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キリ番100のプレゼント小説:to 水橋音羽さま |
闇野くんは今日、少し遠くまでお買い物に行っていていない。 繭良は今日、だれか友達の誕生日パーティらしくて来ない。 レイヤは今日、車でどこかへ出かけてしまったから来ない。 みんな僕を誘ってくれたけど、それがほとんどみんないっぺんに言うもんだから誰か一人をその場で 選ぶのはどうかと思われてとりあえず「(遠いから)(面倒だから)(車だから)ヤだ」と答えておいた。 しかし別に三人ともそれほどまでに僕を誘いたかったわけではなかったようだから、特に嫌な顔もせ ず了解してくれた。 …にしても、ヒマだ。 今日に限って(?)お客は来ないので仕事がない。 そんな時、僕の頭に思い浮かぶことは一つしかなかった。 「さ〜て、ナルカミくんで遊ぶかな♪」 あれから結局ナルカミくんに電話したのだが、その内容はこうだった。 『ナルカミくん………。ちょっと、聞いて欲しいんだけど』 『…?どしたんだよ』 『それがね、ぼく………。やっぱいいやっ』 『んな言い方されたら気になるだろっっっ』 『う〜ん……。じゃあ、今からウチ来て』 『おう』 もしかすると彼もヒマでしょうがなかったのかもしれない。 家に電話したのに繋がる、というのがまずそう思える。 鉄腕アルバイターといえども、今日くらいはお休みということだろう。 何にしろ、これからどんなことして遊ぼうか。 ナルカミくんと……というよりは、ナルカミくんで。 我ながら邪神ロキとはよく言われたものだと思ったりしてみる。 せっかちな「元」トール神・ナルカミくんはあの後5分もしないうちにやってきたというのに、僕は 既にどんな遊びをしようか完全に頭の中で構想を練り上げていた。 まぁ、他愛もなくて極々一般的なイタズラだけれども。 「で、何なんだ!?」 彼はここへきて、何より先にそう怒鳴った。 その顔がどうも可愛らしくて僕は笑い出しそうになったけれど、なんとかそれも踏み止まって顔を造った。 少しはにかんだような、少しおどおどしたような、少しもじもじしたような。 するとナルカミくんはギョッとして眉と眉の間に皺を寄せた。 「だっ、だから何なんだよ!」 「……そんな怒鳴らなくっても…、いいじゃない……。僕はただ、………」 わざと語尾を小さくして、ナルカミくんの気を思いっきり引く。 「ただ……?」 こういう思い通りになってくれる人って、だから好きだ。 「ただ………」 彼は無意識に身を乗り出す。 「ただ………?」 そろそろ、かな。 「ただ、ナルカミくんが好きだって言いたかっただけなんだ………!」 次の瞬間、その空間の時間が止まった。 正しくは、ナルカミくんの時間が止まったと言うべきかもしれない。 「は〜〜〜〜〜!?!?」 ある程度言葉の意味を理解し終えた彼は、思った通りの反応を返してくれた。 「なっ、なっっ、なっっっ!?!?!?」 「神界に居た頃から、ずっとだったんだ。ピンチの時はいつだってナルカミくんが助けてくれた。寂しい 時はいつだってナルカミくんがいてくれた。だから今日、気づいたんだ。誰もいなくてヒマな時、ナルカ ミくんしか思い浮かばなくて……」 上目遣いにナルカミくんを見上げると、何とも面白い顔をしている。 「ま、待てよっ!んなこと急に言われたってどっっっ」 「好きなんだ、ナルカミくん」 「すっ、好きってなんだよっ、そーいや最近すき焼き食ってねえ肉の味も忘れちまったしでもまあ肉ナシ のすき焼きならよく食ってるけどよぉマロニィちゃんばっかしの鍋なんてすき焼きじゃねえよなってオレ 何言ってんだぁ!?」 完全に混乱しているトール神。 目がおもしろいくらいよく回っている。 「やっぱり…、僕のこと嫌いなんだね……」 「おっ、おい、勘違いすんなよ!?オレは友達としてだなぁ、これからも末永くだなぁ………」 ――ピーンポーン そんな時、急にチャイムが鳴った。 トントン、とノックすると、声が聞こえてきた。 「レイヤです〜。おみやげ持ってきましたv」 玲也の声だ。 それでもナルカミくんは混乱し続ける。 「オレは別にお前のことは嫌いとかじゃなくてどっちかっつーと好きな方だし……」 「あ、レイヤ〜!何買ってきてくれたの?」 僕は、今まで何もなかったかのようにレイヤに微笑みかけた。 「え…?な…、ロキ……?」 ナルカミくんはおろおろする。 そんな彼に向かって、僕はニコッと嗤ってみせた。 「ナルカミくん、僕のこと好きなんだってね。ありがとv」 彼は、拳を握りしめ震えていた。 あとはただ、レイヤが頭上に疑問符を複数浮かべるばかりであった。