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キリ番300のプレゼント小説:to Star Fieldさま |
「気持ちイイですねぇ・・・v」 暖かい秋晴れのある日。 玲也は公園のベンチで思いっきり伸びをしていた。 本当はロキと散歩に来ていたのだが、 彼は先ほど『アイスでも買ってくるよ』と言葉を残し去っていったのだ。 いつもならそんなちょっとしたことにでもついていく玲也だけれど、今日は久しぶりの散歩。 しかもこんな気持ちよい秋晴れ。 少女がそのベンチで待っていると答える理由には十分すぎた。 お昼過ぎの公園。 小さな子供達が、十数メートル離れた砂場でキャッキャと騒いでいる。 ここだけが、この柔らかな日差しさすここだけが、 周りよりもゆっくりと時がながれているように感じられた。 ――本当に、気持ちイイですねぇ…。レイヤ、寝ちゃいそうです……。 そう心の中で呟くと、玲也は躯が要求するままに瞳を閉じた。 どの位眠っていたのだろうか。 玲也は隣に人の気配を感じた。 ――ロキさま……? 目をこすりながら押し開ける。 多分3分も眠っていない。 「レイヤちゃん、久しぶりだねv」 「??……あ、和実サン……」 寝起き丸だしで玲也は呟くように言った。 「どーしたですか?和実さんもお散歩ですかぁ?」 ぽわーんとした表情がまだ抜けない。 そんなに眠たかったのか、とヘイムダル、ではなく和実は思いつつ、ニコリと笑う。 「レイヤちゃんがいたから、かな」 「??」 思考回路はどうもうまく働かず、玲也は右45度くらいに首を傾げ、頭上に疑問符を浮かべた。 「レイヤがいたから、ですか……?」 「うん、そうだよ」 あまりにポワポワした玲也に微妙な苛立ちを感じたのか、にこにこ顔のこめかみには少し皺が寄っている。 「よくわかんないみたいだから、わかりやすくおしえてあげると、ね?」 玲也はまだポワポワ状態だ。 そんな少女の頬に、和実は顔を近づける。 そして、そっと口付けた。 ――ほっぺた…、和実さん……、………キス………? 「こーゆーことv」 玲也は元々大きな瞳をさらに見開いた。 和実の唇に触れられた右頬を手で押さえる。 驚愕と、怯えるような表情。 「なっ、何するですか……っっ!」 温厚な玲也に、だんだんと怒りがこみ上げてくる。 「へ〜ぇ、ロキはキスもしてあげてないんだ」 和実は満足げに笑ったまま言った。 そりゃあ相手は子供なんだからロキだって取って食ったりはできないさ、 と突っ込みたいところだがそれはおいといて。 「………!」 「そんなに怒んないでよ、これあげるから。じゃあまたね、レイヤちゃんv」 そう言って大きな瞳でじっとにらむ玲也の手にキャンディをあずけ、 和実はヒラヒラ手を振ってどこかへ去った。 黄色い紙に包まれた、すっぱそうなレモンキャンディ。 ――ロキ……さまぁ………。 玲也の瞳から、この時初めて涙がこぼれた。 ――早く…帰ってきてください…… そしてようやく『アイス屋込んでて…』と帰ってきたロキが一人泣いている玲也を見つけ 慌てふためくのは、言うまでもないことだ。