――レイヤ、怖いです。 聞こえてくるのはもう一人のわたし。 どんなに抵抗してもきっと勝つことなどできないもう一人のわたし。 ――どうして? 今僕は、この少女の震える肩をただ見つめていることしかできない。 こんな身体じゃ、慰めることしかできない。 ――レイヤは、レイヤじゃないです……! たぶんこの躯はもう一人のわたしのため。 この髪も、目も、指一本一本だってもう一人のわたしのため。 ――そんなこと……… 相手を傷つけるとわかりきった真実ほどつらいものはない。 不便な身体ほど邪魔なものはない。 ――ロキ様は同じことしか言わないです!!! こんな時急に考えてしまう。 ホンモノのわたしならどんなことを言うのか。 ――………! 僕みたいな奴のことを、世間では八方美人だとか優柔不断だとか言うのだろう。 それは今も昔もそうは変わらないことなのかもしれない。 ――レイヤ、きっとニセモノです!!!! ロキ様の顔を見ないですむように閉じた瞳。 でも本当は、泣きたかったというだけなのかもしれない。 ――そんなのどうだっていいよ!!! "相手を傷つけるとわかりきった真実"………? どうせ僕自身が傷つきたくなかっただけだろ。 ――え…… あんなこと口には出してみたけれど。 ホンモノだとか、ニセモノだとか、たぶんそんなのどうでもよかった。 ――ホンモノ、ニセモノ…。そうじゃない、わかってるだろ? 今が悔しくてたまらない。 僕は別に彼女を慰めたいわけじゃない。 ――……はい、です。ワタシハタダ……… ――………。僕ハ、タダ……… ――ごめんなさい、です。ロキ様。コノ気持チヲ消サレタクナイダケナノニ。 ――……、レイヤ、今日僕のウチに泊まってく?守リタイダケナノニ。 ――………、ハイです!!