〜T−BOYの自作小説集〜 筆 T−BOY 

         封印の遺跡の奥で   


ザシュ ザシュ!

「ラフォイエ!」

ドカーン!

「グオーン!」

広くてうす暗い部屋に戦いの音が響き渡る。そこには二人の人影と無数のエネミーの影が

確認できる。一人は青い服に金髪のヒューマー、もう一人は緑の服に金髪でおおきなボン

ボンが一個ついた帽子をかぶっているフォニュエールだ。二人は絶妙なコンビネーション

でエネミーを次々と葬り去っていた。

「T!足止め頼む!」

「OKだぉ!ん〜〜、、ラバータ!」

カチンカチン!

Tと呼ばれたフォニュエールがテクニックを使う。辺りに凍てつく冷気がたちこめた瞬間、次

々とエネミーは氷ついていった。

「タークス、今だぉ!」

「よし!タイミングバッチリだ!行くぜー!」

そう言うとタークスと呼ばれたヒューマーは手にしたフロウウェンの大剣を軽々と振り回し

複数のエネミーを両断していった。そしてこの部屋の最後の一匹と思われるエネミーに迫

った。

「こいつで、、、、終わりだ!」

ザシュ!

タークスはその大剣でディメニアンと呼ばれるエネミーを真っ二つに切り裂いた。生物らし

からぬ奇妙な断末魔を上げてディメニアンは消滅した。

「ふう、とりあえずこの部屋にはもう敵はいないみたいだな。T、ちょっと回復してくれよ。」

「うん、いいぉ。ん〜、、レスタ!、、、はい、これで体力は回復したぉ。」

「サンキュー、やっぱ俺のレスタより効くよ。さすがフォースだな。うんうん。」

「そんなこと言ってる暇ないでしょ〜。速く先に進まないと隊長に先をこされちゃうぉ〜。隊

長より先に調査を終わらせて隊長を見返してやるんじゃなかったの?」

「おう!そうだったそうだった。じゃ、この調子でガンガン行くぜー!」

「了解だぉ。」

 

この二人は「T−scorpion」の隊員のT−BOY ver2ことタークス=ランフォードと

T−magician3ことチェリー=ハートロフ。先日受けた任務を遂行するために最近その存

在が明らかになった「遺跡エリア」に来ていたのだ。隊長からの説明によるとこのエリアは

現在確認されている森、洞窟、坑道エリアとは根本的に異なった点があるらしい。そう、こ

のエリアはパイオニア1の人間が作ったり手を加えたのではないらしいのだ。他のエリアと

は比べ物にならないくらい強力なエネミーが出現するために、まるで調査が進まず、まだ

ほとんどの部分が謎に包まれていて研究者達もお手上げらしい。何度か送ったハンタ

ーズの調査隊はほぼ全滅。生き残ったのはあまりの恐怖に逃げ出してきた者のごく一部

だけである。たとえ逃げ出したとしても恐ろしいトラップや戦意喪失した者にまで容赦無く

襲いかかるエネミーが待っている。そして勇敢に戦った者はみな例外無く殉職したのだ。

そんな攻略に困難を極めるエリアの調査依頼が「T-scorpion」にも舞い込んできたのだ。

隊長はその任務を承諾しタークスたちを連れて「遺跡エリア」に向かった。目的は遺跡の

奥から送られてくるというエネルギー反応の調査である。

 

入り口付近の分かれ道で隊長と二手に分かれたタークスとTは隊長より先に任務を達成し

隊長を驚かせよう、という目標をたてて遺跡の中を進んでいった。現在「遺跡エリア2」に

入ったばかりの所である。

「よっし!このエリアもざくざくいくぜ!」

「あいかわらずタークスは疲れを知らないね〜。」

「うるさいうるさい。元気がとりえってことはいいことじゃないか。」

「元気だけが、じゃないの?」

「あ!てめ〜、言ったな〜。」

「えへへ。」

ザワザワ、、、、、、

のんきに雑談をしている二人の周りの空気が突然変わった。重く張り詰めたような威圧

感。ここのエネミーが現れる前兆のような物である。そして空気中の邪気のような物が一

点に集まり形を成す。

「ワッ!」

謎の奇声を上げてエネミーが現れた。ラ・ディメニアンが三体だ。

「来た来た!T、援護を頼むぜ!」

「うん、任せてだぉ!ん〜、、シフタ!」

Tのテクニックによりタークスの体が赤く光り力がみなぎる。

「サンキュー。じゃ、いっちょ行くぜー!」

タークスは大剣を握り締めて三体のエネミーに向かって突進した。まず勢いに任せて一体

に剣を振り下ろした。

ザシュ!

「ウオォォーーーン!」

あっけなく一体を撃破した。そこへすきを狙って他のエネミーが攻撃を仕掛ける。刀のよう

に鋭い手がタークスを襲う。

ガキン!

タークスはなんとか大剣でガードして攻撃を押さえた。しかしもう一体のエネミーに後ろを

取られた。後ろから攻撃を浴びせるエネミー。その攻撃はタークスの背中を浅く切り裂い

た。

ブシュ!

「ぐあああ!!うぐぐぐ、、、。」

思わずひるんだタークスだが少しでも力を抜けば前にいるエネミーの攻撃に押しきられて

しまう。すかさず後ろのエネミーが追撃をしようと手を振り上げた。

「ギバータ!」

するとそこへ冷気の風が吹き抜けて後ろにいたエネミーの振り上げた手を凍らせた。突然

動かなくなった腕に気付いたエネミーがもう片方の手でタークスを攻撃しようとした。しかし

それも無駄なことだった。手が凍りついたすぐあとにはエネミーの体には光が集まってい

た。

「ん〜〜〜、、、、グランツッ!!」

まばゆい光に包まれてタークスの後ろにいたエネミーは消滅した。光のテクニック・グラン

ツだ。

「惨めに死ぬがいいだぉ。」

「よし!ナイスだ、T!って相変わらず怖いな、、、」

「人のことはいいからはやく自分の目の前の敵を殺っちゃうだぉ!」

「そうだった。いつまでも腕を受けとめてるのはいいかげんに飽きたぜ!」

上から振り下ろされた腕を大剣で押さえていたタークスは、がら空きのエネミーの腹を思い

きり蹴り飛ばした。吹っ飛ぶエネミー。それを追うかのようにタークスはジャンプして大剣を

下に向けて落下した。

「とどめだぜ!」

タークスはエネミーの上に着地して落下の勢いで大剣を突き刺した。息絶えて消滅するエ

ネミー。

「ふぅ、ざまあ見ろってんだ。」

「タークス!油断しちゃだめだぉ!まだ来るぉ!」

Tがそう言うと再び辺りに邪気が集まった。そして形となって現れる。今度はデルゼイバー

と呼ばれるエネミーだ。すばやい動きと鉄壁の防御、そして鋭い斬撃で多くのハンターズを

亡き者に変えた強敵エネミーである。

「おらおら〜!誰だろうと関係ねぇ!往生しろやー!」

勢いに任せて切りこむタークス。しかしデルセイバーの盾はあらゆる攻撃を受け流してしま

う。タークスの攻撃も例外ではない。振り下ろした大剣を横に流されてなにもない地面に大

剣が突き刺さる。そしてそのスキを狙って右手の剣で素早い三連の斬撃を繰り出してき

た。

「タークス!あぶない!」

ザシュ ザシュ!

「ぐあああ!!」

不意をつかれたタークスは二発くらってしまった。鎧を突き破られ血が吹き出る。傷は浅く

はない。タークスは思わず地面にひざをついた。

「うぐぅ、、、こいつはちょっとやっかい、、、だぜ、、、。T、テクニックで頼む!」

「わかってるぉ!ん〜〜〜、、ギゾンデ!」

Tがテクニックを使うと手から電気が走る。しかしその先にはデルセイバーの姿はもういな

かった。

「あれ!?どこにいったの!?」

「T!上だ!」

弱ったタークスはいつでも殺れるというつもりか、デルセイバーは得意の長距離ジャンプで

一気にTに接近した。そのジャンプでテクニックをかわし、Tの視界から一瞬消えたのであ

る。Tがデルセイバーに気付いた時には、もうジャンプの勢いにのって斬りかかるモーショ

ンに入っていた。もうかわす時間はない。急いでシールドを構えるT。

バキン!  ズザザザザ  ガン!

「はうぅ!」

Tは直接の斬撃は防いだが、そのあまりの衝撃に壁まで吹き飛ばされてしまった。壁に頭

をぶつけたらしく頭から血が流れている。そしてガードして攻撃を受けた左手も赤くはれて

いる。折れてはいないがかなりの激痛が走る。

「T!大丈夫か!?」

「えへへ、、、ちょっと油断しちゃったぉ、、。私は、、、大丈夫だぉ、、、。」

「全然大丈夫そうじゃねぇじゃねーか!待ってろ!今助ける!」

タークスはTに迫るデルセイバーを止めようと深手を負った体を立ちあがらせた。Tはなん

とかデルセイバーの攻撃に備えようとして必死に立ちあがろうとしている。が、やはり先程

の攻撃がかなり効いているらしく立つことができない。そんなTに確実にデルセイバーが迫

る。

「やめろー!この野郎ー!!」

デルセイバーに向かって走るタークス。それに気付いたデルセイバーがタークスの方に向

き直った。しかしまだ7、8メートルほど距離がある。デルセイバーはタークスを無視してT

にとどめを刺すことにしたようだ。倒れて何も出来ないTに向かって躊躇無く剣を構えるデ

ルセイバー。自分が助からないことを悟ったTは言った。

「タークス、、ごめんね。でもタークスのせいじゃないぉ、、、。」

「ふざけんな!誰が死なせるかってんだ!俺をなめんじゃねぇ!俺は次期隊長だぜ!!」

タークスはTのピンチを目の前にして、傷ついた体では考えられないほどの加速をした。そ

してTに向かって振り下ろされたデルセイバーの右手の付け根を狙って携帯していたグラ

ディウスをフォトンの刃を発生させると同時に振った。

ブン! ザシュ!

まさに間一髪。Tの首にデルセイバーの剣が触れる直前、わずかに速くタークスの剣がデ

ルセイバーの右手を切り落とした。遠くに吹っ飛んでいくデルセイバーの右手。しかしデル

セイバーにはまだ左手が残っている。右手を切り離された怒りでデルセイバーは完全にタ

ーゲットをタークスにきりかえた様だ。すぐ後ろに倒れているTなどもう眼中にない。デルセ

イバーがその左手でタークスを殴ろうとするよりわずか速くにタークスはデルセイバーに向

かってグラディウスを振り下ろしていた。急いでガードにきりかえるデルセイバー。しかしも

う勝負はついていた。ガードするために頭の上にかざした左手はもう使い物にならなくなっ

ていた。すでに氷付けになっていたのである。デルセイバーが右手を切られてTから注意

をそらした時にTがすでにテクニックで凍らせていたのだ。デルセイバーがその左手に気

付くのはもはや遅すぎた。渾身の力をこめて振りかぶったタークスの斬撃で凍った左手ご

と両断された。二つに切り裂かれ消滅するデルセイバー。辺りにエネミーの気配が消え

た。

「はぁはぁ、、T,ナイスサポート。フォースの鏡だぜ、、、うぐぅ!」

タークスが傷を押さえてひざをついた。

「タークス、、その傷でよくあんなに動けたね、、、。待ってて、すぐ治すぉ、、うぅ、、、。」

タークスをテクニックで治そうと立ちあがったTもすぐに足がもつれて倒れてしまった。

「おいおい、おまえの傷だって軽くないんだぞ?ほれ、トリメイトでも食ってちょっと休め。俺

の分があるから。」

「うん、、ありがとぉ、、、。」

傷ついた体をトリメイトで癒す二人。しばらくそこで休憩することにした。しかし一分も経た

ないうちに辺りに鳥肌が立つほどの重い空気がたちこめた。今までのものとは桁が違う。

「おい、T!動けるか?なんかとんでもないのが来るぞ!」

「うん、大丈夫だぉ。もう動けるぉ。」

二人の傷は完全ではないが治っていた。二人は戦闘態勢になった。すると10メートルほ

ど先からなにか大きな物が現れた。姿は馬に似ているが、本来の馬の首の部分には人間

の上半身のような体がついている。右手にはタークスの大剣より一回りおおきな剣がつい

ていた。それは後にカオスブリンガーと名づけられるエネミーである。

「おいおい、あんなの報告書にはなかったぞ?新種か?」

「うん、まだ調査がすすんでないここに誰も見たことが無いエネミーがいても不思議じゃな

いぉ。見た人もいるかもしれないけど生きて帰れなかったんだぉ。」

「つまりめちゃめちゃ強いってことか、、、、。上等だ!って、うわ!突っ込んできたぞ!か

わせ、T!」

ズダダダダダダ!

さすが馬のような格好をしているだけあって走って突進をしてきた。かなりの速さだったが

幸い距離が遠かったのでなんとかかわせた。しかしカオスブリンガーはすぐに向きを変え

て再び突進をしてきた。標的はタークスである。

「なに!?はやすぎる、、、ぐあああ!!」

一回目をかわして態勢が崩れた所を狙われて、タークスは突進をかわしきれなかった。な

んとか身をよじって直撃は防いだので軽く吹き飛んだ程度で傷はたいした事は無い。しか

しすかさずカオスブリンガーはタークスに向かって歩き始めた。今度は突進ではない様だ。

「タークス!そっちに行ったぉ!気をつけて!」

「応!わかってらぁ!」

慌てて立ちあがったタークスは迎え撃つ態勢をとった。タークスに接近したカオスブリンガ

ーは右手についた巨大な剣で斬りかかってきた。それは巨大な剣からは想像もつかない

ような速さの斬撃だった。

ブン!! ガキン!!

「なんちゅう速さだ、こいつ、、。」

なんとか大剣で受けとめたタークスはカオスブリンガーとつばぜり合いとしていた。お互い

相手の剣を全力で押し合っている。しかし圧倒的に体の大きなカオスブリンガーの方が力

が強く有利なのは明かである。すぐにタークスは力で押しきられて吹っ飛ばされた。

「うあああ!」

吹っ飛んだタークスはなんとか態勢を整えて着地。しかし再びすぐ目の前にカオスブリンガ

ーが立ちはだかる。すかさずTがテクニックで援護を試みる。

「タークス!そんなやつの攻撃をまともに受けたらただじゃ済まないぉ!長引いたら不利だ

ぉ!今そいつの防御力を下げるから一撃で仕留めて!」

「わかった!頼む!」

「ん〜、、、ザルア!」

Tがテクニックを使うとカオスブリンガーの体が一瞬青い光に包まれた。そしてカオスブリン

ガーの防御力が下がった。

「今だぉ!」

「応!」

Tの援護を確認し、タークスは勝負に出た。カオスブリンガーの斬撃は強力な上に速い。

何度もしのげる物ではない。もう一度くらったら先程のような軽いダメージでは済まないの

は確実である。これが最後のチャンスだ。そしてカオスブリンガーがタークスに向かって剣

を振りかざした。

ブン!

「そこだ!」

タークスは素早い動きでカオスブリンガーの左側にヘッドスライディングのように飛んだ。

斬撃の死角をついたのである。彼の髪の毛の先が剣で少し切られたがタークスは一撃を

かわす賭けに成功した。すぐさま向き直りグラディウスですきのできたカオスブリンガーの

左前足を切りつけた。足を傷つけられカオスブリンガーは前に軽く倒れて態勢を崩した。

チャンスである。

「これで終わりだ!くたばれー!」

タークスは素早く持ち替えた大剣を思いきり振り下ろした。

ザクッ!

彼の剣はカオスブリンガーの胴体に深く食い込み切り裂いた。致命傷間違えは無い。しか

し彼は忘れていた。遺跡の敵は意思無き兵隊という研究者の推論を。たとえ命に関わる

重傷を負おうがまだ動ける限りそれは戦い続けるのだ。当然カオスブリンガーも例外では

ない。勝利の確信で一瞬の油断が生まれたタークスを左手でたたきつけてふっ飛ばした。

「ぐああ!?こいつ、、まだ動くのかよ!胴体半分斬れてんだぜ!?」

たしかにタークスの言う通りカオスブリンガーは先程の大剣の一撃で胴体を半分くらい切

断されている。しかも剣は刺さったままである。しかしまだ動いている。他のエリアのエネミ

ーでは考えられないことである。それゆえの油断だった。

「タークス!こいつはわたしのメギドでやっつけるからなんとか時間を稼いで!」

「応!頼むぞ!」

カオスブリンガーのしぶとさを見たTは一撃必殺の死のテクニック・メギドに賭けることにし

た。あれならばエネミーがいくらしぶとくても直撃すれば即死である。ただしメギドを使用す

るには多量の精神力を使用するために術者はテクニックのエネルギーをためてから放つ

まで動けなくなってしまうという弱点がある。そのすきをタークスがなんとかしようというの

だ。Tが呪文の演唱に入る。そしてタークスはカオスブリンガーの注意を引くためにグラデ

ィウスを持って突っ込んだ。しかしタークスがカオスブリンガーに斬りかかろうとすると、突

然深い傷を負ったカオスブリンガーの体の一部の青い線のような部分が赤く輝き始めた。

そして辺りにピリピリとした邪気が立ちこめたと思うと、それはカオスブリンガーに集まって

いった。

、、、、なにかわからねぇが、、、やばい!

タークスはその危険さを肌で感じた。おそらくカオスブリンガーはタークスに最大級の攻撃

を放とうとしているに違いない。しかしタークスは例え正体のわからないどんなに危険な攻

撃を放たれようが、Tがメギドを放つまで時間を稼がなくてはいけない。おそらく時間にして

約20秒。深い瞑想状態で動けないTにカオスブリンガーの注意がいかないように食いとめ

なければいけない。タークスはその一心でカオスブリンガーに突っ込んだ。タークスがカオ

スブリンガーにあと一歩で斬りこめるという位置まで踏み込んだ時、カオスブリンガーのエ

ネルギーの吸収が終わってしまった。右手にものすごいエネルギーの塊が確認できる。そ

してカオスブリンガーの右手の剣が上下に開いた。

なるほど、、、あそこからレーザーのようにエネルギーをはなつってわけか、、。だがかわ

せばまたエネルギーチャージのすきができる!

タークスは瞬時に相手の戦法を見切った。この距離ではわずかに相手のほうが撃つのが

速いだろう。タークスは再びかわせるかどうかの紙一重の勝負にでることにした。しかしそ

こで予想外のことが起きた。カオスブリンガーが砲身となった右手を構えたかと思うと、ク

ルッと後ろを向いたのだ。正確にはTのいる方向である。タークスには一瞬でその意味が

わかった。カオスブリンガーは動けないTにターゲットをきりかえたのだ。

「やばい!T、よけろ!」

タークスの必死の叫びもむなしく、瞑想中のTには聞こえていない。カオスブリンガーからT

まではおよそ7メートルほど。気付けばかわせる距離だが今のTにはそれもできない。

「ちくしょう!待ってろ!今助ける!」

タークスは確実に射程圏内のカオスブリンガーを通りすぎてTに向かって走った。少しでも

時間を稼ごうと、通りすぎる時にカオスブリンガーのわきばらにグラディウスを刺した。一瞬

ひるんだものの、発射の構えは解いていない。そしてついにカオスブリンガーがほとばしる

ほどのエネルギーを発射した。

ゴォォーーーーン!!!

それと同時にタークスはTに向かってジャンプをした。

「間に合え!」

ガシッ  ズザザザザ

タークスはTを抱きかかえて地面に倒れこんだ。カオスブリンガーのエネルギー弾は二人

のわずか上を通っていったようだ。地面に倒れてTがハッと気付いた。

「あれ?タークス、なんでわたし倒れてるの?」

「いいからおまえはさっさとメギドを撃っちまえ!俺はもう時間稼ぎできねえ。」

「???よくわからなんけどチャージ完了だぉ!ん〜〜〜、、、逝っけぇ〜〜!!メギドォ

〜〜!!!」

Tがテクニックを放つと、黒いモヤモヤした物がカオスブリンガーに向かって飛んで行っ

た。カオスブリンガーはかわすしぐさも見せずに二人にとどめを刺すために再びエネルギ

ーのチャージを行おうとしていた。しかしメギドがカオスブリンガーに直撃した瞬間、カオス

ブリンガーは苦しむ間もなく息絶えて消滅した。そしてこの部屋の邪気が完全に消えた。も

うこの部屋にはエネミーはいないようだ。Tは倒れているタークスに言った。

「時間稼ぎありがとぉ、タークス。さ、いつまでも倒れてないで次行こぉ〜。」

Tが明るく言うがうつぶせに倒れているタークスに返事は無い。

「タークス?ねえ、返事してぉ、、。ふざけてると怒るぉ、、、、きゃぁ!なによこの傷!?」

Tがタークスに目をやるとタークスの背中全体にかなりひどい火傷があった。鎧まで溶けて

いる。致命傷かもしれない。呼吸が弱い。Tは慌ててタークスをあおむけに寝かせた。

「タークス!?タークス!!ねえなにがあったの!?」

「へへ、、さっきのやつの光弾をちょっとくらっちまってな、、、、。やつがおまえを狙ってる

ことに気付くのがちょっと遅れて、、、おまえに当たらない様にするのが、、、精一杯だった

ぜ、、、、。」

「光弾、、、、?、、、!!!」

Tは瞑想中だったためカオスブリンガーの放った一撃を確認していなかったのでタークス

が何を言っているのかよくわかっていなかった。しかし自分が立っていたすぐ後ろの壁を

見てTは驚愕した。その壁にはとてつもなく大きな穴があいていたのだ。こんな厚い壁をこ

こまで破壊する威力、Tにも容易に想像がついた。そしてこれがタークスの言っている光弾

の威力ということにも気付いた。こんな威力のものを直撃ではないにしろタークスは自分を

かばってくらってしまったことをTは知った。

「じゃあ、、、タークスはわたしをかばってあんなすごい攻撃を、、、くらっちゃったのぉ?」

「、、まぁそんなに、、気にするなよ、、、。敵を倒せておまえも無事、、、それでいいじゃね

ーか、、、。」

タークスは息絶え絶えにしゃべっていた。

「すぐに治すぉ!レスタ!!」

Tは回復のテクニック・レスタをタークスに使った。しかし傷は一向にふさがらない。ターク

スの意識も薄れる一方である。

「ん〜〜〜!なんで効かないのよぉ〜!!レスタ!レスタ!」

Tは必死にテクニックを連発したが効果は現れない。

「T、、もうよせよ、、、。こんな重傷は、、、相当レベルの高いテクニック使いじゃなけりゃ、

、、、治せねぇよ、、。はは、、そういえばおまえ、、いつも隊長に未熟だって言われてたっ

け、、、。ははは、、、。」

「そんなこと今はどうだっていいでしょ!、、うぅ、、、、タークスゥ、、、しんじゃやだぉ、、、、」

「へへ、、、女の子を守って死ぬなんて、、、かっこいいじゃねえか、、、。きっと隊長だって

認めてくれるさ、、。」

「バカァ!しんじゃだめだよぉ、、うぅぅ、、、わたしがもっとがんばって訓練してれば、、、。」

その時Tはハッとひらめいた。自分のテクニックレベルを一時的でもいいから上げられれ

ば。タークスを救えるかもしれない。そう思ったTはアイテムパックからあるユニットを取り

出して、自分の鎧にはめ込んだ。

「お、おまえ、、、それってゴッド/テクニック、、じゃねぇか、、、。そんなものどこで、、?」

「これは修道院の先生が出発の時に渡してくれたものだぉ!本当に誰かを救いたい時だ

け使いなさいって言ってたぉ。使うなら今しかないぉ!」

「でも、、たしかそれって、、、無理やり自分の力以上のレベルのテクニックを使える様にな

るものだろ、、、?しかもその部類の中の最高レベルアイテムじゃねぇかよ、、、。そんなも

の、、、使ったらおまえが、、、ぶっこわれちまうぞ、、、。」

「いいもん!わたしのせいでタークスがしぬのなんか見たくないもん!」

Tはそういうと大きく息を吸いこんで精神を集中させた。

「やめろ!俺はいいから、、、、うぐぐっ!」

タークスの限界が徐々に迫っていた。今すぐなんとかしなければ手遅れになる。そしてTは

全神経をとぎすませてテクニックを使った。

「レスタ!!」

その瞬間、辺りをまばゆい光が包んだと思うとタークスの傷が少しずつだが確実に癒され

ていった。しかし同時にTは全身から力がぬけていくようなすさまじい脱力感に襲われた。

「ん〜〜〜〜〜!!!」

Tはタークスを救いたい一心で気を失いそうな体を持ちこたえさせた。そして十数秒高レベ

ルテクニックを使いつづけたTはフッと気を失いタークスの上に倒れこんだ。

「うぅ、、、は!傷が、、、ほとんど治ってる、、、。」

タークスの傷はほとんど完治していた。あれほど深い傷を短時間で治したTの潜在能力の

高さがうかがえる。しかしまだ痛みと体力の消耗のせいで動くことは出来ない。が、こんな

ところで寝ている暇は無い。Tがどれだけ消耗してしまったかわからないからである。気を

失っているだけかもしれないが、ひょっとしたら精神力を使い果たして二度と寝覚めないか

もしれない。一秒でも速くシティーに戻ってメディカルセンターにつれて行かなければ。ター

クスは残りわずかな体力を振り絞り、Tを背中におぶって立ちあがった。

「すぐに病院につれていくからな!」

しかしそんな二人に残酷な運命が待っていた。再び先程の様に辺りに漂い始める邪気。し

かも先程以上に大量だ。そしてそれらは二人がその部屋を脱出する前に形となった。

「嘘だろ、、、。」

タークスが周囲をざっとみると10体以上のエネミーが周りを囲んでいた。無論タークスに

はもはやこれらを撃退する力は残っていない。リューカーを使うひまもない。万事休す。ま

さにこのことか、とタークスは悟った。そして周りのエネミーの中の五体ほどが一斉に二人

に襲いかかったその時。

バシュン! グオオオーン!

フォトンの弾丸が空を切る音。的確に急所を狙われあっさりと体に穴をあけられ消滅する

五体のエネミー。そしてメテオスマッシュを構えて入り口付近にたたずむ一人の男。どうや

ら五体のエネミーを一瞬で蹴散らしたのはこの男の様だ。そしてその男の姿を確認したタ

ークスは自分達が助かったことを確信した。

「隊長!」

隊長と呼ばれた男は全身に黒いスーツをまとい顔にはガスマスクをつけていた。そう、こ

の男こそ「T−scorpion」の隊長、T−BOYである。分かれ道を進んでいて合流したの

だ。

「おいタークス。なんてザマだ。何があったか知らないがまだまだだな。」

「すみません。俺がふがいないばかりにTが、、、。」

「ん?Tがどうかしたか?、、これはゴッド/テクニック!?まさかこれを使ったのか!?」

「はい、、Tは重傷の俺を助けるために、、、。なさけねぇ、、、。」

「詳しい話は後だ!おまえははやくシティーに行け!メディカルセンターまで這っていく体力

くらい残っているだろう!」

T−BOYはそういうとテレパイプを使いワープホールを出現させた。

「で、でも隊長はどうするんですか?」

「任務はまだすんでいない。俺が進んだ道は行き止まりだったからな。おそらく目的の物は

この先にあるのだろう。」

「無茶です!ここはさっきのエリアとはわけが違う!一人で進むなんて危険過ぎます!」

タークスは身をもって味わった危険を隊長に伝えようとしたが、隊長はマスクの下で一笑し

て自信に満ちた口調で答えた。

「俺を誰だと思ってるんだ?いらん心配はいいからはやく行け。」

「は、はい。」

タークスは隊長の強さを知っている。先程の五匹同時瞬殺など隊長にとっては朝飯前な芸

当である。タークスはその言葉を聞いて安心してホールに入った。そして部屋にはエネミー

とT−BOYだけとなった。さっきやられた分の補充とばかりに新たに何体か生まれるエネ

ミー。圧倒的に一対多。多勢に無勢。四面楚歌。そんな状況でもT−BOYはマスクの下で

冷たく一笑した。

「俺の部下が世話になったらしい。この落とし前はしっかりつけてもらうぞ、、、。」

 

 

数時間後

「うぅ、、。」

タークスが意識を取り戻した。どうやらここはメディカルセンターの一室のようだ。タークス

はゆっくり記憶を呼び覚ました。数時間前シティーにたどり着いたタークスは、消耗しきっ

た体でTをおぶったままなんとかメディカルセンターの入り口までたどり着いたが、そこで倒

れてそのまま意識を失った。

「あ!Tは!」

タークスはTの容態が気になって飛び起きた。しかしすぐに横のベットにTが眠っていること

に気付いた。息はしているようだが容態が分からない。すると突然声がした。

「Tのことなら安心しろ。激しく精神力を消耗してるだけだ。ただの疲労ではないから回復は

遅いが命に別状はないそうだ。それにおまえの傷もすぐに治る。」

タークスが声の方を見ると、部屋の扉の横の壁に背をもたれて立っている隊長がいた。

「隊長!そっか、、Tは無事なのか。よかった、、、。あ、隊長。任務のほうはどうなったんで

すか?ここにいるってことは隊長もすぐにひき返したんすか?」

「そんなはずないだろう。調査はすでに完了した。思ったより深部でエネルギーを発してい

ると思われる鉱石を発見してそれを持ちかえった。あとは科学者達の仕事だな。」

「じゃ、じゃああの後、隊長は一人であの奥に、、、。」

タークスが隊長の底知れぬ実力に思わず息をのむ。

「そういうことだ。とにかくTはゆっくり寝かせてやれ。ほっておけば2、3日で回復するらし

いからな。」

「そっすか。でも本当にTが無事でよかった。」

「なにがよかったんだ?おまえがもっとしっかりしていれば二人とももっと怪我が少なくて済

んだんだぞ。」

「か〜、厳しいっすね〜。」

「おい、何をのんきに寝ている。次の任務が控えているんだ。おまえはもう動けそうだから

帰ってミーティングを始める。とっとと起きろ。」

「マ、マジっすか〜!?」

 

                                          続くかも   


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