愛しているといえない
きみに

ほんとうは言葉の雨を降らせたいくらいなのに

どうしてもつげられない




せつないね







「みなみ、こっちむいて」

「むいてるだろ?」

「うん、そうだけどさ」

「へんなやつ」

「それはひどいんじゃない?」

「はいはい」

そう言って笑うきみの笑顔に、どれだけ俺が癒されているかなんて。
どれだけ安心しているかなんて。
知らないだろう。
教えるつもりもないけれど。

−−せつないね


「明日は晴れるかな」

「ここんところ天気が不安定だからな、なんともいえねー」

「雨だといいのに」

「さてはマラソンがイヤなんだな?」

「ただ走るだけっていうのは面倒じゃない?」

「俺は好きだけどな」


どうして違うクラスの時間割を知っているのか。
聞きたいけど、聞いたところで首を傾げられる事はわかっていたし。
(それを知っていることは君にとって当たり前のこと)

−−せつないね



「コンビニ、よっていこうか」

「そうだな」


俺の提案に頷きまた笑う。
心の中がほこっとして、それで少し痛いんだ。
痛いけど、でもこの痛みには消えて欲しくないんだ。
ずっと俺の中に在って欲しいんだ。

−−せつないね


「あーしたあーめにしておくれー!」

「それおかしいだろうが」


両手を広げて空に向けて。
ぽっかり浮いた黄色の月に歌を歌う。
君の影がすぅっと伸びて、俺の足下に重なるよ。
踏んでてもいい?
ずっと。
いつでも。

−−せつないね




愛しているといえない
きみに


だって
この距離がいとおしくなってしまったから

だからずっと
離れないでもいいかなあ



−−せつないね

−−せつないね



明日はタンスの奥にしまっておいたマフラーを出そう。





おわり




 
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千南は基本的にせつないと思います。
なんとなく書き始めて、なんとなく形にならないまま終わったもの。