 なんだか性格が…? これも一つの世界として受け取っていただけると嬉しいなあv そして実は、こっそり『タルト⇒セム』押しで。(え) |