★ロキv玲也☆


幸せ−parabox−
by.寅さんサマ





 



霧掛かった道。その先にある門。そこにいたのは紫色の髪が少し伸びた

二十歳前後に成長したあの少年。・・・違う、元に戻ったと言うべきか。

「やぁロキ、なんでここにいるんだい?今日は彼女が花を流すんだろう?」

その瞳には憎しみを込めた渦渦しさが無い。そもそも、彼は両目・・・・・・・・・



「・・・?ロキ?」訝しげにその目で見る。憎しみの無いその目で。

霧が、濃くなる。ヘイムダルが少しずつ薄れていく。

微かに言った言葉は風に浚われて分かりづらかったが少しだけ、聞こえた。

「彼女だけにしてやれないんだなお前は」







霧が薄くなり、綺麗に澄んだ川が見えてきた。

花を持った一人の少女。静かに、綺麗な涙を一筋流して。そっと振り向いた。

その面影を見て口を割って出そうになったその少女の名前。

けれどそれを遮るように彼女が彼にいった。





               「・・・あなたは・・・」



「ロキ様、大丈夫ですか?」

そこにあったのは玲也の顔だった。これではこの前あった時の逆では無いか。

思いだしてロキは苦笑する。玲也は笑われて頭にはてなマークをとばしていた。

「ロキ様、・・・うなされてたですよ。何かあったですか?」

純粋に人の心配をしては一喜一憂するこの少女に自分はなにが出来たのだろうか。

ただ、側にいてくれるこの少女に何も言葉をかけられない。

そんな自分が悔しくて悔しくて。それを、あの時彼女にぶつけてしまった。

彼女はただ茫然として涙も流さず言った。

「ロキ君は私のことなんかどうでもいいんだよね。」

それ以来彼女は来なくなった。反省しても納得仕切れないロキを残して。

「・・・玲也は何時までもロキ様の味方ですよ」

ロキの不安定な心を見透かしてか玲也はそっとロキに触れる。

時計の音がやけに大きく感じられる。静かすぎて、けれど心地の良いそんな空間。

玲也が思っている以上にさっき見た夢は自分を責めているようだった。

彼女の温もりと冷たいあの夢とが混ざり合い此処に存在しているのかすら不透明に感

じられるこの空間。暖かい筈なのに・・・。

「・・・・・・くるしい・・・・」

玲也が帰った後、ロキは本音を漏らした。胸にあるつかえが取れない。

それが不快感を募らせさらに苦しくなるという悪循環。

「まゆら・・」額に手を当て俯き、ただ規則的な音しかしないその空間がいつもは。

賑やかでココロが痛むことはなかった。

式神が側をウロウロと浮遊しロキに声をかけようといている。

「大丈夫だよえっちゃん」

頭を撫でてやり不安そうなその瞳を優しく見つめてやる。それしか今は方法が浮かば

ない。駄目だな僕って・・・苦し紛れに放つ言葉は虚しく空気に溶けて消えていく。

いつしかロキはまた夢の中に意識を溶かしていった。





甘栗色の長い髪。澄んだ綺麗な瞳と涙。その手にあるのはガーネットの花。

細くて白いその指先が花を川に乗せると、川はそれを抱き込むように流れていく。

「ロキ、またあんたがやったんですって?」

フレイヤはロキを見ずにそう言った。心なしかその目は赤い。

川に流れていくその花は誰かを連想させる。・・・ダレヲ・・・?

ずっと後ろを向いているその少女はその場からなかなか動かない。

フレイヤは意心地の悪さに怒ったように一言ビシリとロキに言って去ろうとする。

「そろそろ落ちついたらどうなの?」

草を一歩一歩踏みしめて歩くその姿は自分に自信のある人の背。

だが、ロキにはまだなんのことなのかが分からない。

どうすればいいのか座り込んで悩んでみると。そばで人が動く気配がした。

何気なく横を向くと、そこには澄んだ瞳から一筋、涙をこぼした少女がロキを直視し

ていた。

その姿はまるで・・・まるで・・・その名を呼ぼうとしてロキが口を開けたその時。

「あなたは・・」

遮るようにその唇から鈴の音のような凛とした声が耳に響いた。



「貴方は優しいけど、全てを受け入れるけど・・・

        一人にはしないのよね。一人きりに出来ないのよね」



一言ずつ噛み締めるように少女は言葉を発していく。その姿はあまりにも痛ましい。

「ずる・・い・・・」

新しく流れる涙は先ほどの涙とは別の意味が込められていようとも。

それをロキは理解する事は出来ない。

儚すぎるその姿にロキは抱きしめたいという衝動に駆られかける。

けれど、触れたら最後彼女は靄のように消えてしまいそうで触れるのは怖い。

戸惑うロキと無言の涙を流す少女の空気を消すように第三者の声が頭上に降ってき

た。



「また泣かしているのかいロキ」

「・・・ヘイムダル・・・」

手にはたくさんの美しい可憐な花の束。にこやかな微笑み。

憎悪の無い澄んだ双牟が二人を見渡す。やはり、ロキが目玉を奪う前の彼。

「毎回毎回泣かして置いて反省しないんだねぇ」

ヘイムダルはそのまま彼女の肩を抱きしめて、少女の方も特に警戒せずその温もりに

体重を預ける。いわゆるお似合いのカップル。

花が一輪ヘイムダルの手から放れ風と共に踊りだす。

無言でけれど痛さを感じない不可思議な空間を三人は共有している。

このままどうすれば良いんだとロキが口を開きかけようとしたまたもその時。

「あの子は自殺したの。貴方に振られたから」

今まで人形のようにヘイムダルに寄りかかっていた少女が呟く。

「貴方は狡い・・私達を引き寄せては突き放してる。今、貴方はフレイヤ様と仲がい

いよね・・

・・・ねぇあの方も騙すの?」

澄んだ瞳から感じる強くももろいガラスのような光を灯して少女は聞いた。

「ねぇどうなの・・・・・――ロキ。」

涼やかなその声に針のような冷たさを一瞬帯びさせる。

フレイヤのような強さ。だが何処かフレイヤとは違う弱さを兼ね備えている、儚い少

女。

川の音が無情なその声を隠す。何を思ったのだろうか。

ヘイムダルの肩に寄りかかり直すと瞳を閉じた。

「――ロキ、この子は誰に見える?・・・まゆらちゃんじゃない?」

「!?」

「良いけどね。僕は別に君が壊れても苦悩してもさ。

でも、この子は君のせいで生きることを失いかけてる。・・・・・・・どういう意味

かわかるかな?」

色濃くその姿を主張していた木々も草花も消え暗い闇に変化していく。

「此処はお前が理想としていた夢の土台。いいねぇ全部真っ黒ってゆうのも」

いつの間にか彼は子供になり、片目を隠した『今』のヘイムダルになっていた。

その腕の中にいる少女は紛れもなく自分が悲しくなる理由になった少女。

暗闇が三人を静かに呑み込んでいこうとする。

「ロキ、今選んでみなよ。まゆらちゃんか、―――大島玲也か」

出来ない選択を彼はロキにあえてさせようとしている。

これが夢ならばヘイムダルは自分の闇を象徴しているのかもしれない。もしかした

ら。

“答え”を求めている。ダレが?―――・・・自分が・・・?

言いたいことが、あった。悩んでいるときからずっと自分に。

「・・・・・答えたらどうなるんだろうな」

その台詞にヘイムダルはポカンとした。考えと違った台詞だからだろうか。

「さぁね。取り敢えずいつものようにもうならないだろうね」

決めてしまえば。もう、そばにいても壁ができていて。きっと・・・。

「なら、答える必要なんかないよ。僕はみんなと居られる現実だけが欲しいんだ。

どちらかに決めて今より辛くなるなんていやだしね」

翳っていた暗い瞳が輝く。自分の真実を見つけだした。それが合図だったのか

闇が薄れ、美しいあの景色が戻ってくる。先程の何処か不透明な違和感のある空気で

は無く澄んだ自分のココロを映し出しているかのようだ。クスッとヘイムダルが笑

う。

嬉しそうにも見えた。「?」彼に気が逸れている間に。

ヘイムダルの腕に居た筈の少女がいつの間にかロキの目の前に立っていた。

「・・・何、まゆら」

迷うことは、無い。答えは既に出ているのだから。

嬉しいのか幸せなのか満面の笑みを浮かべ彼女は涼やかなその声でロキに問う。

「もう迷わないよね?私は貴方が悲しいと辛くなるから」

「そうだね」

言ってもロキには何かまだ引っかかる。何故フレイヤが出てきたのか、あのセリフは

なんだったのか。昔の記憶と混ざっているならば実際にあった出来事では無いのだろ

うか。

「じゃぁロキ。まゆらちゃんにも玲也にも答えてあげなね。どっちかじゃやきもちす

るよ」

ヘイムダルがまた両目になり、からかうように言う。

そのまま二人は霧へと変わっていった。



「・・・・ん・・・?」

目覚めたロキの手には暖かな感触。

それが玲也の手だと分かるには暫く時間を要した。

「ロキ様おはようございますう。」

にっこりと手を握りつつ爽やかに玲也は微笑む。しかしその顔は少し・・・かなり赤

い。

「玲也・・・学校は・・・」

「まだお時間があったのできてみたです!」

力強く手を握っているのは良いが痛い。見た目によらずかなり痛い。

玲也って割と怪力なのか!?失礼極まりない率直な感想を心の中で激しく呟く。

「ロキ様嬉しいことあったですか?」

力を緩めることなく玲也はさらりとロキに聞いた。

「お顔が嬉しそうです」

笑顔で聞いた理由を述べる。だが未だ力は緩めない。もしかしたらフレイヤがそこら

辺を

操っているのでは・・・「そうだね」と言いつつ胸の内はひたすら違うことを考えて

いた。

そこにドアが開く気配がした。隙間から覗いていたのは「まゆら・・・」

まだ躊躇しているのかそこから動く気配がしない。彼女の後ろの方から男の声がす

る。

「オッス探偵。割と早起きなんだな」

「こ、光ちゃん〜?」

まゆらを押し込んで光太郎が顔を覗かせた。どうやら一緒に来たらしい。

「ロキ君・・・おはよう」

照れているのか否か。微かに下を見ながらまゆらがそっとあいさつした。

「おはよまゆら」

いつもに戻れた瞬間。ロキの笑顔でまゆらにも笑顔が戻る。

雨が激しく降ったのは一昨日。答えを二人が出せたのは昨日。そして今日。

いい雰囲気になっているロキ達を見て光太郎は複雑な気分に、玲也はと言うと。

ちょっと危険な状況になりつつあった。がしかし。

「玲也のお陰でもあるんだけどね!」

ロキは嬉しそうに最後にそう言った。

 

 

   見つかったよ答えが。だからまた、笑顔で居られると思うんだよね。



賑やかな声が木霊する屋敷の外。闇野が見つけたその花は。

秋桜が心地よさそうに風に揺れていた。



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どうも。長ったらしい上にちっともロキ玲にならない寅さんです。



ああなんで私はこうもロキ玲が駄目なんだ・・・。しかも少し暗いし。

駄目駄目ですよ!!もっとかっこよい文にしたいのにな。

ヘムを出したかったのもあるんですよね。

実はこれ下書きが二転三転してます。最初は外人さんが出る予定でした。

次はちょっと花の話しがウジャウジャと(笑)出てくるお話で。

で、これに行き着いたんですね。

うん・・・コスモスの花がどうしても入れたくて。でもこの話しの時期って梅雨なん

ですよ(爆)

ああ季節感のない私に幸有れ(涙)

ロキにしてみればずっとそばで支えてくれた玲也に感謝しているわけで。

だから最後「玲也のお陰」と言ってるわけなんです。玲也はきっと機嫌が直ったで

しょう。

さて題名は違えどこれが本当に最後の「幸せ」シリーズです。長かったなぁ(遠い

目)

ではこれにてお開きですv有り難うございました♪

(英語の綴りに自信ありません。間違っても突っ込み無しですv)













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これが本当に最後の幸せシリーズだそうです。
あぁ、なんか寂しいっぽいです。。
でもまあなんと素敵なことでしょうっ。
玲也ちゃんもフレイヤさまも出てるじゃないですかっ。
かおりは幸せ一杯なのです。ホント。
しかも、文章がすごくキレイです。
かっこいい。。。v
マネしたいです。・・・無理だけど(涙)
そして。玲也ちゃんの怪力ぃぃぃっっ!!!(固羅)
そーゆーとこ、大好きです。
でわでわ、ありがとうございましたっ。



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