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Don't kill me
by.菊理媛サマ

 







「和美さんは、この色の中で何が一番好きですか?」

「この色が一番、好きだな」

「じゃああげますよ」

少女はそうにっこりと微笑んで、くれよんを少年に手渡した。









『Don't kill me』









「ここに、絵を描いてください」

レイヤはゆっくりと、落書き帳を渡した。



空は雲一つなく、真っ青だった。

秋とも春ともとれる、暖かい日。

太陽はぽかぽかと陽気に溢れ、二人の周りは白くふんわり輝いてた。



「――――ありがとう」

和美が微笑むと、レイヤは頬をぴんく色に染め、

にこぉ、とこぼれるような笑みを浮かべた。



「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

言葉は少なく、雰囲気は柔らかく。

二人は時折り見つめ合うと、優しく微笑み合った。

そのままくれよんが何かを描く音だけ、響いた。



時折り吹く風が心地よく。

目の前にいる生物は軟体動物のように、軟らかく、柔らかく。

しなやかな笑みは目薬から落ちる水のように。

ぽちゃんと音を立て、その後は静か。



「できました」

少女はこれ以上ないほど幸せそうな顔をし、落書き帳を抱きしめた。

少年はそれをもどかしく、しかし本当はそう思わず、

「僕もだ」とため息をつくように囁いた。

囁きさえも十分に聞こえすぎるこの空気。

ふと、彼が身を乗り出す。

少女は一瞬強張りに身を動じたが、少年の顔は穏やか。

少女は安心して彼の行動を待てた。



「・・・・・・・・・」

和美はレイヤの耳元に唇を持っていき、何か言おうと口を開けたまま、しばらくそうしていた。

彼の吐息は耳をくすぐり、レイヤはそのたび、ふふっと身体をねじらせた。



“――――レイヤちゃんの、見せて”



耳元で空気が吸い込まれるような感じを受け、少女は身体を強張し、その言葉を受け止めようとした。

だが思った以上に、彼女の耳は敏感で。

少女の努力も空しく、彼女の身体は彼の吐息から逃げるように、素早く身を守った。

「―――――――はい」

答える為に、彼の方へ向き直る。

そのとき彼は、もう一度囁こうと彼女の耳に口元を寄せようとしたところだった。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

二人の距離は先ほどよりも近く、

そしてその近づいた物面は皮肉にも、一番早く彼とつなげれる場所。

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」









遠いどこかの家の魚が、水面から出ようと必死で尾を動かす音。

遠いどこかの誰かが、玄関を出ただろう。

その玄関の扉の向こうにいるのは、それを見送る犬。

餌と遊び道具だけ、残して出ていった愚者に愛されるべき犬。

その目から零れ落ちる涙は甘くすくわれ、蟻に食い尽くされるだろう。

そして己自身の願いの忘却を、願うだろう。

その願いの行きつく先は必ず自分にあることを知り。

その願いはまた出口を捜しさまようことを知り。

命の蝋燭を自分で折れない愚かを知り。

また今日も長く短い道を歩くのだろう。











「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」



そしてここにも似たような二人。

彼らは切に幸福を祈り、相手を想う。





命はこうして交わり、道を伸ばし。

今日もその道を切り捨てて行く―――――――。



 






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ふは〜っ!!!
やっぱりヘム玲家元サマは違いますなぁv(笑)
ほんわかしてて、それなのに何かどこかで筋が一本通っているような、
そんな感じがしました。
深くて、かっこいいです。
なんというか、人生道ですな。(爆)
ふんわりしたその空間も命っていう道の上の一つの点で、
それが終わればそれは過去のことになり、
また新しい空間を求めて旅をする、といいますか。。。
日本語ヘタなので上手くは言えませんケド;
でわでわ、ありがとうございました〜vvv



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