「なにか欲しいものはないか?」 毎晩のように悩んだ結果、口から出たのがこの一言。 このたった一文に込められた俺の想いを 君は知るはずもなく、 「弟さん、なにかくれるんですか?」 無邪気な顔をして 目をキラキラさせながら俺を見上げた 俺は手品師じゃないから シルクハットからウサギは出せないぞ? + セルリアン*マジシャン + by.ヤミト ミアさま 次の日、俺はいつものように屋上で昼寝をしていた そこにやって来たあの子はいつもとどこかが違っている 小さなその腕にスケッブックと色えんぴつを抱えていた 「なにするつもりだ?」 「昨日の答えを伝えに来ましたっ」 「俺は忘れろって言わなかったか?」 言い方を失敗したと確信した俺は 出直すことを心に決め 今の言葉は忘れろ、と半ば命令形で彼女に言い残したはずだ 「やっぱり、忘れなくちゃダメなんですか?」 俺が目を閉じて寝転んでいる横で ぽつりと悲しそうな声 片目を開けて顔を見てみると 大きな瞳が潤んで見えた 俺はなにも見なかったかのように また 目を閉じ 彼女と反対方向に寝返りを打つ 「弟さぁん・・・」 しかし、瞼の裏に残ったスキな子の残像が消えるはずもなく、 「・・・俺があげられる範囲のものだからな」 結局折れて 不器用にそぅ言い捨てた 幸せになってほしい女の子がいる やがて背中越しに色えんぴつを走らせる音が聞こえてきた 未だになぜこの子がスケッチブックを持ち出したのかは未解だが おそらく この数分で組み立てた俺の推理に間違いがないのなら、 「俺は天才パティシエでもないからな」 「はぅ?」 「アンタの絵通りには作れないぞ?」 後ろから笑い声が聞こえた。推理は的中したらしい。 その子は普通の人よりちっちゃいが故に どんなに背伸びをしても 幸せには手が届きそうにない 俺は伸びをしながら体を返し 空を仰ぎ見るふりをして 横目で様子を伺ってみる 彼女は楽しそうにオレンジ色のえんぴつを動かしている 「言っておくけど メロンは買えないぞ?」 「それぐらい ちゃーんと分かってますよ」 ケーキか、パフェか、そこまでは分からないが この子のことだ、 女の子らしいカロリーの高いものができるに違いない だから この手を差し出したくて すこしだけでも あの子の助けになりたくて 心から笑っているあの子の顔が見たくて仕方ないんだ ゆっくりと体を起こし好奇心からスケッチブックを覗こうとすると 彼女はすこし照れくさそうにしながらも俺に渡した 「なんか現実性のないケーキだな」 「フツーのショートケーキじゃつまらないですから」 どこから見ても小学生並みの想像力でできたケーキの設計図だ 何段にも重ねられたスポンジの上に とびきり赤いイチゴ。 生クリームなんて こんなあの雲みたいにフワフワにはならないし 得体の知れないゼリービーンズのようなものが散りばめられている だけど あの子が幸せになるために必要なものが 分からなくて 「こんなケーキ、あたしに作ってくださいよ」 ちがうんだ 与えたいのは そんな形に代えられる単純なモノじゃなくて 「・・・あのさ、」 俺はスケッチブックを返し 髪を掻き上げる 彼女は不思議そうな顔をして俺を見つめた 「他に、・・・俺ができることってなんかないか?」 「はい?このケーキだけで十分ですけど?」 「いや、そうゆう意味じゃなくてだな、」 それはケーキのように甘く柔らかいものじゃなくて 時に優しくさせ 時に悲しくもさせる そんな、あの雲のように形を変えるモノ 「あ、もしかして弟さんが言いたいのって・・・」 なにかをひらめいたように 彼女は赤い色えんぴつで 次のページに書き出した 「おい、」 俺が言いたいのは きっと 目に見えるものではないから きっと この子は勘違いしているにちがいない 悲しい時は 俺の袖を引っ張ってハンカチ代わりに使えばいい 苦しい時は 俺に八つ当たりでネコのぬいぐるみを投げても構わない だから 嬉しい時は いちばん最初に俺の名を呼んで? スケッチブックを抱き締めて 俺の瞳を覗きこむ どうやらこの絵はたった10秒で描き終わってしまったらしい 「あたし、こっちの方が欲しな」 そぅ言ってスケッチブックをひっくり返して俺に向けた そこに描かれていたのはスケッチブックいっぱいの大きなハート この気持ちをなんて呼ぼう? その一筆書きの絵に釘付けになっていた俺に対して 先に笑い出したのはあっちの方だったが 「あぁ、それに違いないよ」 得体の知れない感情の正体を知った俺は 苦笑を漏らす ずっと ずっと 複雑なモノだと思っていたそれは 実は笑ってしまうほどに シンプルなモノだったんだ 昼下がりの屋上は いつもより風が強くて 彼女が落としたスケッチブックが何ページもめくれていた 赤エンピツなんて風に流されて 遠くまで転がっていってしまった あの子が俺のキスにおどろいて スケッチブックを落としたりするからだ *** fin *** **********************************************************************************
かおりが自分勝手に送りつけてしまった小説のお返しみたいな感じで リクさせていただいちゃいましたぁvvv申し訳ないですぅ(超笑顔) あぅ・・・ゃっぱりミアさまの小説はステキすぎますね、ホント。 ふんわりしてて甘酸っぱげな感じ・・・・・・ラヴです。 思わず文字をピンクにしてしまいますもん。(わけわからん) 一文一文にセンス現われてますよねぇ。かおりも見習いたいです;; 歩くんの切なげな雰囲気かなり出てて、こっちまできゅんってなっちゃいます。 それに、キャラがほんとにそのまんまで。 原作にもこんな感じでありそぅですよね。 「あたし、こっちの方が欲しな」 のトコとか、理緒ちゃんの顔、原画で想像できちゃいますし☆☆ ぁーヤバ、ほんとにカヮイイ・・・vvv そりゃ歩くんもキスしちゃうでしょ。あたしだってするもんょ。(ヲイ) いやーほんとに、ほんとに、ほんとにほんとにほんとにほんとにありがとうござぃましたvvv