昼寝
静かに風の音を聞きながら、ボクは眠る。 お気に入りの場所で、あったかい日差し舞う木の下で。 柔らかい草の上で。 思い切り寝転がって。 静かで、優しい時間。 何を考えることもなく、 何を悩むこともなく。 「ロキ……?」 その透き通った綺麗な声を、ボクが聞き紛うことはありえない。 フレイヤの、声。 聞こえてはいるけど、今は目を開けたくない。 だけど、無視なんて簡単にできない。 「ん…、フレイヤ……。もーちょっとだけ……」 こんないい気持ちなのに。 「こんなところで寝てたら風邪ひくわよ?」 あったかいトーンで、彼女が囁きかける。 そして、何かをボクにかぶせた。 「無防備よね」 少し暖かくて柔らかい感覚と、僅かに香る女神の匂い。 きっとこれはフレイヤのショール。 そう考えていると、音が聞こえた。 隣に座り込む音。 何か、ボクの言葉を待っているとでもいうの? ボクが決して無視はできないって、だからそんなことをするの? 起き出して、何を言って欲しいの? 「ゆっくり寝てれば?夕方になったら起こしたげるから」 ふいに、一瞬だけ鼓動が高く鳴った。 横目に彼女を盗み見ると、それはそれは綺麗な横顔。 それと共に、移り香なんかじゃない本物の女神の香りがした。 『女神サマしてるね』 心の中で、そう呟く。 そして。 わざわざフレイヤが横に居てくれてるっていうのに、 数分間なかなか眠れなくて、 また隣を盗み見た。 そしたら、そこにあったのは、 「どっちが無防備かなぁ」 美女の寝顔。 ボクはムクッと起きあがって、彼女の膝を枕にさせてもらった。 フレイヤが起きたらどうなるかな、なんて思ったけど、 神サマだって今が大事なわけで。 「おやすみ、フレイヤ」