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最初は慇懃無礼な奴 次にあったときは友達気取りで 気づいたら悪友だった その先は まだ知りえない 笑う 「よう!新作できたんだって?」 「帰れ、万年金欠病が移る」 つれない一言というなかれ。 付け入る隙を与える間もなく心地よく撃退。 それにはこの一言に限るのだ。 勿論視線などくれてやる義理は無いので、以前目は手元のデザイン画を追っている。 それでも顔色一つ変えない相手。 それどころかニヤリと意地悪くゆがむ口元。 「あいかわらず、つれないな」 それがたまんねえけど。 一言多い。 それが意識してのものなのか、それともそれ以外なのか。 唯一つわかること。 コイツは人の話を聞かない。 「俺は帰れといった。ここは俺の店だ。 貴様に足を踏み入れる権利を譲渡した記憶は無いはずだか」 眉根を吊り上げる。 これももう決まりきった反応。 まるで長年の癖のように、板について離れなくなってしまった。 妹にそれを指摘されたのは、ついこの間だったはず。 「店は万人に平等であるべきだぜ」 含みを持って笑う。 それは本当に可笑しそうに。 しかしその笑いが自分に伝染することは一度たりとも無かった。 感情は見事に反比例するものだ。 「俺の店では俺が法律だ」 「おー独裁者。怖いねぇ」 ヒューっとひとつ、口笛。 耳に障る音だ。 「俺は口笛は嫌いだ」 寄せた眉根が更にきつくなっていく。 本当に口笛は嫌い。 口笛だけでなく、軽薄な音・雑多な音がこの一度壊れかけた耳にはたまらない雑音。 時に痛みすら伴う。 「そいつは悪かったな」 謝罪の言葉は酷く軽く。 しかし、ふざけた印象は言葉尻だけであった。 そこでようやく、落としていた視線を上げてやる事にする。 それぐらいは緩めてやってもいいだろう。 そう思って顔を上げた矢先。 至近距離の何か。 あまりにも近く、逆に像を結ばない。 ピントが合わずぼやけた視界にチラチラ揺れる赤は面白そうに揺れて。 「な…ぅんっ!」 細胞は全て、唇へと集中した。 意識がかき乱される。 理性をはがされる。 よりによってやるか、突然。 半ば錯乱した頭に、厚ぼったくて濡れて乾いて。 あまりにも勝手すぎる動き。 後ろ髪にかかるかすかな痛み。 いつのまにか引き掴まれている。 そんなことを赦した云われはないから。 ガツ! 手にしていたデザインナイフを突き立てた。 愛用の、アイボリーのテーブルに。 「あっぶねぇー」 濡れたそれが、漏らす言葉。 そして視線が語る惨状。 直角に突き刺さったままのナイフ。 ナイフを持った自分の手。 その僅か横に置かれたそいつの手。 「外したか」 運のいい奴。 それは本音。 だからこそ、目の前のそいつは笑う。 赤からオレンジへと色を変える瞳で。 「べろチューの代償が利き手じゃ割にあわねえだろ」 「いっそ足りん」 首をよこせ。 辛らつに吐き捨てれば、それこそ狂人が見せるような笑みで。 「俺がいつか死ぬ時にな」 とりあえず予約は入れておいてくれる、そんなつもりなんだろうか。 やっぱり笑っている。 「じゃあ今日が貴様の命日だな、ニクス」 冷やりと薄い刃を目前に掲げる。 それに臆する事も無く、まるで綿に触れるような手付きで降ろして。 「残念。俺は死ぬ時は腹上死って決めてるんでな」 「最低だな、人間のクズだ」 温かみも無い言葉に、何故それが賞賛なのか。 最高の褒め言葉だぜと笑う。 「なんならお前の腹の上でもいいぜ、セム」 筋ばった指が頬を降りていくのを叩き落とす。 「貴様を内(なか)に入れるつもりはない」 「そりゃ残念」 別段残念ぶる節も無く。 それに何を思うわけも無く。 非生産的な会話。 とってつけたような関係。 ただ笑う。 喜怒哀楽でない笑いをする。 嘲笑う。 お前を笑う。 俺を笑う。 二人を笑う。 全てを笑う。 こんなにも こんなにも 可笑しい おかしい オカシイ 侵しい まるで 恋のようだった 了 |
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…ニクセム??? ここのところ、私はオカシイようです。 原稿原稿て考えてて、逆に頭が飽和状態になっているのやもしれん。 ここまでラブとか愛とかに遠い二人も珍しいね。へへ。 むしろうちの書くセムはことごとく、甘いという言葉(雰囲気)に遠い存在のようです。 そんなヤツをUKEにしようというんだから、べたでもあまでもありゃしないよ。 とどめに文章自体意味不明だよ… セブンセンシズにでも目覚めないと意味が通じ無そうです。 みなかった事にして、帰ってくださることを祈ります。 |