幻
ずっとずっと、幻を見るです。 夢の中で、幻を見るです。 何を見たのか、思い出せません。 たぶん、とってもとっても遠くのことを見たですネ。 だけど、とってもとっても近くに居ました。 誰が……デスか…? わからないです。 もう、ずっと会っていないヒト。 きっとレイヤが、ずっと愛してきたヒト。 遠い遠いヒトが、とってもとっても近くに居ました。 だから、幻です。 誰が居てくれたのかも、どんなことをお話したのかも、何も思い出せません。 なのに、とってもとっても優しくなれて、それからすごく苦しくなります。 毎夜、毎夜、幻を見るデス。 ロキさまに言ったら、 『お盆だからかな。お盆にはね、いろんなヒトが帰ってくるって言われてるんだ』。 レイヤの大事なヒト、帰ってきたデスか? ……? ………? …………? 何か違うデスね。 "帰ってきた"のは……、レイヤ、です。 レイヤはとっても大事なヒトを置いてきちゃいました。 呼んでるデスか? レイヤを、呼んでるデスか? 帰ってあげたいです……。 アタシダッテ帰ッテアゲタイ……。 せめて夢の中だけでも。 デモ現実ニハマダ無理ナノヨ…。 抱きしめてあげたいデス。 今スグ抱シメテアゲタイワ…。 悲しい声で呼ばないで…。 寂シイ顔ハシナイデ…。 『ママ』 永遠に、誰より愛してるから、だから、アナタは消えないで。 きっと帰ってくるから、だから、アナタは消えないで。 あと少し、あと少しだけ待ってて。 急に、ロキさまが羨ましくなりました。 叫びたくなりました。 誰かの名前を、大声で。 アノ娘ニ届クヨウニ。 苦しいデス。 とっても、とっても、苦しいデス。 だけど、苦しいのはレイヤだけじゃないですから、ガマンしなきゃいけません。 幻。 その向こうに、何があるデスか? 全部が終わったら、誰が居るデスか? 今夜も、アナタに出会うデスね。 アナタは今夜も、微笑んで迎えてくだサイ。 fin.