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by.寅さんサマ |
空からの涙はまるで 「ソレイユ、私たちにも考えがあるのよ」 姉たちは言うなりおもむろに彼女の体を引っぱり出しました。 が。 彼女の体はびくともしません。不審に思い、彼女の足を見ると・・・ 「ど、どうなっているのよ、ソレイユ!!何故足がないの!?」 そう、ソレイユの足は緑色に染まり、地面に埋まっていたのです。 姉たちが見ている中で少女の体はどんどん変化していきます。 体は茎に、腕は葉にー・・・・。 愛らしいその顔は空に向かって満面の笑みを浮かべ、そして・・・・・・・ まゆらは光太郎の部屋にいた。 服を乾かす為まゆらは光太郎の服を借りて。 だが、一回り小さい彼女にその服は少し大きい。 だぼだぼのTシャツ、裾の長いズボン。袖で指先しか出ていない。 ・・・何だか・・・恋人みたい・・・ 暖かい毛布を被って彼女は夢を見ている気分になった。 「寒くないか?」光太郎はドアを開けて聞いた。 どうやら飲み物を持ってくるらしい。 「・・・うん。少し」 遭難者の様に毛布にくるまっているあたり「少し」ではなさそうである。 光太郎はさりげなく溜息をつき、そのまま扉を閉めた。 雨が酷くなる。辺りは暗くなり光が霞んで見える程度。 まゆらは不安になってきた。一人というモノに。 「光太郎君まだかな・・」薄暗い部屋は自分だけの孤独を作り出すようだ。 腕を強く握って心を落ちつかせる。 その時。ガチャリと扉が開き光太郎が戻ってきた。 ほっと息をつく。すると。 ガアアアンッッッッ 「きゃぁぁ!!」まゆらは突然の雷に驚いて光太郎に抱きついた。 「な、なんっっ」突然のことに光太郎も驚くが、すぐに冷静さを取り戻した。 お盆をTVの上に置きまゆらを軽く抱きしめる。 「雷だろ。あやなが言ってた。暫くこの状態だとよ」 慌てて毛布を被って離れるまゆらを目の片隅におき、光太郎は続ける。 「今夜いっぱいこんな感じだと。」 そこまで言い終わるとまゆらにカップを渡す。中身はココアだった。 「今夜いっぱい?・・・・まさか私帰れないとか?」 不安げに見つめる彼女にコクリと頷く。すると見る見るうちに顔が青ざめてきた。 「ぱ、パパに何て言えば良いのよぉ・・」 「安心しとけよ。あやなが大堂寺を預かった事にしておいた」 「・・・そう、なの・・?」唖然とまゆらは光太郎を見た。 ここまで彼が迅速に事を成せるのを初めて見たのだ。 「光太郎君て案外凄いのね」 ココアを一口飲んで暖まったあと、まゆらは笑いながらそう言った。 照れているのか否か彼はココアを啜る。 その顔も湯気に隠れて分からない。何だかロキのようだとまゆらは思った。 「・・・で、どうするんだ?」 光太郎はココアを飲み終えてから肝心なことを切り出した。 「どうするって・・・分かんない」 一瞬悲しそうな顔をしたがすぐに微笑む。今にも消えそうな笑みで。 横目でそれを確認するとおもむろに彼女の顔を覗き込んだ。 「あの時もそう言って誤魔化しただろ?いい加減にしろよ」 まゆらを見つめる光太郎の目は強い光が宿っている。 「探偵だってそれなりに悩むんじゃねぇの?あんたみたいに」 ロキの事を言われ胸がドックンと一度だけ強く鳴った。苦しくなるほどに。 「そうやって逃げてる内はなんの解決もしないだろ・・・違うか?」 一瞬冷たい沈黙が流れる。一度息を吐いてまゆらは口を開けた。 「違わない。・・・でも、怖いの。私はそこに存在出来なくなる気がして」 「勝手な思い込みだろそんなん。もしかしたら違う答えを言うかもしれないぞ?」 はっとまゆらは光太郎を見る。『答え』を一度まゆらは聞いていた。 また来なよね 確かに言った。それが確かな答えなら。 それ以外の何を自分は望んだのだろうか。光太郎をもう一度まゆらは見た。 「言って・・・くれてたみたい。」 照れくさいような笑みを光太郎に向ける。頬も少し赤い。 「でも光太郎君が言ってくれなければそれすら分からなかったよ。 ありがと!」 最後は満面の笑みで。『答え』に気付けた事に感謝して。 その笑顔を見て光太郎は気持ちを動かされる。 だからちょっとの意地悪も兼ねてまゆらに囁いた。 「じゃぁお礼に言うこと一つ聞けよ」 彼女は何も疑わずに是と答えた。 光太郎は確かめるようにまゆらの頬に手を添え、そのままー・・・・・・ ソレイユはありったけの笑顔をアポロンに向けた。 さようなら、ありがとうと。口も動かないから、言えはしなくとも。 その笑顔のままソレイユの顔は花になった。太陽を見つめる健気な花に。 姉たちは涙を流しその場にくずれた。するとぽつぽつと肩が濡れる。 上を見上げるとさっきまでの青空は消え雨が降ってきていた。 無意識のうちに姉の一人が呟いた。 「・・・アポロン様が泣いているんだわ・・・・」 朝、まゆらはベットから転がり落ちそうになりながら起きた。 暫く周囲を見渡し、そして気付いた。 「そうだ、私光太郎君の家にいたんだ・・・」 父親にもの凄い不審な目のことを考えるといい気分とは言えない。 う〜ん。と昨日のことを思い出してみる。 光太郎と話しをして光太郎がお礼と言って・・「あああああああ!!」 キス、をされたのだ。それも長く。思い出した瞬間全身が茹で蛸になりそうだった。 「そうよ、そうだったのよ〜!」 一人で格闘している所を光太郎が覗き込みプッと吹いた。 「なぁに一人で遊んでんだよお前ー!!」 笑いながらまゆらに手に持っていたモノを渡す。 「服も乾いてたぜ。家に送ってやるから用意しな」 腹を抱えながら光太郎は部屋を出ていった。 「・・・もう!光太郎君ったら・・・あれ?」 まゆらは服を着ながらあることに疑問を抱いた。彼自身は何処で寝たのだろうか。 「・・・ま、いいかな〜?」 もう暗い彼女は消えいつもの楽観まゆらに戻っていた。 アポロンは彼女の存在に気付いていた。だが、神であり太陽である 自分は近づくことは出来ない。だから変わりに泣いたのだ。彼女に届くように。 それは身分の違う二人の純愛だったのかもしれない。 光太郎と一緒にまゆらは帰り道を歩いていた。 昨日の涙は何処へやら鼻歌まで歌っている。 「ねぇねぇ。あの向日葵どうなってるかなぁ」まゆらは明るく聞く。 「さぁな。あとで見てきてやるよ」 素っ気なく光太郎は言葉を返す。頬を膨らませるとまゆらはまた歌い出した。 「♪君を咲き誇ろう・・・美しく花開いた・・・♪」 声は風に乗り何処までも飛んでいく。 光太郎はまゆらが歌い終わるのを待って自分も歌い出した。 「#夏の色に憧れてた普通の毎日・・・♪」 驚いて彼を見る。歌が上手いのだ。音程もしっかりしている。 またまゆらは笑いながら歩き出した。 たまにハモリを聞かせながら家に帰る。 そして心の隅で願った。 ーこの声がロキ君に届きますように・・・・ー あの向日葵は咲いているだろう。きっと。 アポロンである探偵もソレイユである大堂寺も心が晴れたんだろうからな。 ・・・でもたまには他の奴が独占しても罰はあたんねぇだろ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー こんにちは。 最後の幸せも終わりました。 光太郎君がいい人してます。まゆらも別人と化して ・・・・(涙)。 でもまだまだ直せるところ、あるんだろうなぁと思います。 仕方ないか。向日葵のお話は私が好きで良くみてたやつです。 では、楽しくてもそうでなくても、有り難うございました。 ***************************************************************** まゆらちゃん、幸福者ですよねぇ。 みんなに愛されちゃって。 ちっちゃいいじらしさが可愛いです。 そしてソレイユさん。 なんか目を閉じると、最期の笑顔が目に浮かぶよう・・・。 幸せって、いっぱいあるんですね。 それぞれのカタチがあって、それぞれのキモチがあって。 いつか、あたしにとっての幸せはみんなにとっての幸せだと思える時がくるでしょうか? 全ての人の幸せを運んで、まゆらちゃんはまたロキ君のもとへ戻っていくのですね。 罪な人だわ。 幸せシリーズ、おつかれさまでした、そして、本当にありがとうございました。